ソムニウム(3)シリウス
冬の夜空に青い星を見た。
きらきらと冷たく輝いていた。
「あの星はもともと赤かった」とオートバイを走らせながら思った。
星はどこまでもついてきた。
家に戻ると宅急便が届いた。
「すでのもけどとおのらかスウリシ」
箱には少女が入っていた。
首から上のない体だった。
どうしよう、と胸に手を当てると、ズブリと沈んで何かを掴んだ。
引っぱると母親の頭が出てきた。
少女の首に当てたが合わなかった。
女教師、つきあった女の子、職場の同僚、女優やアイドル、すれ違っただけの女、いくらでも胸から頭が出てきた。
どれも少女には合わなかった。
自分の頭を斬り落として当てると、ぴったり合ってくっついた。
美しい顔に変わった。
青い瞳に青い髪をしていた。
立ち上がって少女が言った。
「あなたの中でずっと待ってた─────わたしを生きて、赤い色に戻して」
気がつくとオートバイを走らせていた。
明けの空に赤い星が輝いていた。
あれを追いかけて地の果てまで行こう、と思った。
(終わり)
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