中村敦彦 『歌舞伎町と貧困女子』 読書メモ
本の冒頭 ”はじめに” から壮絶な内容であることが伺える。2022年の10月から執筆し、2022年の12月に出版している。これだけの現在進行形を新書という形で書籍にしているところがすごい。
新宿区在住なので歌舞伎町は同じ区内。同じ新宿区とはいえ、住んでいる所とは大分雰囲気が違う。区役所は歌舞伎町にあり、いつもは支所で用事を済ませるものの、たまに区役所まで出かけることがある。日本一の繁華街の中にある区役所、いつも独特な雰囲気を感じる。
本書の内容は女性の貧困についてと、あまり焦点が当たらない中年男性(団塊ジュニア)の底辺の話である。
これは、田中優子の『遊郭と日本人』で遊郭を廃止した際にも起こったこととして指摘されていた。
トー横キッズ。昔から行き場の無い少女や少年がたむろしていたが、そうした人達を呼ぶ名前がついた。ゼミの友達と話をしていたときに指摘された、「(昔からあんなことはあったのに、)なんで今更取り上げられたのかが分からない」と。
名前がついたことで現象が可視化されたと見ることはできないか。
トー横キッズ、ホス狂い、街娼、様々な人へのインタビューで構成されている本書、内容は壮絶だと思う。ただ、似たような経験をした人は何人か知っている。
ホス狂い。
寂しさを埋めるため、承認欲求を得るため、そうした理由がつけられている。孤独、寂しさ。過剰な消費の末に自分自身が壊れていく。
偏見もあるように見えるが、編集によるものかもしれない。レッテル貼りなのかどうかは分からない。ただ、丁寧なインタビューがされていることは間違いない。
マイノリティと多様性、大企業が多様性としてダイバーシティの重要さを訴えても虚しく見えてしまうのは、どこか自分とは違う世界と捉えているからだろう。かといって、必要以上に同調する必要はない。
この国が抱えている病は、寂しさなのでしょうかね。
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