毎日連載『一日一妖!』 8月4日【袋担ぎ】
初めましての方、ようこそいらっしゃいました。
二度目以上お運びの方、本日もありがとうございます。
こんにちは、あらたまです。
『一日一妖!』とは――
怪異や怪談が大好きな私あらたまが、妖怪や怪異に関連する与太話をさせていただくという連載企画です。
毎日読むのにちょうどいい、約1000字の超ショート・ショートテキストサイズ!
さっくり楽チン軽やかな、ゾワッと怪しいひとときを楽しんでいただけたら嬉しいです。
定休の金曜日に活動する代わりに、明日をお休みにしてのんびりやろうかなと考えています。
『一日一妖!』の更新はやります。
その他はちょっと休憩。サブスクで映画を観ようかなと……。
それでは、前置きはこのくらいに。
本日の『一日一妖!』始めましょう。
【袋担ぎ】
長野県埴科地方でいう妖怪。
夕方、子供が隠れん坊をしていると神隠しにしてしまうという。
私は小学校を卒業するまで門限は17:00と決められて育ちました。
とはいえ昭和の庶民の子、腕時計を身につけるでもなく、公園でお友達と遊んでいると役所から17:00のチャイムが鳴って「あ、しまった。門限過ぎちゃった」とさして慌てる事無く家に帰り、こっぴどく母に叱られるという寸法。
そのうち時間を気にするのが面倒になった私は、元来お友達と元気にお外で遊びましょうというスタイルが苦手だったこともあり、学校から帰ったらそのまま『おこもり』を決め込むようになりました。
そこからは……たぶんお察しの通りです。
夜な夜な、小さい勉強机の灯り一つで怪しげな民話の本を読み耽る、近所のおばさん方にやたら心配されてしまう子になっていくのであります。
めでたくない、めでたくない――
さて。
母は何故、門限を17:00と定めたのでしょう?
今よりも大らかで愉快な時代だった昭和の、一般家庭らしからぬ厳しさのような気がします。
季節によっては、まだ日の高い時間です。
冬至の近辺だったとしても、私の住んでいた街は街灯がそこそこ立っていて、真っ暗闇で物騒極まりないなんてことはありませんでした。
けれども。17:00にはお家に辿り着いてらっしゃい、ただいまを言って手を洗って、テレビでも見ていなさい……と。
あんまり厳しかったので、だいぶ歳が行ってからそれとなく理由を聞いてみましたら「うーん……なんでだろう?」と、一言。
はぐらかしている風でも無く、自分でも不思議だわ?といいたげな答えが返ってきたのでした。
平成という時代も飛び越えて、昭和も相当に遠くなってしまった今となっては、あの頃の空気感というものを思い出すのは困難なことになりつつあります。
ですが今回取り上げた『袋担ぎ』はその謎の一端を開くカギとなるかもしれません。
賛否両論ありつつも、すっかり街の風景に溶け込んでしまった感のある防犯カメラ……私が子供の頃は、その発想すらありませんでした。
近所の大人たちの目が光ってるから安心……でも、一瞬の隙をついて姿が見えなくなることも……私が知らなかっただけで、まだまだ神隠しという概念が社会全体に平然と浸透していたのかもしれません。
捉えた獲物に気付かれない、じわじわと感覚が麻痺していく神経毒のような概念に囚われていたならば。そりゃあ門限の理由なんて分かりっこないってもんですよね、なんでだろう?ってなりますよ。
了
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それでは。
最後までお読みいただいて、感謝感激アメアラレ♪
また明日ね、バイバイ~(ΦωΦ)ノシシ
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