19私の勉強法4-2 間違いの記録は学習の歴史書

■山本七平 『日本人の人生観』
この本に、以下のような記述があります。

 トサフィストという、みなさんのあまり聞きなれない言葉があるんですが、これは欄外(トサフト)から来た言葉で本の欄外に自分の見解とか注記とかを順々に書き込んでいった人たちのことをいいます。昔の写本は欄外が広いですから、そこにさまざまな注記を書き込んでいった。これをまた一定時期に再編成しまして、それからまた注記を書き込んでいく。これを一千年ぐらい続けていたのが結局ヨーロッパという歴史であろうと思います。

 トサフィストというのはユダヤ教徒にある言葉ですが、同じことをキリスト教徒の側もやっていましたし、中国人もこれをやって来たわけです。自らの文化の歴史的な積み重ね、この過程が記録(ヒストリア)すなわち歴史です。

 文化の中心の、基本的なある一つのものに、永遠に意見を加えていく。その意見に対してまた意見を加えていく。何年たってもそれをやりつづけていく。ただしそのいちばん元になっておりますいわゆる本文ですが、これは絶対手を加えない。同時にこれは消さない。そのまま残しておくわけでありますが、そのまま残しておきながら、これに対する注記を加えていく。これが歴史というものでありまして、これをやっておきますと、時間的に、自分たちが、過去から現在までどういう発想の道をたどってきたのかということが一目でわかるわけです。


◾️自分を問題集のトサフィストにする。
 学習にこの思想を取り込んでいくことが大事です。
 受験勉強だけでなく、人生そのものや、国家、社会についても言えることかもしれません。

 弁護士をしていると、つくづく思いますが、人生は失敗の連続です。国や民族の歴史にも失敗はつきもの。
 失敗に対して、どう向き合い、次の似たような場面でどう対処するか、予め検討しておくことが大事です。

 人生は受験勉強と違って「正解」はないから、次の機会の選択も間違えるかもしれません。失敗について記録を残すことは一層大切になります。
 自分のこの一連のnote自体、自分用の昔のメモをまとめたものです。

◾️ミスの歴史を記録し自分のための教材に
 問題集を解きながら、解説の余白に自分のミスした理由を書き込んでいきます。
 繰り返し問題演出を重ねるうちに、解けるようになる問題、何度もミスをする問題などが出てきます。
 ミスの理由の記載を継続することで、自分のミスの歴史や思考の型のようなものが見えてくるのです。そうすることにより、試験本番で、自分のミスしやすい問題を回避したり、ミスを意識しながら回答することができるようになります。

 自分は、試験前日には、最後まで「よくわからない」まま残っていた問題を解き、余白のメモを見なおして、当日その問題が出たらどうするか、簡単なシミュレーションをしたり、答えだけ丸暗記していました。そうすることで、本番何が出ても、まぁ何とかなりそうだな、という気持ちで試験を迎えられました。

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