見出し画像

武田陽介 個展『RAM』と山本捷平 個展『Re: Reiterate』 - アンスティチュ・フランセ

京都で武田陽介の個展、『RAM』が開催されていることを知り、国立国際美術館でインポッシブルアーキテクチャ展を見た後に、見に行った。

武田陽介の京都初個展。

画像1

光の扱い方、捉え方が特徴的な作品を作ると認識していた。

ステートメントには、カメラの中が燃えるほどの露光をするとあった。

「Digital Flare」

カメラでないとみることができるない世界、画面の切り取りではない作品。通常、写真作品の場合、カメラで撮影する対象がポイントになるが、彼の作品ではカメラの痕跡、レンズの痕跡を見せている。

作品は非常に綺麗、写真だからなのか、写真だからこそなのか、そうして出現する色の組み合わせに魅了される。

何点か欲しい作品があったものの、飾る場所の心配やら、飾れないとしての保管場所のフレーム高いなと思ってみたり…。


昼過ぎに京都を出発し、東京に戻ってきた。

アンスティチュ・フランセ東京で開催されていた山本捷平 個展を見るため。

アートアワードトーキョー 丸の内 2019 在日フランス大使館賞展
山本捷平 個展『Re: Reiterate』
会期:2020年1月10日(金)〜1月26日(日)
会場:アンスティチュ・フランセ 東京


山本捷平の作品は、2019年6月に阪急うめだで見ている。

うめだで見たスカルの作品もあった。この展覧会のための新作もある。

当初スカルを見たときに、ありふれたモチーフだと思って興味を示せなかった。同じく、その会場で展示されていた小谷くるみの作品の方が気に入っていた。

改めて作品に向き合ってみる。

画像2

オープニングトークで、アーティストの制作にあたっての作品語り、モチーフについては意味の無いものであり、スカルにしても、バナナにしても、分かりやすさとしての使用だという。

制作はデジタルから始まる。そうしてできた絵をプロジェクションマッピングし、ペイントのためのローラーを自作する。絵の具の具合によって濃淡はでるが、デジタルで投影したイメージをアナログで複製していく。アナログ技術ならではの揺らぎが生まれる。ただ、モチーフそのものに意味は無いという。

なるほど、今なら、彼の作品の魅力がわかる。6月から半年、成長したものだと我が身を褒めてみたり。

とはいうものの、現代アートのとっつきづらさ、分からないと魅力が半減という危機感も感じた。

これって、ファッション系ECモールで起きている問題にも接続していて、見た目をひく服が売れる。そのうち、同質化してくる。個性が無くなり、買いたいものが無くなる。昨今のハイブランドが好調なのは、こうしたミドルレンジの自滅にもあるのではないだろうか。

現代アートに戻って、内輪だけの世界、身内話。そういう考え方もあるけれど、そうでない考えもある。例えば、にわかに流行っている”アート思考”、内面世界を具現化して、0→1の発想をするというけれど、アートってそこまで単純じゃないよね。デッサンを描いて右脳を鍛えるといっても、もう古典だし。ヨガに似た感じがする。ビジネスの領域もアートの領域も貪欲である。お互いが相乗効果を生み出す関係性が作れればいいのだろうけど、交わるのも難しそう。

ただ、答えの見えない時代に、課題を突き付けるアートの力、世間に考える機会を与えるアートの力、そうして打ちひしがれたときに癒しとして機能するアートの力。こうしたアートの力を活用したアート思考という道があるはず。電通、デロイトもアートに関するサービスを開始したし、本格的にはじまりそうな予感はある。



いただきましたサポートは美術館訪問や、研究のための書籍購入にあてます。