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僕が恋したのは

初めは
君の元にちゃんと
帰るつもりだったんだ・・・

ただ
あの日なんとなく
駅からの道を
一本それて歩いてみたら

ちょっと面白い場所を見つけて
なんだかわくわくしちゃって
どんどん歩いているうちに
うっかり道に迷ってしまって

でもそれが思いのほか楽しくて
さらに先に進んでみたんだ
そうしたら
見たこともない場所に出てしまって

不安な気持ちで歩いていた僕に
どうしたの?って
優しく声をかけてくれたのが
あのひとだったんだ

それが僕たちの始まりだった
・・・ごめんね
君のことを忘れたわけじゃないんだ
君のことを嫌いになったわけじゃないんだ

でも僕は
もう君の元には帰らないかもしれない
帰れないかもしれない
ごめんね・・・


・・・・・・
・・・・・・


「あら、帰ってきたのね!お宅のワンちゃん」

「そうなの。迷子になって1週間以上経っていたから心配だったけど・・・」

「無事帰ってきてくれて良かったわね!でも、ちょっと元気がないみたい」

「保護してくれていた人にずいぶんなついていたらしくて・・・うちに戻ってきてからも落ち込んでるみたいなの」

「その人と別れるのがよほど淋しかったのかしら」

「若くてきれいな女の人だったのよ。そのせいか、連れ帰る時も悲しそうな顔してて・・・まさかこの子、その人に恋でもしちゃったのかしら!?」

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