社会人に伝えたい"語学勉強の続けかた"
皆様こんにちは。フランス在住ワインソムリエ🍷のティモシーです。
7月にこんなツイートをしたところ、大きな反響をいただきました。
この動画を上げてから、色々な方に、主に同業者の方から「改めて英語を勉強したいんだけど」という質問をいただきまして色々と答えていたところ
みなさんがいわゆる『つまづいてしまっているポイント』って結構似てるなーと感じました。
ということで、そのつまづいてしまっている部分を自分なりに補足しつつ「社会人が勉強を続けていくためにはどうすればいいか」を改めてまとめてみることにしました。
先に伝えておきますが、自分は語学のプロではありません。あくまで趣味の延長上としてマルチリンガルとなりました。
高校を卒業してから今までの約8年間海外を転々としてきましたので、色々と語学を勉強する機会は他の方より多かったような気はします。語学が話せず現地に飛び込むのは僕の得意技です(成長はできますがオススメはしません)
語学の勉強法はその人の習慣や環境によって無限大にありますし、得手不得手ももちろん存在します。これが正解だという方法もまずありません。
だからこそここでは表面的な勉強法ではなく最も根本的な部分となる勉強を続けるためのモチベーション管理について徹底的に深掘りしていこうと思います。
ちなみに内容はタイトルにもある通り「社会人向け」です。「学生」や「語学習得希望者」は対象外の内容となっている場合があります。
簡単な内容にはなりますが、お付き合いくださいませ。
<前菜>「あなたが勉強する必要はない」
早速テーマと真逆のことを話すのですが、僕は根本的に社会人が「語学を勉強する必要はない」と思っています。
順を追って紹介していきましょう。
そもそも論なのですが、「その英語を覚えて何するの?」って話になってきます。良くも悪くも、今まで英語を話して来なかったということは環境として英語を必要としない場所にいたことに他なりません。
日本にだけいれば基本的に全ての活動は日本語で事足りますし、仕事も別に英語を必要としない業種や活動範囲の方であったのでしょう。
僕はこれ「日本語だけしか話せなくて何が悪いの?」って常々思ってるんですよね。日本人で日本にいるだけなら日本語だけでいいじゃん、って。
残念ながら今まで英語勉強が続かなかったり、挫折してしまったりする方々は心のどこかでこの英語を勉強するという強制力が弱かったことによる側面が大きいです。
「あれば便利だけど、なくても問題ないよね」って、そりゃ続けたくも無くなりますよね。僕だってやらないです。
加えて。
「英語を覚えれば便利だけど」とは言いましたが、具体的に何が便利なのででしょうか?
個人的に、というか、おそらく多くの方が考えている「英語を覚えればこんなことができる!」と思う点って上の画像のような内容でしょうが
これって別に英語である必要は一ミリもないですよね。
例えば「プログラミングができる」とか「パフォーマンスができる」みたいなスキルでも可能性はグンと広がりますよね。
しかも現代では、優秀な翻訳ツールも多く存在しています。
よく「こういうツールは訳が正確じゃないから使うべきではない」というお声をいただくのですが、そういうのはぜひご自身で翻訳が可能になってから仰っていただきたいです。
確かに正確さに欠ける時も少なくはないですが、初期の全く会話ができない状態においてこれほど優秀なツールはありません。ごく簡単なコミュニケーションを図るのに重宝します。我々が数年単位かけて勉強する言語力よりもはるかに高い精度を誇ると思います。
本当に必要なら通訳を雇えばいいですし。アメリカから大人気となった片付けコンサルタントの「こんまりさん」こと近藤麻理恵さんは、人気となるきっかけのテレビ番組出演の際は常に通訳の方がいらっしゃいました。この通訳の方の英訳が見事すぎて、『ご本人も勿論すごいけど、彼女の功績は通訳さんの影響もあったのでは!?』という話はまたの機会にするとして。
本当に海外で自分のやりたいことを突き進んでいくのなら、もう今からやってしまえばいいのです。壁にぶち当たったら対処すればいいのです。それをしてないのなら、もしくは「するほどでもない」のなら。今現在のあなたにとって不要なものとなってしまうでしょう。
…以上を踏まえまして、社会人が勉強を続けられない原因は大きく分けて4つです。
①英語学習の目的が不明瞭
自分が英語を勉強する明確な理由がまだまだあやふやなことが多いです。「英語を話せたらこんなことしたいなー」は、「100億円あったらこんなことしたいなー」と同義です。
②本業との関連性の欠如
英語を勉強して、「じゃあ今の自分の仕事や活動とどう活かせばいいのか」が見えて来ないのも原因のひとつ。
③充分な勉強時間の確保
「じゅうぶん」という熟語には「十分」「充分」の二種類ありますが、前者は『物理的』、後者は『精神的』な充実度のことを指す言葉として現在使われています。
社会人は時間的な余裕がないことも勿論ですが、それ以上に多忙な日々の中新しい、しかも長期に渡る勉強を続けられるだけの『心の余裕』がなくなっているのかもしれません。
④身体的及び精神的学習強制力
語学勉強を続けるには、ある程度の「しなきゃいけない」という強制力が必要になります。
実際に英語を使わざるを得ない環境に飛び込んだり、来月英語でプレゼンする機会を作ったり。でも、普通に生活していたらそんなこと起こり得ません。
そんな原因が色々と重なった結果
『別に僕が英語を勉強する必要がないのでは…?』
と感じてしまうのではないでしょうか。
…と、まぁ。
少し強めの語気でびっくりさせて申し訳ありません。決して語学習得を否定したいわけではないですし、むしろ覚えることで色々な可能性が広がった経験もあります。
ただ、ここは本当に口を酸っぱくして強く言いたい内容なんです。
英語なんて勉強しなくても選択肢はいくらでもあるんですよ。それでも、いや、だからこそあなたが英語を勉強する意味をしっかりと向き合わないといけないんです。
なぜかというとあなたが社会人だからです。
あなたが学生だったり休職したり留学中であったりするのであれば話は別です。目的よりもまず試しながら色々な世界を見てみればいいじゃん!と、強くオススメします。
でも、社会人だとそうは行きません。相対的に時間も余裕もないからです。学生が英語を覚えるのと社会人が覚えるのとでは、その意味が大きく変わってきます。
何が言いたいかというと、学生のノリで英語を勉強してはダメだということです。
申し訳ないですが、英語を勉強するからと言って社会人が『be動詞』やら『過去形』やらを暗記するのは全く本質ではありません。
社会人が本当に英語を覚えたいのなら、徹底的に「コミュニケーションの手段」と割り切る必要があります。
なぜなら社会人のあなたが勉強する理由は、大半が仕事きっかけなんですよね。その仕事で使えるようになるのが一番大事だと思うんです。
相手に伝えるためには。
会話をするためには。
必要な文章とは。
そんなことを考えながら、効率よく勉強は進めていきたいところですね。
<メイン>社会人向けの語学習得計画表
勉強には全て『カリキュラム』が存在します。シンプルに言うと
”現在のレベルから始まり”
”どのくらいのレベルまで”
”どのだけの期間”
勉強するのかについて事前に考える必要があるということです。
その中で特に考えるべき点は”どれだけの時間を使うか”部分でしょう。
極論を承知の上で言うと、言語学習は『時間さえかければ誰でも話せるようになります』。
ですが、あなたが語学を勉強する理由って「10年後に話せるようになれたらいいかー^^」では無いはず。特に、忙しい社会人が合間を縫って勉強するわけですから、なるべく結果は早い段階で手に入れたいですよね。
そのためにも計画表作りが大事です。
決めることは大きく3つです。
「半年で覚えられる!」とか、短い勉強期間で覚えられることを良い事だとは思いませんが、もし本気でやりたいのなら短期間である程度のレベルまで習得する前提の上、目標計画をしっかり立てましょう。計画無しに最短距離は歩けません。
一個ずつ解説していきましょう。
①【勉強期間設定】
断言します。「英語の勉強いつかしようかなぁ…でもタイミングがなぁ…」と仰っている皆様。
あなたの勉強期間は今日から一年間です。さぁ!頑張りましょう!
…と、少々強引に言いましたが、勉強期間設定は特に個人的な都合もない限り「一年間」とするほうが色々と便利です。
今まで自分でも勉強をしてきたり、生徒さんを持って勉強を教えてきたりとしましたが、平均値として「一年間」あればコミュニケーションに困らないレベルの言語力を手に入れられるようになります。
今からちょうど一年後、自分が話せるようになってるつもりで人生計画もアップデートしましょう!
…とはいえ。
「そんな簡単に1年間も勉強が続けられるのなら苦労はしない」という話にはなってきます。
そもそも『よっしゃー始めるかー』って言って今日から勉強始めて、1年間続けられる人は、多分このnoteを読む必要はないかなと。最短距離って言ったくせに1年間ってのも長いしね。
語学勉強が続かない最大の理由は「自分の成長を具体的に実感できない」ことにあると思うんです。
逆に言うと、続けるためには具体的に自分の成長を感じられるような設計にしてあげる必要があります。
そのための思考法が『段階目標』です。
②【段階目標設定】
繰り返しになりますが、あなたが一年後に向けて「英語が話せるようになりたい」と決めても、自分がどのくらい成長したかを実感できないせいで挫折してしまう可能性は非常に高いです。
例えば、僕の大好きなゲームの中に「ドラゴンクエスト」という、村から一度も出たこともなくモンスターを倒したことすらない若者が王から直々に『世界を救うために魔王を倒してきてほしい』と責務を背負わされる鬼畜なストーリーがあるのですが。
ドラクエのストーリーを進めるためには、面倒でもまず一番弱い敵を倒して経験値を増やしていく必要があります。弱い敵を倒すのに慣れてきたら新しい街へ移動したりちょっと強い敵を倒していったりします。
そして最終的には魔王の城を攻略する…という流れでゲームを進めていきます。なんとなくイメージはできますよね?(ゲームに慣れてない方ごめんなさい)
このような感じに。最終的な目標の前に、『今現時点で自分は何をする必要があるのか』をある程度知っておく必要があるというわけです。
それを具体化させたものが段階目標のメリットです。
僕が実際に経験した過去の事例を元に紹介してみます。
僕がフランスに来た当初全くフランス語が話せないのにも関わらずレストランで接客をしていた当時の段階目標図です。
とにもかくにも最初は、何を話せばいいのかわからない状況なので、「とりあえず絶対に使う文章を丸暗記する練習」から始めました。
・いらっしゃいませ
・ご予約ですか?
・こちらの席におすわりください
相手の言っていることが分からなくとも自分が発する言葉を正しく伝えることが一番大事だったので、最初はとにかく文章まるまる覚えることから始まりました。僕にとってのスライム退治が、ここに該当します。
それに慣れてきたら、今度はお客様の言っていることを理解するように努めます。
この時も全てをいきなり理解しようとするのではなく、比較的質問されることが多い『テンプレ』を押さえました。
・〇〇(日本語の食材)はなんですか?
・グラスワインは何がありますか?
・私〇〇アレルギーなんですけど
・ガス入りのお水をください
予告なしに聞かれるとテンパってしまうかもですが、頭の中で事前に推測しておくと十分に対処可能です。ただし、注意として絶対に間違えられない伝達事項(アレルギー等)は他のスタッフにお願いして対応してもらいました…!
※フォローしてもらった分、別な仕事で還元するのをもちろん忘れずに!
これらにも答えられるようになってくると、こちらからもうワンアクション声をかけられるシチュエーションも増えてくるようになります。
今まではただ注文を聞いてそれを繰り返していただけですが、例えば「今日の魚は身も大きくて美味しいですよ。」とか「お肉注文されたのなら、こんなワインもオススメですよ」とか。今度はそれらをフランス語で言えるように練習します。
ここまで出来て、ようやく初めてフリートークの練習がスタートです。魔王城攻略。
…みたいな感じの目標設定を踏んで勉強してきました。
段階目標のメリットは「自分が成長できていることを実感しやすい」点にあります。
語学のプロや専門家を目指していない限り、一番に優先すべきなのは「コミュニケーションを取ること」です。今目の前の自分が、どんなことまで話せるようになって、どんな情報を知っておくべきか、何を勉強したら会話に繋げられるのか、ということを吟味する必要があります。
③【環境・負荷】
ここまで準備したら、あとは環境を整えます。独学でもできない訳ではありませんが、語彙力や単語力は自分ひとりで探して覚えるよりも、周りの環境から大量にインプットしては忘れていきながら少しずつ記憶に定着していったほうが効果的です。
話さなきゃいけない状況を作ってあげる方法は色々ありますが、『海外へ行く』という選択肢が現実的に取れない人は非常に多いと思います。
そんな時に有効なのは『スクールに通う』か『話す機会を作る』かのどちらか。人によっては、「外国人と実際に話さなければ意味がない」という方もいますが、経験を積む時に会話相手のレベルは関係ないと思っています。ネイティヴを眼の前にして細かい文法ミスを気にしてしまうよりも、日本人同士コミュニケーションを取りつつ、相談や勉強し合える関係値を作るほうがよぽど有益かと思うんです。
とにかく、どんな方法であれ習慣的に続けるのには何か制約を設けたほうがいいということは覚えておいてください。
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本当はまだまだ伝えたい内容があるのですが、これ以上細かい勉強法や取り組みの対応は、一人ひとり異なってくることでしょう。何の仕事をしていて、時間的猶予がどのくらいあって、どんな目的で勉強したいのか…自分のことをしっかりと把握してあげることが語学勉強を始める前に一番大事になってくると思います。
僕もまだまだ新しい言語を習得予定ですし、今も勉強を続けています。僕が語学を覚える目的は「世界中の人と”相手の母国語でコミュニケーションする”ことが大好きだから」。仕事に繋がることも多いですが、それ以上に話すことが大好きなのかもしれません。
みなさんと一緒に、僕も成長していきます。一緒に頑張っていきましょう!
もう少し具体的な勉強内容を知りたい方は、過去にこんなnoteを作ってますので、良かったら参考にしてみてください!
文章苦手ながら頑張りました!