見出し画像

もっと・ちゃんと・しっかり症候群を脱するコツ

アラフォーになって、ようやく自分の性格や思考の癖がわかってきたような気がする。

人生の折々で「私ってこういうところがあるよね」と自覚させられる出来事は数あれど、一歩外側から別の人を眺めるように「あなたはこういう人間だから、こうしたほうがもっと楽に生きやすいんじゃない?」と思えるようになったのは、ホントつい最近。

特に、仕事上での私の考え方の癖は――「もっと(これ以上ないくらいベストを尽くして)」「ちゃんと(完璧を目指して)」「しっかり(自分で責任を持って)」を無意識に求め過ぎてしまうこと。

もともとの性格なのか、育った環境なのか、キャリア形成の中で特化していったのか……その原因はもはやわからないけれど、この考え方の癖が私を生きづらくさせているなぁと思うことが多々ある。

以前勤めていた職場の先輩に、「まりっぺは、片目をつぶるんじゃなくて、両目つぶって仕事するくらいがちょうどいいよ」と冗談まじりに言われていた。

「両目つぶったらなんにも見えなくて、仕事できませんよー」と無邪気に返していたけれど、今なら先輩が言いたかったことがよくわかる。うん、確かに私は両目つぶって、肩のチカラを脱力しきってから取り組むくらいのほうが “ちょうどいい加減”なのだなぁと。

何か頼まれると「こうしたほうが、もっとよくなるんじゃないか。もっと喜んでもらえるんじゃないか」と、自動的にベターではなくベストを求めて考えを巡らし始める。勝手に“もっともっと”を試行錯誤してしまう。際限なく最上を追い求めてしまいたくなる。

独身時代は、文字通り24時間365日仕事のことばかりを考えていた。読者のこと、企画のこと、著者のこと、原稿のこと、校正のこと、表紙や売り方のこと、デザイナーさんとのやりとりのこと――最上を求めて延々と考えていた。

そして、最上を追い求める一方で、自分の中で1点の曇りもなく、“ちゃんと”した(完璧な)アウトプットしたくなるのだ。もはやここまで来ると病気なんじゃないかと、我ながら思う。完璧主義というか……本人は全然完璧じゃないのはよくわかっているのだが。でも完璧じゃないからこそ、せめて自分が一番納得できるものを、という想いが強かった。

さらなる追い討ちは、せっかく任せてもらえたんだから、“しっかり”と自分で責任を持って遂行しなきゃ!という勝手に気負ってしまうこと。誰かを頼ったり相談したりすることがなかなかできず、自分ひとりで仕事を抱えがちになってしまう。

ちょうどいい塩梅の「もっと・ちゃんと・しっかり」ならプラスに働くのに、ずっとそれが上手くできなかった。ちょうどいい加減が、よくわからないままだった。

ところが、昨年末に憑き物が落ちるかのように、これまで患っていた症候群を治癒してくれる出来事があった。

その1つが、いま企画・運営で携わっているコミュニティスペースのスタッフミーティングのとき。

いつもイベントや講座をしたあとに、「こんな企画をしましたよー」とSNSで報告をしているのだが、もっと・ちゃんと・しっかり症候群の私はなかなかすぐにアップできずにいた。

こういう文章にしたほうがいいんじゃないか、こういう写真の見せ方にしたほうがいいんじゃないか……と、迷う迷う。

すると、スタッフのミーティングの際に、下記のルールを決めてもらった。
・投稿は5行超えるのは禁止(長く載せたいときは、後日談的にブログに)
・スピード&数を挙げることを重視
・担当制にする(属人化しない)

何より、私の心に響いたのは「媒体にもよるけど、長く丁寧に書いても、そんなにしっかり読んでもらえないよ。短くても、アップの回数を増やしたほうが親しみを持ってもらえるんじゃないかな?」という意見だった。

自己満足な内容よりも、読み手が求めるものを。目から鱗の瞬間だった。「何のために」の目的がハッキリしたことと、掲載のルールを決めてもらったことで、私の肩の荷は随分降りたのだった。

そういえば、ふと下記の言葉を思い出した。

Done is better than perfect.  
(完璧を目指すよりまず終わらせろ)」
Facebook創業者マーク・ザッカーバーグ

自分の中での最上や完璧を目指すのではなく、とりあえず5割の出来でもいいから世に出してみる。アウトプットすることで、まわりの反応を得ることができ、さらに改善できる。そして、一人で抱えずに、他の人に相談する機会も自然と持ちやすくなる。

不完全でも、ひとまず終わらせることが重要。小さく、早く、PDCAのサイクルを回すほうが、得られるものが随分と大きい。

長い間、もっと・ちゃんと・しっかり症候群を患っていたけれど、ようやく少しずつ治癒し始めた。

このnoteも、その治癒効果の一つ。

最上でも完璧でもないけれど、書いてアウトプットすることで「自己理解」が深められている。この話について、詳しくはまたいずれ。

さて、今回はこの5割のアウトプットで、筆を置くことにしようと思う。ホントはもっと書き込みたい気もするけれど⁉︎

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?