道草を食いに出かけたある日
近所のお店でも買うことのできるお香を求めて、私は中央森林を通り抜けてここまで来ました。いちおう目的の場所はあと2,3マルム先なんですけど、まだまだ時間がかかりそうです。
そもそも確実に買えるという保証もありません。とても人気のある商品で根強いファンも多いから、運が悪いと入荷して数時間で売り切れ、なんてこともよくあるんです。
でも、慌てて走ったりすることはありません。別に買えなくてもいいんです。本当の目的はお買い物じゃないからです。そのお香も今すぐ欲しいわけでもないし、さらに言えば無いなら無いで全然かまいません。
こうやってちょくちょく寄り道したり、道草を食ったりしながらボーッとするのが好きなんです。この一見ムダにも思える時間を過ごすのが趣味で。いつもこんな調子なんですけど、今日も家に帰り着くころにはきっと日が暮れているでしょう。
まあ、あなたも同じ場所に向かっているんですね。よかったら一緒に、ですか? ありがとう、でも私は私のペースで行くのでおかまいなく。弓術の心得も多少はあるから一人でも大丈夫です、ご心配にはおよびません。
それでは、ごきげんよう。
あら、また会いましたね。もう目的は済んだんですか? 私ったら、そんななに長い間道草食ってたのかしら……。これからウルダハへ向かうんですか? どうかお気をつけて。
私はたった今着いたところで、あのお店にすぐ向かったんですが、やっぱり目的の品は売り切れたそうで買えませんでした。まあ初めから期待していたわけでもないですけどね。
私ももう少し休憩したらグリダニアに戻ります。行きに通ったのと同じ道は通らない主義なので、もちろん帰りも道草を食いながらになりますが。行きより時間がかかるかもしれませんね。ハニーヤードで蜂蜜でも買って帰ろうかな。
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※この物語は、以前Twitterで公開した写真に文章をつけたものです。
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