『キスをしたい男』で心えぐられた25歳OL
ジャンプ+で読み切りの『キスをしたい男』を読んだ。
読んだ後にタイザン5さんって見て、あ、前作も読んだ!知らずに手に取ったってことは私のタイプの絵なんやなぁと思った。
「アンジェリーナジョリーとキスしたい」
主人公のこの一言で物語が始まる。
アンジーとキスするために渡航費の100万を稼ぐと。
またとがった作品できたな、と思った。
でも何となく違和感を感じる。
主人公は普通の高校生なのに、バイト、いやお金を稼ぐのに異常なまでの執着がみられる。
そりゃ、アンジーに会いに行きたいと言えば分かるんだけど、それでも友達と遊んでたり、家族と話してたり、部活したりっていう私が高校生がしてる生活描写がひとっつも出てこない。
出てきた登場人物といえば中学生の頃、主人公を好きだった女の子のみ。
おかしい。
この違和感は主人公の家庭環境にあった。
主人公の両親は幼い頃に離婚し、母に引き取られたが、母は男と酒に溺れ、ある日突然お風呂場で溺れ死んでいた。
それを発見した主人公は自分のせいで母が死んだ、と言う暗示にかかってしまう。
私からしたらそんな母親、死んでそんな悲しむことあるか。
因果応報だとすら思うけど。
でも主人公にとって母は1人しかいないのだ。
そんな主人公がどん底にいる時にテレビで見たアンジー。
主人公はここで「アンジェリーナジョリーにキスしたい」
と言う思いに全てを捧げるようになってしまう。
いや、捧げるしかなかったんだ。
母を死なせてしまった罪悪感も、アンジーとキスしたいって思いが全てかき消してくれた。
だから無我夢中で働いた。
朝、学校終わり、夜。
ついに目標の100万円が貯まった。
もう夢のアメリカ行きもすぐそこだった。
そこへ中学時代、主人公の事が好きだった女の子(主人公も当時好きだった、つまり両思い)が
「ほんとにアンジーの事、すきなの?」
と主人公の家に押し掛けて問う。
主人公は頭が真っ白になった。
そらそうだ。
主人公はアンジーが好きなのではない。
様々な雑念から自分を助けるために。
考えなくていいことを考えないようにするために。
言い聞かせたことなのだから。
そうでもしないと主人公は生きていけなかった。
女の子は言う
「アメリカ行き、やめてよ。日本で一緒にいよう」
「中学の時、映画行こうって言ったよね。今度行こう」
「私だったらキスでもなんでもさせてあげるから」
そう言って、2人は抱き合う。
翌日、女の子の前にバイクを引いた主人公が現れる。
アメリカに行ってしまったと思っていたら、何故かバイクを代わりに引いて現れた。
主人公はこのバイクで映画見に行こう。ハリウッドじゃなくて、イオンになるけど。と。
「あと墓石を買いたい。」
そう女の子に言った。
ここで物語がおわる。
最後の墓石買いたいって。。。。
涙がとまらん。。
誰かが辛い時助けてくれるのは「没頭」って言ってたけど、そこから助け出してくれる人が居て本当によかった。
ライトな絵だけど、セリフが重かった。
主人公が救われる終わりで本当に良かった。
また、ジャンプ+でも他の作品読めたら嬉しいです。
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