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『May, 2020, Tokyo / A Drunk Pandemic』展 @ ANOMALY 鑑賞メモ

品川の新しいアートスペース TERRADA Art Complex  外構工事中であり、どこから入ればいいのか、一瞬躊躇する。このエントランスそのものもアートの試みではないかと訝しんでしまう。

Chim↑Pomの展覧会を見に来たので、必要以上に身構えていたのかもしれない。

再開後の展覧会はChim↑Pomの『May, 2020, Tokyo / A Drunk Pandemic』展。

ゼミのS先輩がChim↑Pomが好きということで知っていた。その後に、このテキストを読んだ。

ポリコレ、個と公の時代。2020年に入り、人と会う活動が制限される中、政府、行政の発信がやり玉になる。緊急事態宣言、一律10万円の給付、Go Toキャンペーン、政府は様々な方面からの批判により、決定事項を翻す。この状況こそ、民主主義と呼べるのかもしれない。

コロナ禍が、国民国家と民主主義との関係に疑問を投げかけているのかもしれない。

話が飛んでしまうが、現在は刻々と変化する状況に柔軟に対応する必要が求められている。この手がダメならあの手、有効性があるなら試してみる。忖度しないウィルスが相手なのだから、柔軟な対応が求められるだろうと思う。既に、慎重さは充分にあるだろうから。一度決めた方針も柔軟に変化できる姿勢が必要だろうとは思う。


さて、フォークリフトごと乗れそうな大型のエレベーターで4階へ行く。


東京2020と新しい生活様式という看板を街中に設置するプロジェクトとA Drunk Pandemicの大きく二つの展示がなされている。

看板プロジェクトとも取れるプロジェクト《May, 2020, Tokyo》は、緊急事態宣言下の東京に”新しい生活様式”、”TOKYO 2020”などと書かれた看板を設置するもの。夜中に設置されて撮影された写真と映像、設置された写真と設置している様子の映像、どちらも高精細であり、プリントなのか、パネルなのか、映像なのか写真なのか凝視していた。そうこうしているうちに、街中に看板が設置されていく、ゲリラのような。

パンデミックがなければ、開会式あたり。東京はかつてないほどの人で溢れていただろう。


もうひとつのプロジェクト、A Drunk Pandemic。

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マンチェスターの地下遺構の中で展開された。その遺構を見学するツアー、ビールの醸造、コレラによって引き起こされたパンデミックについて。

映像作品とインスタレーション。

東京のマンホールを開けて、そこに流れる水を撮影した映像作品もあわせて提示されていた。東京の肛門であると。

コレラの蔓延は、不衛生な都市環境にあった。水が汚染され、コレラが蔓延する。その当時、水よりもビールの方が安全であるというフレーズまででてきた。労働者の平均寿命は22歳だった。

産業革命の中心地、マンチェスター。

農村部からの人を吸収し、急激に拡大していった都市。人が衛生的に生活するためのインフラ整備は、コレラのパンデミックがトリガーとなって行われたとある。

ビールの醸造、パブとトイレ、おしっことセメント、建築資材としての流通、際限なく広がっていく様子。それがマンチェスターで展開された。際限なく増殖していく様子はパンデミックを想起させるのかもしれない。




帰り道、有楽町に寄ってCADANの新しいギャラリーを見てきた。こちらもオープンしたばかりのピカピカ。


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日本現代美術賞協会(CADAN)が運営するギャラリー、協会に参加するギャラリーが持ち回りで企画を行うということ。

オープニング展は、WAITINGROOM によるキュレーション。

大山エンリコイサム氏の作品、大庭大介氏の作品を見られたのが良かった。






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