2019 山梨大学 医学部 看護学科 一般入試(前期) 小論文 模範解答

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小論文I

著者は「これまでのリーダーの理想像」として、一個の独立した完璧な個人、意思決定と実務決定をすべて握る中央集権的な人物という特徴を挙げ、これを「リーダー1.0」と呼ぶ。これに対して、これからのリーダーには、自分ではできない部分という「弱さ」と、複数の権限を他人に任せることができる非中央集権的な性格、既存の枠の内部に留まる「後継者」ではなく、新しいジャンルや会社を作っていく「後発」を育てるという三点が求められる。こうした人物は「リーダー2.0」と呼ばれる。社会の変化に伴って、求められるリーダー像も1.0から2.0へ更新される必要があると著者は主張する。


私は、著者が述べるリーダー像の変遷には必然性がないと考える。よって、これに賛成することはできない。仮にこれからの社会が非中央集権的になっていくとしても、だからといってリーダー像も非中央集権的なものになるとは限らない。反対に、各地方にさまざまな権限が委譲されるのだから、それぞれの地域のリーダーにはこれまでよりも大きな権限が与えられることになる。そうであれば、中央集権が崩れることの意味は、著者が想定するような中心の消失ではなく、複数の中心の発生であり、こうして生まれた各中心は従来どおりのリーダー1.0であることが可能である。したがって、社会の変化とリーダー像の推移を安易に重ねる著者の主張には賛成できない。 (571字)


小論文II

「何でもかんで食べることができる」者の割合と、「20歯以上歯を有する者の割合」について、39歳まではどちらもほぼ100%だが、40~49歳で若干の低下が見られ、70~79歳では、前者は七割未満に、後者も半分にまで落ち込む。80歳以上になると、歯の保有状況はさらに悪化し、7割以上の人が20歯以上の歯を保有していない。これに対して、「何でもかんで食べることができる」者の割合は、減少しているとはいえ50%以上を維持している。

この資料から、何でもかんで食べることができることと、歯の保有状況との相関関係は、高齢者ほど弱くなるということが読み取れる。相関性が弱くなるのは、加齢が原因で自分の歯を失っても、かんで食べる能力は入れ歯やインプラントといった技術によって補うことができるからである。こうした技術の進展は、健康な歯の維持とともに重要である。(359字)


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