10私の勉強法1-2 基本重視は一番楽

基本重視は楽である

 基本事項を徹底して学習し、試験では基本問題を瞬殺(時間をかけずに回答)し、また基本点な点数を確実に確保すること。
 これを学習の鉄則とすることは、日々の学習を楽にします。

学習範囲を限定できる効果

 まず、基本事項の範囲は限られていますので、日々の学習範囲を限定できます。限定された範囲の学習は心理的にも「楽」になります。応用問題に手を広げていき、無限の学習範囲を前にすると心理的には絶望です。どれだけ勉強しても「絶対に終わらない」と感じながら勉強するのは苦行であり、ゴールの見えないレースに参加している気持ちになります。

 基本重視は、逆の効果があります。勉強範囲がかなり絞られますので、心理的に「楽」で、学習範囲が狭いため効率的に学習が進みます。学習が「楽」であることは、学習継続にはとても大事なことです。
 苦しいことは続きませんが、楽なことは続け易いのです。続けさえすれば実力は伸びます。勉強だけでなく、何事も、「続けること」、「続けられること」が大事です。

 ここで考えておきたいのは、学習範囲が狭いことによる「不安」です。
 学習範囲を限定することで「不安」になる必要性はありません。
 私自身も、一生懸命勉強しているのに、見たことがない問題をみると不安になり、司法試験のネタ本が・・先生の本だと聞けば、「本を買わねば」と思い、・・塾の試験が入試で当たったと聞けば模試を受けに行き、などしてきました。
 結論をいうと、どれだけ手を広げても知らないことは無くならないし、不安そのものは消えません。

 司法試験で言えば、毎日新しい判例が生まれているのに、その全てをフォローすることは不可能です。知らない判例があることに一々不安になっていれば、法律家なんてやっていけない。

 1冊の問題集を何度も繰り返して学習するとき「この問題集と心中する!」などと言うことがありますが(今なら「この問題集は俺の嫁」とでもいうのでしょうか)、「自分はこの本に書いてあることならまず間違うことはない」、と胸を張って試験に臨めることはかなりの自信になります。いろいろな本に「浮気」をするのは自分の勉強が不安であることの現れでしょう。

 また、よく言われることですが、8:2の法則などと言う言葉があります。テストの80点分は20%の範囲から出ると言う意味で使われる言葉ですが、感覚的には結構当たっています。基本を徹底するだけで、ほとんどの試験対策は充分だと言えます。

周りが勝手にミスをしている

 採点をする側になって気がつくのですが、「基本事項をミスをしない」学生はほとんどいません。基本を徹底するだけで上位層に入れます。基本事項で一定の得点を確保しておけば、周囲の受験生が勝手にミスをして得点を取りこぼしていっているだけなのであって、成績上位の学生が特別なことができていると言う印象はありませんでした。
 自分が受験生だったころを思い出せば、理由は簡単で、試験中の限られた時間内に基本事項とはいえ、何も見ないでスラスラとアウトプットできるのは相当の実力が必要です。基本事項さえスラスラとアウトプットできない状態で、応用をインプットしようとしたって上手く行かないし、アウトプットなどできないのも当然だったとさえ思います。

 成績優秀者は、決して驚くような回答をしているのではなく、つまらないミスをしていないだけではないかと思っています。

◾️基本問題とは
 私が言う基本問題とは、初心者向けテキストに載っているものや、過去問題で繰り返し出題されているもの、大手教育機関の模試などで出題されたもの等、普通の学習機会の中で何度か目にしている問題を指します。

 この種の問題は解けなくてはいけないし、各種問題集や模試でも何回も出されているので、練習・復習の機会もあり、自分だけでなく他の受験生も対策をとってきます。
 相対評価の試験で合格を狙うなら解けなくてはいけない問題です。
 直前の予想模試等で出た問題を間違えているようなら、難関試験では不合格なのも当たり前と思っています。

 これに対し、応用問題は、過去問で一度も聞かれたことがなかったり、教科書には特に記述がなく、一部の専門的書にしか記載がない事項や、特殊なアレンジがされているような問題を指します。

 このような問題は、対策がとれていなくても仕方がないものであり、また、他の受験生にとっても同じことなので、間違えても差がつきにくい問題です。
 自分が採点する側になってみると応用的問題で満点のような回答をできる学生はほぼいません。応用部分で差がつくというは少なく、それ以前の基本的部分こそ差が付きやすいと思います。

 試験中に見たこともない問題に出会うと「どうしよう!知らない!」などとうろたえて、その場で試行錯誤するのですが、刃が立たず、試験後に「あの問題が解けなかったばっかりに不合格になった」というような気持ちになるものです。
 しかし、そういう問題は、自分だけが解けないのではなく、他の受験生も解けないことが多く、その問題が解けなかったことは合否にさほど影響していません。

 基本問題でしっかり点を取った上で、応用問題の一部でもなんとか喰らいついて、少しでも点数がとれれば御の字であり、それで殆どの試験は十分に合格ができると思います。

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