自己中心主義勇者 egoistic hero

第八十三話 燃えよカズマ

カズマ:「カーン!第二ラウンド開始~。」

カズマはわざとふざけた声を出して、ファイティングポーズをとりながら軽やかなステップで左右に動いた。
ステップを踏みながらアレクの周りをゆっくりと回る。
トライも同じようにステップを踏みながらカズマの逆の方向へ回る。
アレクは二人の動きを警戒している。
踊る様な二人の動きに戸惑いを感じているようだ。

カズマ:「シュッ!」

カズマが気合と共にジャブを放つ。
間合いが遠いのでアレクにヒットする攻撃ではないがアレクは少し身をかわす仕草をする。

トライ:「シュッ!」

今度はトライが短い横蹴りを放つ。
これも間合いが遠かったがアレクはスッと後ろに下がる。

カズマ:「オリャ!」

おちょくったような声をあげてカズマが攻撃するふりをしてまたステップしながらアレクの周りを回る。
フェイントをかけられてビクッと反応するアレク。
なかなか踏み込んでこない二人の動きにイラついてアレクが吠える。

アレク:「貴様ら!おちょくってるのか!」
カズマ:「いや~真剣ですが。何か?」

カズマとトライはアレクを中心に対角線上に来るようにしてアレク周辺を軽いステップを踏みながら回る。
アレクは同じ顔の男二人に挟み撃ちにされているのでどちらにも気を配らなくてはならなかった。
イライラが頂点に達したアレクはカズマに襲い掛かる。
アレクがカズマにつかみかかるとカズマは後ろにススス・・・と逃げていく。
なおもカズマを掴もうと両腕をあげたアレクの背中にトライが横蹴りを放つ。
ドガッ!とトライの蹴りをうけてアレクは前に倒れる。
地面に伏したままトライを睨みつけるアレク。
今度は立ち上がりトライに襲い掛かる。
トライもカズマと同じように後ろにススス・・・と逃げていく。
そして今度はカズマがアレクの背中に蹴りを入れる。
ドガッ!とまたも前に倒れるアレク。

カズマ:「へ~い、どうした大将~。調子悪いのかい?」

なおも軽やかなステップを踏みながらアレクを挑発するカズマ。
アレクは鬼のような形相で立ち上がりカズマを睨みつける。
カズマとトライに遊ばれて先ほどまでの余裕がアレクから無くなった。
無防備にカズマとトライに飛び掛かり、ヒョイヒョイと軽くあしらわれた後、背後からの攻撃で何度も転ばされてしまう。
何度かそれを繰り返すうちにアレクの息が切れてくる。

アレク:「ウガ~!」

乱心したアレクが雄たけびを上げて両腕をあげてカズマ目がけて飛び込んだ。

カズマ:「やっちまったなアレク・・・スキだらけだぜ!」

カズマが拳に力を込めるとナックルバーストが輝きだす。
カズマはノーガードで飛び上がったアレクの胸にナックルバーストを叩き込んだ。
ドゴン!
爆音とともにカズマの拳がアレクにクリーンヒットして体を後ろに吹き飛ばす。

アレク:「グォッ!・・・」

アレクは口から血を吐きながら物凄い勢いで後ろに吹き飛んでいった。
そこへトライがアレクの腹にかかと落としを喰らわせる。
グシャッ・・・ドスン!

トライの攻撃をもろに受けたアレクは床に体を叩きつけられた。
そしてアレクは白目をむいて気絶した。

カズマ:「やったぜ兄弟。」

カズマはそう言ってトライとハイタッチをした。
バシッ!
カズマは照れくさそうに笑うトライの頭を荒っぽくなでた。

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