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【こども・子育て】子育て支援の財源「支援金制度」の枠組みが固まる

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子育て支援の財源「支援金制度」の枠組みが固まる

<概要>

 政府が少子化対策の財源確保のために2026年度から公的医療保険料と併せて徴収する「子ども・子育て支援金」を巡って、国会で議論が行われています。
 岸田文雄総理大臣は、2月9日の衆議院予算委員会で、2028年度に1兆円を確保した際の加入者1人あたりの拠出額は「粗い試算として月平均500円弱になると見込まれる」と答弁しました。実際には、大企業の従業員らが加入する健康保険組合や自営業者などが加入する国民健康保険といった公的保険の種類や、加入者の所得などによって異なり、民間の試算では被保険者1人当たりの負担額は協会けんぽで638円、健保組合は851円、公務員などの共済組合で898円とされています。
 また、政府は世代間負担の調整について、74歳以下の医療保険の加入者と事業主が全体の9割余りを負担する方向で調整しており、野党からは「事実上の増税」、「子育て世帯の負担が大きい」などの批判が上がっています。

<これまでの課題>

 2022年の出生数は約77万人と過去最少を更新し、1人の女性が一生のうちに産むこどもの数である合計特殊出生率も1.26と最も低くなりました。少子化に伴い、人口減少と高齢化が急速に進んでいます。
 さらに、1990年から 2000 年までの 10 年間の出生数は約3%の減少であるのに対し、2000 年から2010年は約10%の減少、2010 年から 2020 年は約 20%の減少となっており、2030年代以降、若年人口は急速に減少することがわかっています。
 このため政府は、「2030 年代に入るまでのこれからの6~7年が、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンス」であるとし、2023年12月にこれからの3年間で行う少子化対策の具体策を「こども未来戦略」として取りまとめました。
 「こども未来戦略」では、児童手当の拡充、育休給付の給付率引き上げ、多子家庭への支援などが盛り込まれており、2026年度までに3兆6000億円程度の財源が必要となります。
 政府は、既存財源の活用により1兆5000億円程度、医療・介護の歳出改革で1兆1000億円程度、健康保険の枠組みを利用して新たに国民から徴収する「支援金制度」により1兆円程度を確保することとしています。
 「支援金制度」の制度のあり方については、こども家庭庁が「支援金制度等の具体的設計に関する大臣懇話会」において、医療保険者が医療保険料とあわせて支援金を徴収し、国へ納付する仕組みとする方針を示し、今国会で関連法案を成立させることとしています。

<これまでの取り組み>

・2023年12月、「こども未来戦略」を閣議決定し、児童手当の拡充、育休給付の給付率引き上げ、多子家庭への支援などを盛り込む。
・2023年11月、こども家庭庁が「支援金制度等の具体的設計に関する大臣懇話会」を開催。支援金制度等の具体的な設計について方針を固める。

<論点>

・岸田総理は、国民一人当たりの負担額をおよそ月500円程度と述べていますが、実際の負担額は月500円よりも高くなるという試算があります。
・子ども子育て支援金は、健康保険料と合わせて徴収することとしていますが、野党からは「事実上の増税」との批判が挙げられています。
・健康保険の枠組みを活用するため子育て世帯からも費用が徴収されることに批判が挙げられています。
・高齢者の負担割合が小さいことから世代間の不平等が指摘されています。

(参考)
・こども家庭庁「こども未来戦略」(2023年12月22日閣議決定)
・日本経済新聞「少子化対策の支援金、月負担は大企業851円・中小638円
・こども家庭庁「支援金制度等の具体的設計に関する大臣懇話会
・NHK「政府 少子化対策の「支援金制度」段階的拡大で調整 設計急ぐ
・NHK「少子化対策「支援金制度」現役世代含む74歳以下が9割余負担へ


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