2020年度 北海道教育大学 函館校 国際地域学科 地域教育専攻 小論文
設問1
スキーマとは、私たちの中に既に存在しているひとまとまりの知識である。また、このスキーマをその場に応じて持ち出して、使えるようにすることを活性化と呼ぶ。さらに、文脈とは物事・情報などが埋め込まれている背景・状況である。以上より、物事や情報を理解するためには、物事や情報の背景にある文脈を理解する必要がある。さらに、文脈を理解するためには適切なスキーマを活性化させ、「何の話」かわかる必要がある。したがって、物事や情報の理解には文脈の理解が必要であり、文脈の理解にはスキーマの活性化が不可欠である。(247字)
設問2
小学生の頃、分数の足し算の方法を兄に教えてもらった。分数の足し算では分母を通分し、分子どうしの足し算を行うという計算方法そのものはわかった。しかし、なぜ通分を行うのか、そもそも分数どうしを足し合わせるということが何を意味しているのかはまったく理解していなかった。ところが私の担任の先生は、二つのペットボトルに入ったジュースの残りどうしを足し合わせるという実例を示しながら、分数の足し算が必要な生活における場面や、分母を揃えること、分数どうしを足し合わせることの意味を教えてくれた。
したがって、私が分数の足し算の方法を本質的に理解するためには、分母を揃えたり、分数どうしを足し合わせたりすることの意味を理解するための文脈が必要であったといえる。つまり、担任の先生が示したような誰もが日ごろ触れている日常生活の場面や具体的な例という、私にも共有されている適切なスキーマが活性化されることによって、私は分数の足し算を行う文脈を理解することができた。
以上より、たくさんの子どもたちが「わかる」授業をするためには、教師は子どもたちにも理解が可能な文脈を示す必要があり、文脈を理解してもらうためには、多くの子どもたちに共有されているスキーマを用いた説明を行う必要があるといえる。したがって、教師は子どもたちがどのようなスキーマを有しているのか、子どもたちに適切な文脈を知る必要がある。そのためにも、教師は日常的に子どもたちとのコミュニケーションを行い、子どもたちの備えているスキーマを探り、子どもたちに理解可能な文脈のなかで授業を行う配慮が必要だと考える。(672字)
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