【創作小説】猫に飼われたヒト 第38回 グッダの嫁
アニマーリア大学人間学部棟。
朝早くからグッダは自室で論文の添削を行なっていた。
ドアをノックする音。
鍵を開けてドアを開いた途端に抱きつかれる。
「久しぶりグッダ〜!」
「おい…!職場には来るなってあれほど…!」
「近くに用があったんだもの〜たまにはいいでしょ?」
「近くに用?どうせ朝まで呑んでただけだろ…酒臭い」
「えへへ〜」
別居中のグッダの妻、ミントだった。
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「元気そうね」
「…お前もな」
「あのさあ…」
「金だろ」
「えへへ〜お見通し?そうなの、また少し貸してほしくて…」
「金をやったら今すぐ帰ってくれるか」
「え…そんなあ、半年ぶりに会ったんじゃない、少しお話ししましょうよ。そうそう、私最近ちゃんと職探ししようと思っててねえ、それで…」
「聞きたくない」
グッダは配布から一万円札を数枚取り出すと、乱暴にミントに渡して扉を閉めようとした。
「ちょ、ちょっと待ってよ!奥さんに失礼だと思わないの?!」
「よく堂々とそんなことが言えるな。今まで俺を散々裏切ったくせに。仕事中なんだ、さっさと出て行ってくれ!」
すると隣の部屋の扉が開く。レックスだった。
「おや…グッダ。それにミントさんも。すまないが、私たちはこれから会議なんだ。彼の手を離してくれるかい?」
ミントは決まりが悪くなったようにグッダの手を離し俯いた。
「さ、グッダ行くよ」
「レックス…」
ミントを置いて、グッダはレックスに促されるままにその場を離れた。
次回に続く
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