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Projecting 30 Percent Sales Drop, David Zwirner Lays Off Nearly 40 Employees

artnews.com に掲載されていた記事。

ガゴシアン、PACEなどが解雇をしていた際にも David Zwirner は雇用を維持していたが、ついに20%の人員削減を行うことを発表した。また、今年の売上は3割減という予測も出した。

売上は年末までに3割減ると予測している。

ニューヨーク、パリ、ロンドン、香港のギャラリーで解雇を行う。全従業員の20%は40人。

この時期まで解雇しなかったのは、コロナ禍が、どれほどの影響を経済に与えるのかを見極めるためだったとしている。David Zwirner は、ワクチンが開発されるまで経済は停滞したままと判断し、解雇に踏み切ったという。

David Zwirner 氏は、この期間給料を受け取っておらず、解雇された人達には、健康保険などのサポートを行うという。

対象となる仕事は、イベント、インスタレーション、アート・フェアを扱う部門。2019年には、ギャラリー全体で84のイベントを開催していたが、今年は23に減少している。

今後の展望として、David Zwirner 氏は現在、ロックダウン解除によるリアルな場所が再開されたとしても、オンラインの拡大を続けることを計画している。 広報担当者は、デジタル・マーケティングや顧客開発のために新しい従業員を雇用しているため、スタッフの損失は約15%に減少すると予想している。5%は新たにポジションを増やし雇用するということ。

つまり、リストラクチャリング。本来の意味での事業構造の再構築のこと。アメリカ企業(恐らく大部分の欧州企業も)ジョブ・デスクリプション(職務定義書)に従い、雇用するけれど、そのジョブ・ディスクリプションには、仕事に関する事が細かく定義されている。そのジョブ・ディスクリプションに書かれていない仕事はやらなくていい。というか、やったら越権行為と取られかねないし、そのジョブを担う担当者から見れば、仕事を取られたとなる。日本企業の場合だと、人事異動として配置転換を行いそうだけど、ケイパビリティが違う。

リアルな場所での必要な人員が、デジタル・マーケティングを始めとするオンラインの業務では、求められる知識・技術(スキル)も資質・能力(ケイパビリティ)が違う。逆もまた然り。

“As of July 6, all galleries will again be accessible to the public, in a limited capacity and in accordance with all recommended health and safety precautions. But we’ve learned over the last six months that certain areas of our business have gone dormant,” said the spokeswoman. “At the same time, we have seen extraordinary growth in our online business, where we have ramped up presentations, exhibitions, programming, and sales significantly.”

リアルな展示での限定的な売り上げよりも、オンライン販売が伸びている。

つい、先日もジェフ・クーンズの800万ドル(9億円近く!)の作品がオンラインで販売された。

今後、ますますオンラインの存在感は増していくと思う。この流れには逆行できないだろう。

この時期まで雇用を維持しようとしていたことに対するコメント、経済状況を見極めるという点については、その通りなのだろうと思う。そして、解雇(レイオフ)に踏み切ったのは、オンラインでの販売にある程度の確信が持てたからだろう。リストラクチャリング(首切りはレイオフ)の判断とその後の道筋をきちんとつけているところに、経営としての才覚を感じる。


インパクトがあったニュースのためか、この note を書いている最中に、美術手帖で日本語の記事がでてた。




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