見出し画像

アオアシ エスペリオンユース 各年代キャプテン考察

2022年夏現在、TVアニメも放送中で、多くのサッカー関係者からも絶賛されているアオアシ。私も武蔵野戦前頃から読み始め、今ではすっかり、その魅力に取り憑かれています。
ここでは、本作の主人公、青井葦人(アシト)が所属する東京シティ・エスペリオン ユースの各歴代キャプテンについて、触れてみたいと思います。
本作では過去のキャプテンの姿は描かれていない為、対象は、三年生・義経健太、代替わり後の二年生・阿久津渚、現一年生の中でのキャプテン大本命・大友栄作とします。
現時点では、アニメで描かれていない場面も有り、ネタバレの要素を含むこと、予めご了承ください。

みんなのキャプテン 義経健太

現在、高校三年生、トップチームへの昇格も決まっており、U-18日本代表でもある義経健太です。
U-18日本代表でもスタメンで活躍する程ですから、その実力には、間違いありません。ケガのリハビリの為にBチームの試合に出場した際も、圧倒的な実力を見せ付け、周囲を驚かせていました。

語尾が変

そんな圧倒的な実力者である義経の特徴の一つとして、語尾が変というのがあります。大事な話をしていても、モジョモジョやホニャララ、、で終わってしまい、語尾が良く聞き取れず、初対面の人は、かなり困惑します。
試合中にも「語尾語尾!」と指摘される程です。
他にも、アシトに対する「それでいいナリ。キテレツそれでいいナリ。」と唐突にコロ助になってみたり。下級生に対してもいつも同じような態度で、上下関係無く、とにかく茶目っ気のある性格です。

チーム思い

そんな義経ですが、チームを思う気持ちは、人一倍です。自身が海外遠征によりチームを離れた時、残したチームの連戦連勝に大喜びする場面が描かれています。
また、福田達也監督に「サブが強くなくては、いずれ、レギュラーも弱くなっていく。」と、レギュラーとサブの実力差を指摘された後、サブのメンバーの特訓の成果もあり、その後のチーム内練習が非常に活性化する場面があります。ここで、ふと、義経の表情だけのコマに移ります。ここでは、義経のセリフは無いのですが、表情だけで、チームがより強く成長することに対する喜びを、全て表現しています。

締める時は、締める

誰とも分け隔てなく接することができ、チーム思いの義経ですが、作中で一度だけ、チームメートに厳しさを見せた場面が有ります。
エスペリオンの山田豊高杉榮太、阿久津と共に海外遠征中、チームメイトの日本での活躍を受け入れられない阿久津に対し強く叱責します。(この時は、語尾は変になりません。)

ただ、ここでも決して阿久津を見放している訳ではなく、その後の場面では、チームが阿久津に何度も助けられていることを語る場面があり、阿久津を心の底から信頼している様子が伺われます。

上記の通り、義経は、まさにチームのキャプテンと思わせられる存在です。
同級生の他のキャプテン候補は、小早川透士であったでしょうか。チーム思いで実力も十分。チームを引っ張ることもできる存在ですが、キャプテン義経がいたうえでのサポートの立ち位置が最も合っており、バランスが圧倒的に良くなります。
三年生メンバーが揃って、お好み焼きを食べる場面でも、義経は自身でボケつつ、周りもイジり、最終戦が近づく中、しんみりしがちなところを軽やかに笑いに変えます。
さすが、「みんなのキャプテン」義経健太です。

こわ~~~~~~い人 阿久津渚

こちらも義経同様、U-18日本代表 阿久津渚です。代替わりにより、作中の途中からキャプテンを務めることになります。
作中では、入団テストの時点からアシトの敵として立ちはだかります。
初期の頃は、とにかく性格が悪く、表情が怖いです。完全にヒールです。こんな人がキャプテンになるんだったら、ぜったい、そのチームには入りたくありません。

時折見せる性格の悪さは、壮絶な生い立ちによるものですが、作中では、自身の背負ったものを乗り越えることにより、精神面の成長を遂げる様子が描かれています。

圧倒的なフィジカル

U-18日本代表のCBとして選出され、圧倒的なフィジカルが注目されています。作中では、同じく日本代表FWのトリポネ・ルフィンとも当たり負けすること無く互角にわたっており、作中では、力負けする場面はほぼ描かれていません。チームメイトが大事な話をしている時にも、ずっと裸で筋トレをしていました。その後、同学年の高杉にチームへの無関心さを指摘され、謝罪の言葉も口にするのですが、自身の非を認めた場面は、ここが初めてだったかと思います。

高い戦術力

入団テスト、Aチーム対Bチーム、レギュラー対サブ、エスペリオン対他チーム、と多くの場面で阿久津のゲーム中の様子が描かれますが、高い戦術力を感じさせる場面が多いです。同チームのU-20日本代表・栗林晴久の高レベルの発想に、アシト以外で追いつくことができた唯一人の選手です。
他にもチームメイトに的確なコーチングをすることで、チームの危機を救ったり、勢いをつける場面が多々見られます。この高い戦術力は、ユース入団後、唯一人のセレクション上がりであり、周りのことが良くわからないなか、チームメートを徹底的に観察したことにより得られたものと思われます。

強い精神力

自らの生い立ちもあり、プロのサッカー選手になることを最優先と考え、周囲と打ち解けることも無かった阿久津。ストイックに自身を追い込むことにより、日本代表に選ばれる程、圧倒的な実力を身に付けます。
そんな中、育児放棄した、自身の母親の死に対して、正面から向き合うことにより、さらに強い精神力を身に付けることになります。

『ユースは、メンタルが弱い』と言われる中、セレクションによりユース入りした阿久津やアシトは、作中でも異質の存在として描かれています。
この二人の精神面での成長の様子が、本作品の軸になっているように思われます。

二年生のキャプテンは、順当に行けば、高杉であったことだと思います。そんななか、チームメイトの総意でキャプテンに推薦された阿久津。上記の通り、チームを勝利に導き、ユースの弱点をカバーすることもできることが、大きな要因であると思われます。
加えて、栗林や高杉の存在も、要因の一つと考えられます。二年生は、ジュニアユース時から、栗林という圧倒的な存在を目の当たりにしている世代です。コミュニケーション面はともかく、全てをサッカーに捧げ、チームを勝利に導く栗林の存在は、チームメイトにとっても尊敬の的でした。圧倒的な実力者を全面的に認める気持ちは同級生の全員が持っていたものと思われます。
また、FWでありながら、自身のエゴを抑え、チームに全てを捧げることができる高杉。優等生タイプであり、考えの違いから、阿久津と激しく口論する場面もありますが、阿久津のサッカーの実力や精神的な強さは認めており、チームが強くなる為であれば、自身の立場に固執することもありません。自ら進んで副キャプテンとして、阿久津を支えることで、チームに貢献することを選びました。
栗林、高杉の内、どちらか一方がいなくても、キャプテン阿久津は誕生しなかったように思われます。

天才 大友栄作

アシトと共にセレクションにより、エスペリオンユースに入団した大友栄作。既にコーチ、チームメイトからも、その主将気質を認められており、このまま順当にいけば、次世代のキャプテン間違い無しと思われる存在です。一見、モテる為にサッカーをやっているかと思うほど、とにかく女性好きであり、軽い印象ですが、素晴らしい能力を秘めています。

コミュニケーション力

大友は、作中でもコミュニケーション力の高さが際立っています。セレクションでは、自身と同じチームになるであろう選手に積極的にコミュニケーションを図り、アシトとも一番最初に打ち解けた人物です。プロを目指すことが前提であるユースでは、チームメイトも全員がライバルです。そんななか、チームメイトの活躍や成長を素直に喜ぶことができる等、大友の懐の深さが見て取れます。

尚、この懐の深さは、いざ女性絡みの話になると、全く活かされません。アシトが女性と仲良く会話している様子に苛立ちを感じ、喧嘩している様子を見掛けた時には、非常に晴れやかな表情を浮かべます。

観察力

大友は、とにかく周りのことを良く観察しています。上記のセレクション時に同じチームになるであろう、選手をいち早く見極めたり、試合においても、ベンチから戦局を見極め、自身が出場した際にやるべきことを正確に把握することができます。監督、コーチにもその能力を高く評価されています。

その観察力は、女性方面にも活かされており、高校入学早々に学内のかわいい子リストを作成していたり、女性の心の機微にも敏感に気づくことができます。(ただ、自身が女性にモテるかどうかは、別です。)

強い精神力

阿久津同様、大友も作中で精神力の高さが注目されますが、タイプは大きく異なります。阿久津が逆境を跳ね除ける、ストイックなタイプであるのに対し、大友は、割り切り力の高さを感じさせるタイプです。
試合前は、ガチガチに緊張するのですが、いざ試合が始まると、極めて冷静に、動くことができます。ここでは、チームメイトの橘総一郎をして、「笛が鳴ったら、最強」と言わしめます。また、「終わった試合はもう過去だ!基本どうでもいいぜ。」と言い切るなど、どうにもならないことに対する割り切りの早さも見せます。
その精神力の強さに、いち早く注目していたのは、Bチームの伊達望コーチです。大友本人の自覚が全くない中、主将気質であると評し、驚かせます。
振り返ってみると、これまでにもチームの結束が強くなる場面には、必ず大友の存在がありました。そんな大友の特性にいち早く気づいた伊達コーチは、素晴らしいと言わざるを得ません。

現在、大友は一年生であり、次のキャプテン選出までには一年の期間がありますが、現時点では、他の候補は考えられません。圧倒的大本命と言っても過言では無いでしょう。それくらい、現一年生には、主将気質を持った他の候補が見当たらない、というのもあります。
アオアシで、この先、どの学年まで描かれるかわかりませんが、是非、大友キャプテンの誕生まで連載が続いて欲しいと、願います。

まとめ

作中で、結果が出ずにスランプに悩む橘に対し、「たぶんあなたは他の活躍しているFWとは、違う強さを持つFWではないか?比べても仕方がない。」という旨を、女性記者が述べる部分があります。上記の通り、各キャプテンの強さも、全く異なっているものです。各々の育ってきた環境や、素質、考え方も異なる中、周りにも支えながら、キャプテンとして大きな成果を収めています。自身の強みを活かすことの大切さを改めて感じさせられます。

アオアシは、魅力的なキャラクターが多く、名言、名場面も多い為、なかなか収まらないと考え、今回はキャプテンという切り口でまとめてみました。
また機会があれば、普段注目を浴びることが少ないキャラクターにもフォーカスを当ててみたいと思います。

補足

各キャプテンの見出しは、作中の各個人に対する評価です。
それぞれの評価者は、以下の通りです。

・義経健太 : 義経健太
・阿久津渚 : 一条花
・大友栄作 : アシト

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?