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Alibaba の NFTプラットフォーム 「Alibaba’s new blockchain auction platform is selling Star Wars art on a ledger run by Sichuan’s government」

NFTはデジタルに拡張した世界において、当然に受け入れられる技術なのだろう。アート・ワールドに限らず、およそデジタルで表現されるものや、表現できるものにインストールされていくに違いない。

中国のBAT(巨大テック企業のバイドゥ、アリババ、テンセントの頭文字)のひとつAlibabaが、NFTプラットフォームを構築したという。

リードに並ぶ二つの文、NFTオークションサイトを端的に説明している。

アリババオークションの新しい部門では、アーティストが自分の作品の著作権をブロックチェーンを使って販売することができます
すでに数多くの商品が出品されており、来月の入札では1点15米ドルからスタートします
The new section of Alibaba Auction allows artists to sell the copyrights to their works using blockchain
Numerous products are already listed, with bids next month starting at US$15 for each piece

著作権の販売という書き方に、著作権に対する考え方が垣間見えるが、それは別の議論だと思う。


Alibabaは、ジャック・マーが創業した巨大テック企業、世界最大の流通総額を誇るEコマース企業であり、10億人以上が使うという決済サービス、アリペイを擁している。(ジャック・マーは55歳の誕生日に退任した。)

Alibabaの強さは、商取引と金融の両方に多大な影響を持つところにある。B2BとB2CのECプラットフォーム、スマートロジスティックスを提供する企業を傘下に持ち、ネットスーパーを前提として構築したフーマフレッシュなど、生活のあらゆる場面に浸透している。QRコード決済のアリペイを持ち、金融も抑えている。これだけの情報をベースとして芝麻信用により、個人のスコアリングをしている。

こうしたデジタル化の事情は、少し古くなったが、この本に詳しい。


最近見たニュース、中国では暗号資産に関する監視が高まったという。これは管理可能な暗号資産のブロックチェーン基盤を用意する前段階だろうと想像している。このNFTオークションプラットフォームでは、四川省ブロックチェーン協会著作権委員会が運営するとあった。記事タイトルからすると、四川省、公的機関が運営するブロックチェーン基盤であるが、あまり情報がない。

ノンファンジブル・トークン(NFT)は、四川省ブロックチェーン協会著作権委員会が運営するプラットフォーム「New Copyright Blockchain」を通じて発行されます。
The non-fungible tokens (NFTs) will be issued through the New Copyright Blockchain, a platform run by the Sichuan Blockchain Association Copyright Committee.

Blockchain Digital Copyright and Asset Tradeと名付けられたサービス。NFTオークションで購入した作品の所有権を購入者が持つ。所有権の証明はできるが、不正コピーを防ぐものでは無いと説明している。

販売には、プラットフォームを通じて購入した作品の完全な所有権が含まれると、オンラインに掲載されている紹介文にあります。
Sales include complete ownership of works purchased through the platform, according to an introduction posted online.

この権利を売買するという古くも新しい習慣、どれだけ受け入れられるのだろうか。作品の名前の横に所有者として自分の名前が表示される。そのことに金を払う。オンラインゲームの課金にも似ているような気がするが、それだけで説明できるほど単純ではない。

今年、NFTに火が付いたのは間違いない。流通総額がとんでもない伸長を見せている。

複数のブロックチェーンでの販売を追跡しているDappRadarがまとめたデータによると、NFTは今年初めにデジタル取引や投資の新しい形態として注目を集め、第2四半期も引き続き急増しており、7月初めまでに25億米ドルの販売額を記録しました。これは、2020年前半のわずか1,370万米ドルからの増加です。
NFTs became a hot new form of digital trade and investment early this year, and continued to surge to new highs in the second quarter, with US$2.5 billion in sales by the beginning of July, according to data compiled by DappRadar, which tracks sales across multiple blockchains. That was up from just US$13.7 million in the first half of 2020.

ブームで終わるのか、定着していくのか。

NFTだから売れるというのはブームだと思う。しかしながら取引手法としてのNFTは定着していくだろう。こうした新しいムーブメントに乗り切れていないのが日本のような気がする。この新しいモノは何なのか、それを突き詰めるような動きがあってもいいと思う。


詳細については書かれていないために想像するしかないが、下記の引用のフィンテック企業は、ANTグループのことを指していて、アリペイサービスのことを指摘していると思われる。そうしたQRコード決済のアプリの中でNFTが買える。これが金融サービスも持っている強さであるし、ECのことも知っている強さである。

6月、フィンテック企業は、敦煌洞窟の古代美術を記念して、2つの美術品をモチーフにした8,000個の限定NFTを販売しました。いわゆる「NFT決済コードスキン」は、Alipayアプリ内のミニプログラム「AntChain Fan Grain」ですぐに完売しました。
In June, the fintech firm sold 8,000 limited-edition NFTs based on two pieces of artwork to commemorate ancient art from the Dunhuang Caves. The so-called “NFT payment code skins” quickly sold out on the “AntChain Fan Grain” mini program in the Alipay app.

日本でもNFTを購入する際のハードルを下げようとする動きはあるけれど、Alibabaのような連携したサービスとして世に出せるのは、当分先のことになるだろう。


最後に、報道機関の記事の取引に関する記載を引用しておきたい。

The (South Chine Morning) Post も独自のNFTプロジェクトを発表しました。先月、The Postは独自のNFTプロジェクトを発表し、アジアの報道機関としては初めて、アーカイブから歴史的なアイテムをブロックチェーン上で提供しました。ARTIFACTと呼ばれる新しい規格を用いて、1997年7月1日に香港が中国に引き渡された時の様子など、歴史的な記事を読者が所有したり、取引したりすることができるようになります。
The Post also unveiled its own NFT project last month, becoming the first news organisation in Asia to offer historical items from its archives on a blockchain. Using a new standard called ARTIFACT, readers will have a chance to own and trade historical pieces of reporting such as the handover of Hong Kong to China on July 1, 1997.

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