人間が「光」をつかうということについて
硫黄山のレストハウスのリニューアルに合わせて、ライトアップイベントがスタートしています。
昨年から、このイベントについては、スタートした一昨年から紆余曲折があったので、いろいろ考えてみました。
光の歴史?
大それた言い方になりますが、光は、人類の進歩と切り離せないアイテムだと思います。
火を起こせるようになる前は、夜の明かりは月明かりだけだったと思います。
山火事や火山の火を使うことから始まり、自分たちで火を起こせるようになって、夜でも行動ができるようになります。
松明やろうそくなど、単独の光から、ガス灯、電気といったエネルギーインフラになったことで、その活用範囲が大幅に拡大されます。
電気の時代が長らく続きますが、白熱灯→ 蛍光灯→ LEDとなることで効率が飛躍的にUPしました。
いろいろな便利なことと副作用への気づき
この変化は、産業革命などなどともリンクします。
石炭から石油に変わったことで、流通や用途が大幅に広がり、大量の電力を生み出すことも可能になってきます。
便利な世の中になるとともに、人類はその副作用に悩まされるようになります。
クルマや工場の排出ガスによる大気汚染。
冷蔵庫やエアコンで使っていたフロンガスによるオゾン層破壊。
工場排水による海洋汚染。
などなど、多くの副作用に人類は気づき、それを克服しようと技術を進化させてきました。
いろいろ解決してきてはいますが、温室効果ガスのように、解決できていないものもあります。
光の魅力
光を使うことで、活動時間を増やし、発展してきた人類ですが、そういった実用的な面とは別に、光の魅力にもとりつかれてきました。
24時間行動可能になった、今の時代でも、暗闇にある光にはだれしも魅力を感じています。
展望台から見下ろす夜景を「美しい」と感じ、東京タワーやスカイツリーのライトアップを愛でる感覚、あるいは花火に対する思いも、暗い中にある光の魅力なのかもしれません。
ルミナリエは震災からの復活のシンボルとなり、各地のイベントでプロジェクションマッピングやドローンショーなど、光を使ったエンターテインメントも進化の一途をたどっています。
光に副作用はないのか?
これまで、私たちの暮らしに役立ってきた、いろいろなものは、その副作用に苦しめられ、それを克服しながら、現在まで使われてきています。
「光」には副作用なないのでしょうか?
ここには、近年大きな変化が見られます。
アメリカ スミソニアン自然史博物館で行われている、特別展示です。
白色LEDの導入によって、省エネルギーという足かせがなくなって、夜を明るくすることに抵抗がなくなりました。
その結果、地球上の明かりは毎年10%という驚異的なスピードで増え続けています。
その状況に警鐘を鳴らす、展示が2025年まで開かれています。
これより早く、光が引き起こす害、「光害(ひかりがい)」については、1990年代から提唱されていて、1998年には環境省から「光害対策ガイドラインが発行され、過剰な光による副作用について周知されてきています。
過去の大気汚染などのように、わかりやすく副作用を人々が感じられるものではないため、なかなか認識が広がっていませんが、野生動物などの自然界はもちろん、人間にも悪影響があることがわかってきています。
いま、「その光は本当に必要なのか?」を見直さなければいけない時代になっているのです。
光をどう使うか?
生活に必要な光は、それがないと生活できないので、消すわけにはいきません。
そのほかの、上に書いたような、エンターテインメントの光というのは、使い方を考えなくてはいけないと考えています。
間違いなく光には魅力があり、ライトアップを見るときれいだと感じる人がたくさんいます。
但し、その時に生み出される副作用を無視して使い続けるのは、これまで公害を垂れ流してきた人類の歴史に学んでいない行為だといえると思います。
お客さんが喜ぶからライトアップをする。
という単純な発想では、これからのSDG’sの時代には観光地として生き残れないと考えています。
SDG’sを考えたときに
ということで、冒頭に書いた、ライトアップの話に戻ります。
最近よく耳にするのは、「サステナブルな宿であることで、お客さまに選んでもらおう」とか、そういった新しい観光の流れの話です。
ぽらりすのように小さい宿では、できることは限られますが、歯ブラシなどのアメニティをバイオマス製品に替えるなど、できることを探し続けています。
弟子屈町も、サステナブルな観光地を目指して、一丸となって活動することを掲げています。
国際基準への準拠も謳っています。
ゼロカーボンシティ宣言もしています。
その地域の観光の目玉が、ライトアップって・・・
ライトアップイベントの内容を見てみましょう
「図鑑の森」
10月6日(金)~10月22日(日)17:00~21:00
⇒ 夜の森にバードカービングのモックを置いて、ライトを当てて疑似観察体験ができるというイベントです。なんか素敵な感じですが、本当に鳥や動物が住んでいる森の中でライトを当てて実施する必要があるのでしょうか?
ビジターセンターの中で実施すればよい気がします。「森のマルシェ」
10月14日(土)12:00~19:00
これは、一日だけのイベントで、森の中というよりは広場や道路で実施されるので、楽しんでいただければと思います。「温泉川ナイトウォークツアー」
10月21日(土)16:00~17:00
これも、森の中というよりは、温泉街の裏手を流れる温泉川を歩くもので、時間も短く、歓迎です。「硫黄山」
火山と星・夜のフィールドミュージアムライトアップ
9月12日(火)~12月25日(月)16:00~19:00
これは期間が長いですね。
夜の自然をライトアップするという考え方が、SDG’sにそぐわないと考えます。
弟子屈町としては、言っていることと、やっていることが、アンマッチな感じですね。
自然ガイドさんなど、この地域のフィールドを愛する人たちを中心に、ライトアップイベントの短縮や中止を求める声が上がっています。ぽらりすも、その声に賛同しています。「ライトアップしない」ことを売りにする観光地であるべきだと思っています。
署名活動なども検討されていますので、また続報を書くこともあると思います。
今日はここまでで・・・
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