これまでのわたしとこれからのあなたにさよなら

あなたは今日、わたしの知らない世界に連れていかれてしまった
こんなにきれいに晴れたのは、あなたが晴れ女だからだね、きっと
「███ちゃん、こっちに来なよ」
真っ青な空に存在感たっぷりに鎮座する太陽から
外に日差しがさんさんと降っている
「███ちゃん、こっちに来てよ」
白くてきれいでこの世に
同じものなどないこの物体を
あなたのもとにとどけるために
わたしは一歩一歩
ゆっくり近寄っていく
「███ちゃん、ありがとう」
窓ガラスが切り取った
明るい平行四辺形が床に落ちている
わたしはあなたの名前を呼んだ
今まで通りというわけには
いかなくなっちゃった今になって
わたしを落ち込ませないために
こんなに眩しくわたしを照らしているの?
ありがとうわたしのかけがえのない██よ
わたしも着実に進んでいくから
「███ちゃん、行かないで」
たくさんの友人に囲まれて忙しくしながら
あなたはわたしを見逃さなかった
遥か遠くの太陽が地球の全てを見逃さないように
わたしのあげたプレゼントの上に
やさしく陽の光が載っている
陰と陽のバランスが変わっていくのを
わたしはそっと眺めている
何層にも重なった
送り主の違う
あなたへの愛情の証が
だんだん影に呑まれていく
わたしたちが一緒に遊んでいたときに
偶然生まれたハイコンテクストなやりとり
それももう続編は出ない
「███ちゃんの幸せを願ってる」
まあ絶対とは言えないけどさ
ああ、わたしがもう手出しできない
そんな場所に入って
静かに笑っている
わたしの大切な██よ
あんなに明るい太陽だって
薄い板の陰は見えない
夜になったら
何一つ見えない
「いなくなるわけじゃないよ、絶対███ちゃんを忘れない」
あなたに降り注ぐ柔らかい光に
わたしはいま心から願う
どうかこれが未来永劫あなたを包む
黄金のヴェールとなりますように
わたしはあなたとの思い出をかけて願う



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