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まだストリートファイトで消耗してるの?

若い頃は誰でも「強いエンジニア」を目指すものだと思いますし、エンジニアとして強固な軸足を確立する上では、「技術競争」つまり「ストリートファイト」に邁進する期間は必要だと思います。

しかし「手を動かすエンジニア」には「ファイターとしての賞味期限」が必ず存在しますので、いつまでも「アンダーグラウンドの喧嘩自慢」として君臨することはできませんし、戦い続けることによる見返りは決して大きいものではありません。

エンジニアが、自分の投下する膨大な労力に対するリターンを最大化していきたいならば、どこかで上手に軌道修正していく必要があるわけですが、今回はそういった辺りに関する私の見解を簡単に述べてみたいと思います。

おまえ誰よ?

雑食系エンジニアです。本業では主にインフラとバックエンドおよびDevOps系の業務を担当しており、登録者数5万人超えのエンジニア系YouTuberでもあり、会員数2千名様超えの雑食系エンジニアサロンのオーナーでもあります。

こちらで紹介しているようなスキルセットと多種多様な業務経歴を保持しており、「ここ数年間の実務で経験したインフラとバックエンド周りのキラキラ技術の幅広さ」に関しては、現時点でおそらく世界一だと思います。

つまり「そういうカテゴリのストリートファイト」に関しては既に一度頂点を極めており、こちらの記事で紹介しているレベルの「本当の高単価」を1年以上安定して獲得している、上位1%層のエンジニアがこの記事を書いているのだと考えて頂ければと思います。

なぜストリートファイトに強いだけでは駄目なの?

単価とプレゼンスが頭打ちになるから」です。

私が現在本業で得ている単価も、本業とそれに関係する技術的な外部発信だけに注力すればさらにアップすることは可能ですし、現在週3程度の稼働日数をもう少し増やせば、恐らく本業だけでも年商3,000万円程度なら十分に達成できると思います。

しかしそれ以降はどんなに頑張ってもその水準を大きく超えることは困難ですし、技術トレンドに常にキャッチアップし続けて、次から次へと現れる若くて優秀な方たちとの技術競争に勝ち残っていかなければなりません。つまり「果てのない消耗戦」に巻き込まれ続けることになります。

さらに、そういった技術競争を一生懸命頑張り続けたとしても、世の中におけるそのエンジニアのプレゼンスは一向に高まりません。一般社会は「そのITサービスをどんなエンジニアが作ったのか」とか「エンジニアの世界で誰が凄いのか」というマニアックなトピックには全く関心が無いのです。

Appleの創業者であるスティーブ・ジョブズ氏のことを知っている日本人はたくさんいると思いますが、共同創業者であり事業に多大な貢献をしたスティーブ・ウォズニアック氏のことを知っている日本人はごくわずかであることからも、その残念な現実はすぐに理解できるでしょう。

メジャーなプロスポーツの選手なら、本業だけでも年商数億円超えが可能ですし、世の中からも大きく注目されますが、彼ら以上のストイックな努力を継続して技術競争に打ち勝って世の中に十分な価値を提供しても、日本のエンジニアが本業だけで彼らのような報酬や知名度を得ることは不可能です。

つまり「自分の投下する膨大な時間と労力に対して、億単位の単価や世の中でのプレゼンスの向上という"正当な報酬"を得るためには、いつまでも狭い世界でストリートファイトを頑張っていても不毛である」ということになるわけです。

じゃあどうすればいいの?

「雇われ」の立場を脱して「自分でサービスや事業を始めること」が最適解だと思います。

もっと言うならば「路上での喧嘩」や「どっちが強いのかはっきりさせようぜ」みたいな世界からは距離をおいて、「オーバーグラウンドの商売上手」的な方向にキャリアの舵を切っていく必要があるということです。

結局のところ、雇われエンジニアの立場でいる限り、単価には必ず「天井」が設定されてしまいます。その天井を「青天井」にしていくためには、「自分が直接エンドユーザにサービスを提供してリターンを得る」しかありません。

例えば私がオーナーをしている「雑食系エンジニアサロン」というサービスは、こちらの記事で紹介したように、しっかり労力を投下すれば1ヶ月で年商を100万円増やせるレベルまで成長しましたが、雇われエンジニアとしてどんなに頑張ってもこのペースで自分の年商を増やすことは不可能です。

また、YouTubeチャンネルやオンラインサロンといった個人サービスが一定の成果を出したことで、世の中からの注目度が上がり、出版社の方からお声がけを頂いて「Web系エンジニアになりたい方たち向けのキャリアガイド本」を9月に出版することになりましたが、エンジニアの本業だけをやっていたら、こういった「一般社会におけるプレゼンスをさらに高めるチャンス」を得ることは難しかったでしょう。

(ちなみにこの本が成功したら、その次は「エンジニアの仕事術」的な書籍の執筆も計画しています)

順調に事業が拡大していけば恐らく数年程度で「ほぼ個人事業だけで年商1億円」という現時点の目標は達成可能だと思いますし、それと比例して世の中でのプレゼンスもさらに高まると思いますが、エンジニアとしてストリートファイトだけを頑張っている人達が、私のように単価でも知名度でも大きく報われる可能性を得ることは、残念ながら今後も永久に無いでしょう。

要するに技術を捨てろということ?

違います。エンジニアとしてのストリートファイト力は、自分でサービスや事業をやる上で「価値の源泉」になり得ますし、「セーフティネット」としても非常に有効なので、「もう働かなくても自分一人なら十分に食っていける」という程度の金融資産を獲得するまでは、技術をしっかりとキープしておいた方がよいでしょう。

ただし、自分の労力に対するより高いレベルでのリターンを得たいなら、「この技術分野において誰が第一人者か」みたいな不毛な競争からは、なるべく早い段階で離脱する方が賢明ということです。

私も現時点ではブランディングのために「インフラとバックエンド周りのキラキラ技術の幅広さにおいて世界一」というポジションをまだ確保しておりますが、単に「競争相手が存在しないほどに参入障壁の高いカテゴリだからその位置をキープし続けられている」だけですし、ポジションをキープするために膨大な工数を投下しているわけではないので、その分を自分の事業の方に振り向けられたことにより、現在のような成果を出せているわけです。

ストリートファイトの強さにはこだわらず、ただし自分の事業に活かせる範囲でしっかりスキルをキープしておくという、「エンジニアおよび事業者としての絶妙なバランス感覚」が重要だと思います。

技術から逃げてるだけでは?

YouTubeやオンラインサロンで注目されるようになってから、「あいつは技術から逃げた」的なことをよく言われるのですが、私からすると「億単位の報酬にも一般社会でのプレゼンス向上にも繋がらない無駄な技術競争を延々と続けることにどんなメリットがあるのか教えてほしい」というのが率直な感想です。

むしろエンジニアの多くが、技術という安全圏に閉じこもって「自分の可能性を追求することから逃げている」というのが実情ではないでしょうか。

ほとんどの人は「エンジニアになるために生まれてきた」わけではないと思いますし、人生100年時代において「生涯一職種」とか「その職種の中での序列」に無駄にこだわるような生き方は、お金やプレゼンスだけでなく、人生の様々な面で大きな機会損失につながってしまう可能性が十分にあると思います。

エンジニアとしてしっかり軸足を確立して守りを固められていれば、色々なことにかなり身軽に挑戦可能になるわけですが、そのチャンスをわざわざ「技術競争」に浪費してしまうのは、私からすると「人生の壮大な無駄遣い」のような気がしてしまうわけです。

最後に一言

私が趣味として長くやっていた「ストリートダンス」の世界には、いわゆる「大御所ダンサー」と言われる方たちが多数いらっしゃるのですが、その方たちの中で、「加齢に逆らわずに自分が輝ける居場所にうまく移行し続けられた人」というのはごく一握りだったという印象があります。

もちろん私の観測範囲が狭かった可能性もありますが、現役で長くショーに出続けているダンサーの方も(それはそれで素晴らしいことではあるのですが)昔のような輝きは残念ながらありませんし、若くて才能のある方たちと比べるとどうしても見劣りする部分や痛々しい部分が多々出てきてしまいます。

かと言って、例えばダンススクールの経営を始める等のありがちなキャリアチェンジをしても、それほど大きくマネタイズできるわけではありませんし、その後で一般社会やビジネスの世界で大きなプレゼンスを獲得できたという人もほとんどいらっしゃいませんでした。

エンジニアもそれと同じで、ただ単にストリートで戦っているだけでは、旬を過ぎれば注目もされませんし、マネタイズの可能性もどんどん小さくなってしまいます。

ファイターとして十分な鮮度のあるうちに、自分の投下する労力や時間が大きく報われそうな方向を見つけて、そちらに積極的に乗り替わっていく方が、自分が輝ける期間を長くできるのではないかと思いますし、エンジニアのスキルはそういう目的において非常に使い勝手のよい「武器」になり得るというのが私の見解です。

人生観は人それぞれですが、既にエンジニアとして十分な軸足を確立しているにも関わらず、休日も技術やプログラミングの勉強で消耗しているような方は、それが本当に自分の望んでいることなのか、一度じっくり考えてみてもよいのではないでしょうか。

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(※こちら元々はQiitaに投稿していた記事なのですが、運営の方から「コミュニティガイドラインに違反しています」というご指摘がありましたので、noteの方に移動いたしました)

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