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2019年度 東京学芸大学 学校推薦型選抜 E類教育支援専攻 カウンセリングコース 小論文 模範解答

オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」


「悩みがあるが、誰にも打ち明けたくない」と思っている高校生について、周囲の人間は、この高校生が「誰にも打ち明けたくない」と思う要因を探るべきだと考える。なぜなら、悩みを打ち明ければ、悩みに対処する方法が見つかったり、悩みが解消される可能性があるのに、解決されるべき悩みを抱えながら「誰にも打ち明けたくない」と思うのは、矛盾するからである。したがって、「誰にも打ち明けたくない」と思う理由を探ることが必要だと考える。そこで、「誰にも打ち明けたくない」と思う理由として、大きく三つの可能性が考えられる。第一に、悩みを打ち明けられる信頼できる人間がいないことである。第二に、自分の悩みが共感されるかどうか不安だということがある。第三に、親や教師に頼ることなく、自分で悩みを解決したいと思っていることが考えられる。したがって、周囲の人間は以上の3つの可能性に対応することが必要だと考える。それでは、この高校生と具体的にどのように接するべきだろうか。
 まず、「悩みを打ち明けたくない」と考える第一の可能性に対しては、この高校生の話を全身で受け止め、肯定するようなコミュニケーションを取ることが必要だと考える。というのも、この高校生をあるがままに肯定する姿勢を示すことによって、この高校生がしっかりと話を聞いてもらえ、受け止めてもらえるという信頼感を得られると考えるからだ。
 第二の可能性に対しては、周囲の人間のほうから悩みがあることを示し、心を開くような姿勢を示すことが大切だと考える。なぜなら、何かに悩んでいる、あるいは悩んだことがある人間がいることを知ることによって、この高校生が悩みを抱えているのは自分だけではないことを知り、安心すると考えるからだ。したがって、周囲の人間は自分が高校生のころに悩んでいた事柄や、現在感じている悩みをこの高校生と共有する試みが有効だと考える。 
 悩みを自分で解決したいと考えている第三の可能性に対しては、この高校生が本やインターネットなども含め、他者との会話以外から悩みの解決の糸口となる情報を得られるような配慮を行うことが必要だと考える。というのも、無理にコミュニケーションを図って解決策となるアドバイスを与えるよりも、この高校生自身が自分の力で悩みの解決策を見出すことが本人の意思に適うものだと考えるからだ。したがって、アドバイスを与えるというよりも、高校生の抱える悩みに関連があると考えられる情報や書籍の存在などを端的に示唆すればよいと考える。
 もちろん、上記以外にもこの高校生が「悩みを打ち明けたくない」と思う理由は考えられる。したがって、周囲の人間はまずもってこの高校生が「悩みを打ち明けたくない」と思う要因に向き合うことが大切だと考える。そのうえで、初めてこの高校生の悩みに向き合うことができると考える。

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