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映画館で席を譲るか譲らないか問題

Twitterで「映画館で席交換をお願いされた場合に代わってあげるか否か」という話が盛り上がっているっぽい。(盛り上がっていた?)
流れてくるツイートから色々引っかかるところ気になるところがあったので、文章にしつつ自分なりにちょっと考えてみようと思う。

前提など

元のツイート

以下のツイートがきっかけになっているようだ。
https://twitter.com/hatsume1122/status/1653677456291930113

状況の仮置き

流れてきた種々のツイートなどから、以下の想定で考えてみることにした。
(元ツイートと状況が違うor元のツイートから読み取れない情報が入っているかも)

・自分はひとりで映画鑑賞に来ている
・席は事前に指定席を予約をしていて、予約時は両隣が空席だった
・映画が始まるまでの間にカップルが両隣の席を購入し、自分がカップルに挟まれる形での座席の配置となった
・座席に座っているとカップルに席を替わってほしいと頼まれた
・その回の映画はある程度混雑しており、カップルが並びで座れそうな席は他になかった

Twitterでの意見

ざっと眺めた感じ、以下の意見が目に留まった。
それ以外にも色々あるはず。

・指定席だから当然の権利として替わらなくてよい
・頼んできた人が図々しい(正当な権利以上のことをしている)
・頼まれたことにより断るという行為が生じてストレスになる
・トラブルに巻き込まれる可能性があるので替わらない方がいい
・席ぐらい替わってあげればいいじゃん
・お互いが気持ちよく過ごすために席くらい譲るのがいい
・カップルのために席を譲るのがいい

ちなみに「席を譲ってあげればカップルが幸せになるのに、譲ってあげないなんて考えられない!」みたいな意見の方も見かけた。
譲らない派orツイート主に対する非難と受け止めた。
人の幸せを思って行動することは豊かで素敵だと思うけど、そうじゃない人を非難してくるのは嫌だなと思う。Twitterだしすごく考えた結果の一言ではない気もするけど。
(これは自分がどちらかというと席を譲りたくないという考え方をしがちで、自分が責められたように感じている部分があるせいかも。)

考え方の基本方針

唐突だが、私の考え方の基本はゆるめの自由主義である。
他者の自由(と幸福)を著しく侵さない限りは個人の行動は自由だという考え方の指針を持っている。
(世の中の全員が同じ主義でないし、同じである必要もないということも認識しています。)

「著しく」の程度が曖昧なので結局きれいに答えが出せるわけではないが、記事を書くにあたっても基本的にはこの考え方が根っこにある。
なので感覚的に大きく意見の合わない方がいる場合はこの部分で主義が異なっているかもしれない。
(自由主義については飲茶さん著書の「正義の教室」ベースで捉えているが、学術的に正確には理解しきれてないかも。)

替わるべき・替わった方がいいという意見について

指定席を購入しているため社会や映画館のルールに則ってカップルに挟まれた座席の権利を持っている。
席を替わらないことでカップルの行動を著しく制限しているわけではないので、「当たり前に替わるべき」という状況ではないと捉えている。

席くらい譲ってあげればいいじゃんという意見

座席の価値は人によって異なる。
「席くらい譲ってあげれば」と気軽に発言する方はおそらく「カップルが隣同士に座ること」or「他人に喜ばれること」>「映画の席」みたいな価値観を持っているんだと思う。それはその人の価値観なので問題ないが、「自分の確保した映画の席」> 「目の前のカップルの幸せ 」という価値観になるくらいその席に座って映画を見ることの価値が大きい人もいるので、一概に「席ぐらい」という判断をするのはちょっと乱暴だなと思う。

替わるべきでない・替わらない方がいいという意見について

カップルが図々しいという意見

図々しいという意見に賛同する。自分の持ってるものは何も差し出さず、相手の持っている権利を自分たちにとってだけ都合のいいように調整しようとしているので。

もしかしたらそういう人は幸せの全体最適みたいなものを考えているのかもしれない。席を譲ることで特にマイナスのない人と、席を譲られることでプラスの出る人、合計でプラスだから全体的に得じゃん、みたいな感じ。
(マイナスがないという判断が主観に依っているので、今回はここで食い違いが生じていると思う。)

あとはカップルがどんなテンションで打診をしてきたかによっても捉え方が変わる。図々しさの自覚があってダメ元でお願いしてくる分には仕方ないかなと思うけど(文字通りダメで元々なら)、替わってもらって当然という姿勢で来ている場合は指定席のルールを理解できていないと思うので、映画の最中にマナーよく過ごしてもらえる等別の不安も出てくるかも。

断るのにも気を遣うという意見

断るのにも気を遣うし、断ることで嫌な気持ちを抱えることになるのでそもそもそんなお願いをしないでほしいという意見もあった。
これは共感できて「そんなお願いをしてこないでほしい」という気持ちは自分にもある。ストレスになるからこんな事態にはなるべく巻き込まれないといいなと思っている。
ただ、もやもやによって著しく自由を侵されているわけでもないし、もやもやの原因は自分の中にあると思っているので「そのお願いをするために話しかけるべきではない」というカップル側への行動制限については賛同しづらい。お願いするのも断るのもそれぞれの自由というスタンスでいたい。

ルール上NGという意見

映画館のチケット発券の規約などで、発券後のキャンセル・変更はNGとなっていることが多いようだ。
ただ、今回の場合は指定席の譲渡になると思われるので、(実際には交換する形だろうけど)譲渡がNGでなければルール上はOKそう。オンラインチケットの場合、交換の手立てがあるのかがわからないけど。

この考え方はちょっと面白いかも。状況としては「俺の指定席あげるからお前の指定席寄越せよ」というやりとりを赤の他人としていることになるのか。

TOHOシネマズのオンラインチケットの販売規約を見てみると、正規のチケット販売価格より高い価格での転売が禁止となっているが、譲渡については禁止とはなっていようだ。

リスクがあるのでNGという意見

映画泥棒を座席で特定することがあり、不用意に席を替わることで冤罪とされかねないという意見もあった。
さすがに席交換だけで冤罪に直つながることはないと思っているが(違法アップロードとか撮影の痕跡がないと犯罪の証明にならないと思っている)、面倒に巻き込まれるリスクが上がるかもという認識は持っておいても良さそう。

結論なのかなんなのか

自分だったらどうするか

自分が両隣空いた席を予約する場合は、①画面が見やすい もしくは ②空いた席で映画を見たい というどちらかの理由だ。私は映画にそこまで強いこだわりがないので一席ずれる程度であれば①は許容できるし、隣に人がいる時点で②は満たされないので、断るのに心を削るぐらいであれば席を替わってしまう気がする。
有事に備えて交換した席を覚えておいてもいいのかも。

できれば。お願いしてくる側の人が腰が腰が低くて可愛げのあるお願いをしてくれたら、譲る側としては気持ちよく対応できてありがたいなと思う。

実行できないけど妄想

あと、勇気とか胆力とか演技力が足りなくて絶対できないけど。
お願いされた時に、呆れながら断るというパフォーマンスができるとちょっといいかもなと思った。
あまり深刻ではなく「何言ってんのこの人たち」という空気にできれば、カップル側に図々しいお願いをしているという意識を持ってもらえるかもしれないし、自分に対して「席を譲れなかった狭量な人」という誤った罪悪感も持たなくてすみそう。
カップル側を傷つけない程度でできるとベストなのかな。
(性格悪いと思います?)

蛇足とお礼

情報量の割に記事が結構なボリュームになってしまった。
もしお目通しくださった方がいましたら、本当にありがとうございます。

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