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火~木曜日連載『一日一妖!』 2月11日【雪降り婆】

 初めましての方、ようこそいらっしゃいました。
 二度目以上お運びの方、本日もありがとうございます。
 こんにちは、あらたまです。

『一日一妖!』とは――
 怪異や怪談が大好きな私あらたまが、妖怪や怪異に関連する与太話をさせていただくという連載企画です。
 毎日読むのにちょうどいい、約1000字の超ショート・ショートテキストサイズ!
 さっくり楽チン軽やかな、ゾワッと怪しいひとときを楽しんでいただけたら嬉しいです。

 いつだったか、深夜のテレビでバカリズムさんが仰ってたことを今でも時々思い出しては自分を励ましております。
 「後輩の芸人に、バカリズムさんレギュラーたくさんあって忙しいのに、コンスタントにクオリティの高い新ネタ出しますよね。いったい何時ネタを書いてるんですか?って聞かれた。君がネタ見せライブを終えたあと、居酒屋で他の芸人たちと『反省会』と称した飲み会を楽しんでいる時間、ボクは家に帰ってネタを書いてます、と答えた。不思議でも何でもない
 目指したいものがあるなら、そこに向かってひたすら進む。優先順位の低い事柄は自然と手がつかなくなる。不思議でも何でもない……私も進みます。たまに立ち往生したりもするけれど、書いていきます。

 それでは、前置きはこのくらいに。
 本日の『一日一妖!』始めましょう。

【雪降り婆】

 長野県諏訪郡上諏訪町(諏訪市)でいう妖怪。
 雪の降った日に現れる妖怪で、常に持っている紐で出会った人を縛って行くという。

 縛って行く。縛ってそのあと、どうするかという記述は特に無いようです。
 ……って、え?ちょっと待って。
 シンプルに怖いんだけど。
 雪の降った日に、縛って……放置??

 私の中の勝手なランキングでは、通り魔は願わくば遭いたくない犯罪トップ3です。
 事件そのものの悍ましさに加え、その後の調べで「たまたまそこに行ったら、そこに人が居て、手当たり次第に」とか「誰でも良かった」とかいう供述が出てくる場合があって、それが堪らなく嫌です。
 通り魔の人間性を、供述そのものが『得体のしれない何者』かへと書き換えているような気がして、ゾッとします。
 それまでの鬱屈した怒りや虚しさといった、共感はできないが理解はできる動機というものが見えてくるならば、同じ社会の地平に立つ人間なのだなと多少は思えます。思えるからこそ、今は安全地帯に居る自分も一歩ラインの外に踏み外したらどうなるかを想像し、身を律しよう戒めようと考えます。
 この一連の思考を経て「今の世の中ならばさして不思議なことでもないのか」と、一種の歪んだ安心が得られるはずが……得体のしれないモノからはそれが得られない。歪でもいい、安心が欲しいのに。しかしそれを得る手立てがない……その恐ろしさたるや??

 また、大抵の通り魔は「誰でもいい」と言いつつ、無意識下で自分より弱そうなものを確実に選んで狙うというデータがあると噂で聞いたことがあります。狩りをする動物についての話ならば、理にかなっていると思えた事でしょう。
 通り魔の供述を信じるなら、その行動には明確な目的は無いように見えます。目的もなく誰でもいいから狩るというのは本能的と言えるのでしょうか?
 どうしようもない重圧によって理性が壊れ原始的な衝動に駆られたというよりも……人であることを棄て、人ではないものに転じていたのではないかと表現する方がしっくり来る気がしてしまうのは、果たして私個人の思考の癖なのかしら。

 通り魔の衝動メカニズムの本当のところはともかく、体が小さく非力で、逃げ足も遅い私は、この手の変異が滅茶苦茶怖いのです。

 正真正銘の妖怪ともなると、決定的苦手なターゲットや弱点を突かれる可能性が無い限り、人間の通り魔の無差別さとは段違いで、それこそ見るもの全てレベルの手当たり次第で襲うでしょうねえ。
 老若男女の区別無く。
 人間が滅ぶなんて可能性を考えることもなく。

 雪降り婆の場合、婆の方からやって来なくても、見た目がか弱そうなお婆ちゃんなら、油断して近寄ってしまう人だっているでしょう?それこそ、怪異の思うつぼというやつで。だって……雪降り婆ではない、雪に足を取られて困ってる普通の人間のお婆ちゃんは助けてあげたいですしね。人間の通り魔よりも質が悪いかもしれませんよ。
 余談ですが。
 怪異譚ではよくあるパターンで、連れていた犬が急に吠え出し走り出して、嚙みついた相手が怪異としての正体を現すというのがあります。
 雪降り婆にはこういう退散エピソード無いのかな?
 あれば安心感が違うのになあ。

 了


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 それでは。
 最後までお読みいただいて、感謝感激アメアラレ♪
 また明日ね、バイバイ~(ΦωΦ)ノシシ

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