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ロマンスには程遠い。

「初めまして。タケノウチと申します」

「初めまして。スズキです。本日はよろしくお願いします」

「ところでスズキさん。お見合いは初めてなんですか?」

「ええっと。まあ、そういうことにしておいてください。うふふ」

「でもスズキさん、実は結構おモテになるんじゃないですか?」

「いえいえ!そんなことないです」

「だってほら、結構体格もよさそうだし、丸太とか軽々と担げそうですし」

「荷物の話ですか」

「ところで、せっかく今日はクリスマスですし、これからふたりでちょっと出かけてみませんか」

「どこへですか」

「いいところを知ってるんです。ガイドブックにも載っていない、まったく人気のないスポット」

「どうせなら人気のあるスポットに行きましょうよ」

「事故がやたらと頻発するせいで工事が中断されたままの建設現場なんですけどね」

「それは”にんき”じゃなくて、”ひとけ”がないってことですよね?」

「穴場なんだけどなあ」

「工事現場ですから、穴くらい開いてるでしょうね」

「夜に行くとキラキラときれいなんですよ」

「夜景がですか?」

「いや、科学では解明できない不思議なヒカリが」

「怖すぎますね」

「ロマンティックでしょう?」

「というより、オカルティックですよ」

「実は、僕にはもうとっくに見えてるんですけどね」

「へ、変なこと言い出さないでください。何が見えるんですか」

「もちろん、あなたとの幸せな未来が」

「私にはまったく見えません。このお話はなかったことに」

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