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交番勤務ってどうなの?(先輩、変死現場が好きなんですか!?)

今回は変死の現場について書きます。おまけ以外は無料です。是非読んで行ってください。


交番勤務をしてると「変死」という臨場指令を受けることがあります。

変死とは簡単に言うと自宅などで誰も見ていない状態で人がお亡くなりになった場合です。

病院でお亡くなりになった方は、医師などがすぐに病死と判断できますよね。

でも誰も見ていない時に自宅でお亡くなりになった方は、病気や自殺でお亡くなりになったように見えても、犯罪で殺された可能性も排除できません。

そこで警察官が臨場して現場保存、持病の有無、付近の聞き込み、(自殺だったら)自殺の状況、遺体の不審点等を調べるわけです。

ご遺体や周囲の状況の調査、これが検視です。

刑事訴訟法には検察官が検視をしなければならないと規定されています。

しかし、これを司法警察員にやらせることができるとも規定されています。

よって、この検視を検察官がやることはまずありません。

実態は警察官の仕事と言って間違いないでしょう。

この検視ですが、所管の交番勤務員が間ほぼ違いなく第一臨場します。

そして、規制線をしたりして現場保存をします。

もちろん、現場を壊さないように下足カバーや手袋もします。

現場保存以外は刑事課員がほとんどやります。

地域課員もご遺体を運んだりといった手伝いをします。

さて、この変死事案ですが、私は本当に苦手でした。

病死

まず、お亡くなりになった方が腐敗によりすさまじい臭いを発していることがあります。

事実、集合住宅などでの異臭で警察に通報が入り、変死が発覚することもよくあります。

特に夏場は腐敗が進みやすく、臭いも強くなります。

別に腐敗臭が好きな人はあまりいないかもしれませんが、目の前にご遺体があると、そう考えている自分が恥ずかしくなり、申し訳ない気持ちになります。

一人暮らしのご老人などが病気等で亡くなった場合、いつも連絡を取っている人がいないと腐敗が進むまで誰も気付かないことも珍しくありません。

今後、高齢者が増えるにつれて変死の臨場指令というのはますます多くなって、警察も大変になっていくんだろうと思います。

自殺

次に、自殺です。
これもきつかった。

病死は高齢の方が圧倒的に多いのですが、自殺の場合は年齢も様々です。

もちろん若い方もいます。

私が臨場したのは首吊り自殺が多かったです。

現場保存をして、刑事課員が来るのを待っている間、ぶら下がっているご遺体を見ていると、心の中がかき乱されます。

「なぜ、自殺をするまで追い込まれてしまったんだろうか。」「そんなに苦しいことは何だったんだろうか。」などと考えてしまうのです。

お亡くなりになった方がなぜ自殺という道を選んでしまったのかと、気分が深く深く落ち込んでいきます

そんな日は交番での仮眠もなかな寝つけません。

若い方が自殺されて、お母さんが放心状態で座り込んでいる姿を見たことがあります。

お母さんは息子さんが自殺された原因が全く分からないんです。

これは、肌感覚ですが、ご遺族は自殺の原因に心当たりがないことが多いな、と思います。

顔に血が…

3つ目はご遺体を触るのにやはり抵抗があったということです。

ご遺体を触るのが好きだという人もそんなにいないかもしれませんが、私も喜んでご遺体を触りたいとは思えませんでした。

大変だったのが、首吊り自殺の現場でご遺体を降ろす場合です。

まず足を抑えてご遺体が揺れないようにします。

そして脚立で頭のほうまで登って行った別の警察官が縄を首から外します。

そして頭の方を持ちながら少しずつ脚立を降ります。

同じ高さまで降りてきたら体を水平にしてゆっくりご遺体を降ろすという具合です。

舌を噛んでいたり、飛び降りる時の衝撃からか、身体のどこかが裂けていて出血している場合もあります。

そんな時、下で足を抑えている私の顔に血がポタポタと落ちて来たこともありました。

警察官は必ずB型肝炎のワクチンを打ちます。

血液や体液に触れる機会が多い仕事だからです。

だからといってお亡くなりになった方の血液やらが顔や口元について何も感じないはずはありません。

もし口の中に入ってしまったらと考えると、内心ビクビクです。

しかし、仕事ですし、公務員、警察官という立場で動揺する素振りなど見せれるはずがありません。

ご遺族が我々の仕事を遠巻きに見ていることもあります。

ちなみに、変死事案は事件事故に比べたら少ないのですが、一日に2件とか3件とか連発することもあります。

管轄区域の住民の年齢層によっても頻度は異なります。

今まで20人くらいのご遺体を拝見しましたが、一度も事件性のあるものはなく、全て病死か自殺でした。

変死現場が好きな先輩


私が苦手な変死事案ですが、驚いたことに変死事案が好きだという警察官もいるのです。

先輩の刑事課員でしたが、もちろんご遺体そのものが好きなのではありません。

検視をしてご遺体や周囲の状況などから殺人等の事件の痕跡が無いかを探すのが好きなんだそうです。

こういう方がいるから日本の治安は守られているんだな、と本当に心の底から感心しましたね。

警察官は変死事案に限らず、死を間近に感じる職業です。

交通事故現場でも殺人事件現場でもご遺体を拝見したことがあります(もちろん医者が判断する前の状態ですから、お亡くなりになっていると警察官が勝手に判断できないですが、見た感じで分かります)。

警察官を続けている以上、死と向き合わなくてはなりません

その大変さが分かるだけに、心労や激務に耐えて日本の治安を守ってくれている警察官には感謝の想いしかありません。

「殺人!?」「いや、加減を間違えたんだよ」(おまけ)



最後に余談ですが、私が臨場した変死現場で強烈に印象に残っている事案をご紹介します。

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