2019 山梨大学 医学部 看護学科 推薦入試 小論文 模範解答
小論文I
著者が述べる「自己実現」とは、「なりたい職業に就職する」という意味ではなく、ちょうどドングリが、カシの大木になるという素質を発揮して芽を出し、木へと成長するように、人間が各自の身体および心に備わる可能性・潜在力を十分に伸ばす過程を意味する。
私は、上記の意味における自己実現が果たされるためには、人がみずからの潜在力を正しく把握することが重要であると考える。そして、自分の潜在力がどのようなものであるかを知るには、第一に、さまざまなことに挑戦し、自分の好みや得手不得手を浮き彫りにすることが必要である。実際、小学校と中学校の勉強では、ほとんどの児童・生徒が同じ科目群を幅広く学び、そこから自分の嗜好性や得意な分野に気づくようになる。
しかし、ただやみくもに多くのことに手を出しても、自分の可能性や潜在力を十分に把握することは難しい。したがって、それを知るために必要な第二の点は、多くの挑戦から得た経験をもとに反省し、言語化することで、自分の潜在力のあり方を明確に自覚することである。こうすることによって、自分の潜在力が、他人にも理解しやすくなるだけでなく、自分にとっても明確になる。
このように、自己実現のためには自分の潜在力を正しく知る必要があり、そのためには経験に対する反省と言語化が重要である。(547字)
小論文II
問1
家事時間はすべての国で男性のほうが女性より短く、なかでも日本の男性の家事時間は最短である。睡眠時間は、日本以外の国では女性のほうが長いのに対して、日本では女性のほうが短時間である。(90字)
問2
私は、日本の男性の家事時間を長くし、女性の家事時間を短くすることで、日本における男女間の家事時間の格差を是正するべきであると考える。具体的な数値としては、カナダやアメリカのように、女性の家事時間を150分以下に短縮することと併せて、男性の家事時間を100分程度にまで引き上げることで、男女間の時間差を50分以内にしていくべきである。こうして、現在3時間を超えている女性の家事時間が短くなれば、他国と比べて最も短い女性の睡眠時間を延ばし、生活の質の向上につながると思われる。
しかし、家事時間の公平化のためには、それぞれの家庭における取り組みだけでは不十分である。というのも、家事時間の格差を生み出している要因は、家庭内にあるもの(たとえば男性が家事に対して消極的であるとか、家事に対する夫婦間の意見の相違など)だけではないからである。たとえば、現在の日本では、女性のほうがパートタイムで働く割合が高く、結果として家にいる時間も女性のほうが長くなりがちである。したがって、家事時間の格差の原因を突き止め、それを解消していくことが重要である。(463字)