自己中心主義勇者 egoistic hero
第八十二話 「頑張れトライ」
アレクの後に続きトライは天守の広間にたどり着いた。
アレク:「おや?マスターはどうした?それに女も。逃げたか?」
トライ:「オマエは僕が相手をする。」
トライの真っすぐな目を見てアレクが大笑いした。
アレク:「ワハハハハハハ、いいぞ!かかってこい!」
そう言うとアレクは腰を落とし、ファイティングポーズをとった。
またも力強いオーラがみなぎる。
アレクから物凄い圧力を感じながらもトライは一気に駆け寄った。
そしてアレクに力強く左右の拳を打ち出す。
ガガガガガ・・・・
アレクはトライの攻撃を全て両腕で受け止めつつ後ろに下がる。
トライ:「フンッ!」
気合と共に右のストレートをトライは打ち込む。
アレクはトライの腕を上に受け流しながら両手で掴みトライを前方に投げつける。
トライは空中で態勢をかえて身軽に着地する。
トライの着地した背後からアレクが突進して背中に横蹴りを喰らわす。
ドガッ・・・
にぶい音をたててトライの体が吹っ飛ぶ。
トライは体をひねり側面から地面に落ちた。
ズササササ・・・・
ほこりを舞い散らせながら床をすべっていくトライ。
ようやくすべるのがおさまった地点にはアレクが待ち構えていて、トライの顔面めがけて蹴りを放つ。
トライは両腕で顔面をガードして蹴りを受け止めるが、そのまま後ろへ吹っ飛ばされる。
背中から地面に落ちた後床を滑っていくトライ。
止まったところでまたアレクが待ち構えていた。
今度はトライの胸の当たりにストンピングを叩きつける。
ドゴッ・・・ドゴゥ・・・ダンッ・・・
二発のストンピングを受けた後、トライは横に転がり三発目をよける。
胸を押さえながら立ち上がるトライ。
ゴホッゴホッっと苦しそうにせき込んだ。
フラフラになっているトライを見て嬉しそうに笑うアレク。
アレク:「どうした?もうおしまいか?」
そこへカズマが階段を上って現れる。
カズマ:「カーン!第一ラウンド終了~。」
カズマはトライに近付き肩を抱きかかえて耳元に口を持っていく。
カズマ:「トライ。グッジョブだ。あと30分もたせりゃ自動でモンスターを元に戻せる。」
トライ:「30分も?長いよ・・・アイツ強い。」
弱気な発言のトライにカズマはハッパをかける。
カズマ:「大丈夫だトライ。カズマ様がついてる。オマエならやれる!」
トライ:「わかったやってみる・・・」
カズマ:「大丈夫だ俺と同じ動きをやるんだ。奴を挟み撃ちだ。」
そう言うとカズマはトライの背中を叩き、ファイティングポーズをとる。
同じ様にトライもファイティングポーズをとる。
アレク:「ほう・・・今度は二人がかりでくるか。」
アレクはまたも不敵に笑いながらクイクイと手招きをしてから構えた。
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