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交流という鑑賞 岡山芸術交流2019

岡山芸術交流では、新しい現代アートの楽しみ方を見つけられたような気がする。作品を鑑賞しながらの議論、解釈を巡る交流。

リヒターを見た後、ある意味でバーンアウトしてしまっていた。

現代アートの体験が、満足する地点にまで到達してしまったのではないか。残りの大学院生活が惰性になりそうな、そんな感覚さえ起こった。

今は、現代アートというのは、リニアなものではなく、同時多発的に起こるものだと分かる。アーティストが提示した世界を鑑賞者がどのように解釈するか、鑑賞者にどう響かせるか。その響き方というのは、アーティストが取り組む世界に依存するし、鑑賞者側としても、それぞれのステージによって変わってくるだろう。

我々が現代にある限り、尽きることのないものだ。


11月末に修士論文の中間報告を提出する必要がある。11月半ばのこの時点で1mmも進んでいない...。


朝一番から林原美術館のイアン・チェンの作品を見にきた。美術館に入ると、中学生くらいの女の子が出てきて、セリフをしゃべり始める。後から知ったのだが、ティノ・セーガルのアン・リーだった。岡山バージョンになっていた。

イアン・チェンはゲームデザイナーでもあるアーティスト、マルチエージェント系のプログラムを使った神社の世界を構築している。アルゴリズムで動くため、映像作品のようなループはなく、見るたびに違う反応を示す。

アプリをダウンロードして神社をつくる。お布施をすると、Bobがアプリの神社にやってくるというもの。Bobの様子は美術館に設置された大型パネルに表示される。パネルの上部には、それぞれのアプリに作られた神社の名前が浮かんでいる。


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Bobは何度も生まれ変わり、気まぐれに神社のお布施を取る。お布施の形によってBobは形を変える。

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この美術館にいたボランティアスタッフは、アプリにBobが来ることを信じていた。美術館で渡されたインストラクションを読んでも、Bobが来るようには読み取れなかったのだけど、僕の英語力の問題かもしれない。

僕はBobがアプリに来ることは無いと思っているけれど、ボランティアスタッフは来ることを信じている。

1ヶ月前からアプリを入れて、既にお布施を4.6K受け取ってくれました。けれども、まだBobは遊びに来てくれません。

しばらくBobを眺め、自分のアプリでお布施を備えて。そんなことをやっていいるうちに気がつく。これ既に宗教になっている。

塩田千春は宗教のようなものあるいはあこがれを提示していたが、イアン・チェンは鑑賞者へ促した行動あるいは指示によって宗教のようなものにしている。

このコントラスト。


Bob shrineは、放っておいても自動でお布施を備えてくれる。残りの展示を見に行こう。


エリザベス・エナフの作品。

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計算生物学者でありアーティストであるエナフ。彼女が微生物研究のために岡山城堀にもなっている旭川で、サンプリングしたポイントにブイを示し、それを作品として提示している。

こんな作品もあるのか。

新鮮な驚きである。サンプリングスポットに建てられた透明のパイプは、一本倒れてしまったので撤去したらしい。冬になると水量が減るため、かなり露出し、台風の影響もあったらしい。

ピエール・ユイグの校庭に提示されている映像は、機械学習のモニタリング映像そのものだし、アートをアートたらしめるものは何だろうか...。


ランチはCCCSCDで、食べられる作品《無題(弁当)》。

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食べられる作品、シーン・ラスペットと企業が共同で作り上げた弁当。ユーグレナ、スピルリナのおにぎりとスーパーフードのビスケットなどが入っている。バナナは、岡山県産(!?)のモンゲーバナナ。国産バナナというだけでもびっくりなのに、なんと皮まで食べられる。

ユーグレナ、記憶している限り初めて食べるような気がする。それよりもスピルリナの酸味が、とてもインパクトがあった。

モンゲーバナナの甘さと言ったら。

現地で一本あたり700円くらいで販売されていることがあるらしい。銀座の資生堂パーラーでは、このバナナを使ったサンドイッチがメニューに掲載されていたこともあった。

スーパーフードのビスケットは食べるのが辛かった。酸味と苦味とが、とんがった感じで、ヌガーのようなねっとり感があり、それがいつまでも口の中に残る。しかも、色もきつい。

これからの食糧問題を解決する可能性のある食事。味には、改善する伸び代がとてもあると思った。


岡山芸術交流の連携プロジェクトとしていた施設のひとつ。

リアムフジ。

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日本の建築家とアーティストが連携する街にアートを展示し、ホテルにもする試み

こうした交流があり、岡山の街が洗練されていくような感じ。

駅周辺には若い人が多く、そのことをコーヒーショップの大学生に聞いてみたら、岡山駅周辺には大学が沢山あり、岡山周辺から進学する人が集まるということ。路面電車を中心として交通網が発達しており、車なしでも割と便利なことから若い人が多いらしい。いい意味でのアートウォッシングあるいはジェントリフィケーションが進んでいるのではないだろうか。とはいえ、岡山城近くのアーケード付きの商店街はシャッター街になっているし、明暗は分かれているみたい。


ただ、岡山の人達の芸術への情熱は感じたように思う。

昨日のシネマ・クレールでは、サタンタンゴの上映(休憩一回の7時間上映)があり、整理券が出るくらいの集客をしていた。

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余韻を噛み締めながら、帰路に着いた。



いただきましたサポートは美術館訪問や、研究のための書籍購入にあてます。