自己中心主義勇者 egoistic hero

第八十八話 マナの慰労会

サンライト城に帰った後、三人はシャワーを浴びてスイートウォーター城の援軍の前に現れた。
マリはミツに感謝の意を示し、ヒデにも通信でお礼の言葉を述べた。
カズマもスイートウォーター城の援軍達の武勇を称えささやかな宴を開いた。
その後にカズマはヒデにシューティングスター城の管理を依頼した。
今回の戦功としてシューティングスター城を譲渡するという条件でヒデと交渉をしてこの件は解決する。

スイートウォーター城の援軍の半数がシューティングスター城に向かった頃、ようやくマナが目を覚まし、サンライト城に戻って来た。
既にカズマ、マリ、メイの三人が帰って来ていると聞いて、マナはコンピュータールームへ急いだ。

マナ:「カズマ様!マリ様!戦況は?」

コンピュータールームへ入るとマナは叫んだ。
テーブル席にはカズマ、マリ、メイがマナを待っていた。
テーブルの上にはマナの好物ばかりが用意されていた。

カズマ:「マナ先生お疲れ様~!」
メイ:「お疲れ様~!」

パン!パン!
カズマとメイはそう叫びながらクラッカーを鳴らした。
クラッカーの音にマナがビクッと反応する。

マナ:「え?・・・」
カズマ:「ミツとか援軍の奴らから聞いたよ。召喚魔法ってすげぇな。」

そう言うとカズマはモニターにマナがアマテラスを召喚してリザードマンの軍勢を焼き尽くすシーンを移した。
みるみるうちにマナの顔が真っ赤になり、うろたえている。

マナ:「あああああ・・・こ、これダメです・・・消して・・・あああ、はずかし・・・」
マリ:「私もこんな魔法初めて見た。まさに守護神だな、マナ。」
メイ:「オマエすごいアル!」

メイがワシワシとマナの頭をわしづかみにしてなでる。

カズマ:「ひょっとして今この世で最強なのはマナ先生かもな。」
マナ:「そそそそんなこと・・・ななななないです・・・」
カズマ:「いや~この表情見てよ、実に神々しい。やはり神の子はちがいますなぁ。」
マナ:「ああああ・・・もう・・・やめて・・・」

マナはしきりに恥ずかしがっている。
そんなマナをマリが抱きしめる。

マリ:「私や皆が留守の間に一人でよく頑張ったな。本当にありがとう。」
マナ:「マリ様・・・」

マリに労いの言葉をかけてもらったマナは泣き出した。
カズマもそんなマナの頭をなでながら労いの言葉をかけた。

カズマ:「オマエのお陰でこっちも無事ミッション終了できた。ありがとうな。」
マナ:「よかった・・・これで世界は救われたんですね?」
カズマ:「ああ・・・そうだな・・・」

マナはカズマの歯切れの悪さが気になった。

カズマ:「まあ今日はお前のお疲れ様パーティーだ!食い物飲み物全てお前の大好物だ!」
マナ:「嬉しいです!」
カズマ:「あと他に欲しい物があればなんでも言ってくれ!」
マナ:「・・・特に思いつかないです~」
マリ:「じゃあゆっくり考えてくれ。」
メイ:「ペンダント欲しいアル!」
カズマ:「オマエに聞いてねぇよ!」

メイのボケとカズマのツッコミで場が笑いに包まれる。
そんな中マナが思いついたようだ。

マナ:「カズマ様・・・私このペンダントがほしいです。」

そういうとマナはカズマから借りたペンダントを一度外してカズマに手渡した。

カズマ:「コイツはちょっと古いから新しいのを作るよ。」
マナ:「いえ・・・このペンダントが欲しいんですが・・・ダメですか?」

マナがやや上目づかいでお願いモードをしている。
カズマは微笑んでマナの首にペンダントをかけた。

カズマ:「いいよ。コイツはオマエにあげる。」
マナ:「ありがとうございますカズマ様!とっても嬉しいです!」

マナは今日一番の笑顔でカズマのプレゼントを喜んだ。

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