自己中心主義勇者 egoistic hero

第八十五話 「勝利」

シューティングスター城のコンピューターは起動すると光を放った。
その光は一つ一つモンスターを目がけて飛んで行った。
光が命中したモンスターは雄たけびをあげながら姿形を変えていった。
DNAを操作された人間達が元の姿に戻っていく。
ドグマ達を襲っているリザードマン達も次々と光を受けて消えていった。
その様子を見てドグマとサンライト城の一般兵達は攻撃をやめる。

ドグマ:「カズマがやってくれた!遅いんだよ、あん畜生!」

ドグマが涙声で叫んだ。
一般兵達はそれを聞いて爆笑していた。

孔明:「なんだ・・・これは・・・」

うろたえる孔明にも光が命中し、注射したモンスターのエキスも消失した。
途端に側にいたリザードマンが孔明を襲う。

孔明:「ウワ~!」

次の瞬間孔明はリザードマンに頭から丸ごと喰われた。
ピクピクと痙攣する孔明の体。
そのリザードマンにも光があたり、首のない孔明の身体を放り投げる。

シューティングスター城のコンピュータールームのモニターで外の様子を伺うカズマ。
まだ寝ているメイの後ろにまわり、背中のあたりをグッと押した。
ウッ!といううめき声をあげてメイが目を覚ます。

メイ:「あ・・・パーパ・・・おはよ・・・」
カズマ:「呑気だなバカ娘」

やれやれという表情でカズマは立ち上がり横たわるトライを両手で抱え上げる。
すると光がトライに当たり、トライの体が徐々に消えていく。
やがてうっすらとした光を残し完全にトライは消えた。

マリ:「どういうことなんだ?」
カズマ:「クローンは元が遺伝子だけだから消えるのか・・・」
メイ:「トライ消えちゃった・・・寂しいアル。」

トライが消えていくのを目の前で見たマリとメイは寂しそうにうなだれていた。
二人の肩をカズマが両手で抱き支える。

カズマ:「元気だせよ。トライに笑われるぞ?」

三人はコンピュータールームから光が出なくなるまでボーっと眺めていた。
光が止まった頃カズマはワイヤレスマイクでドグマに通信を飛ばした。

カズマ:「こちらカズマだ。ミッション終了だ。俺達の勝利だ!」

カズマがそう宣言したのを聞いたサンライト城の一般兵達は湧き上がった。
その勝鬨の声はカズマの下まで届いた。

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