自己中心主義勇者 egoistic hero

第八十六話 「戦いが終わって」

シューティングスター城のモンスター達は全て元の人間に戻され、一部は体調が悪い者もいたが、全員無事保護された。
サンライト城の一般兵も何人かは骨折などをしていたが、全員命に別状はなかった。
カズマはシューティングスター城のコンピューターを調べていた。
戦闘に勝利したという事でこの場でサンライト城の一般兵を労う宴を開きたかったが、Bシェルターでは食料がそれほど多くなかったので諦めた。
代わりに大量の酒を盗賊ギルドに用意させ、夜には組み立て砦で飲み会を開いた。
マリはサンライト城の一般兵一人一人に労いの言葉をかける。
カズマとドグマは固い握手を交わすとお互いの状況を振り返った。

ドグマ:「いや~、リザードマンが地面潜って来た時はあせったぜ!」
カズマ:「でも地面凍らせるってのはいい策だよ。流石だね隊長。」
ドグマ:「まぁな我ながら冴えてると思ったぜ。」

ガハハと大笑いで酒を飲むドグマ。
ふと辺りを見渡しトライがいない事に気付いた。

ドグマ:「そういえばトライがいねぇな・・・」
カズマ:「アイツか?アイツは・・・」

カズマは少し寂しそうな表情をした。

カズマ:「モンスターを元に戻す光を受けて消えたよ・・・あいつはクローンだから遺伝子だけになって消えちまった。」
ドグマ:「そうか・・・そりゃ残念だ・・・」

ドグマも少し寂しそうに下を向いた。

カズマ:「アイツは最後の最後でマリが襲われそうになったのを守った。最高の働きをしてくれた。」
ドグマ:「そうか・・・よくやってくれたんだな・・・そうか・・・」

そう言うとドグマは涙を流し酒をグッと飲みほした。
カズマはドグマに酒をついだ、ドグマもカズマに酒をつぐ。
そして二人は乾杯をした。

カズマ:「トライに・・・」
ドグマ:「ああ!トライに!」

ささやかな宴で盛り上がる一般兵達。
マリが最後に全員に向かって労いの言葉をかけて宴は終了した。

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