【おはなし】窓 #03

前回のお話


あははははっ
その子面白いねー
なんか可愛い
それで?なんで別れたの?2年くらい?付き合ったの?
喧嘩したの?まさか!フミヤの浮気とか!?

振られたんだよ
別の人を好きになったって

えーー?
なんて言ったの?彼女は?フミヤは?



最近少し彼女の様子がおかしかった
よそよそしいというか…
前みたいにコロコロと笑わなくなった

その日も授業の後で何となくカフェでお茶してたら
彼女はすごく大きな溜息をついてた
ストローをくわえたまま上目遣いでオレを見ている

何?どーしたの?

あのさぁ…フミヤって…私の事好きなの?

え?あー…うん…一緒にいると楽しいし…

はぁっ!違う!なんか違うの!
楽しいとか、そんなんじゃなくて衝動的な愛おしさというか…
そんなのがあるかって聞いてんの
見つめてたら抱きしめたくて仕方ないとか
1人でいたら会いたくて仕方なくなるとか
なんか…考えてたら涙が出てくるとか


………
オレは答えられなかった
一緒にいて楽しくて心地いい
それが恋人じゃないのか?
愛おしい…?
それはどんな感じだろう

性欲はあるから、抱きしめたいとかキスしたいとか、そういうのは思うけど

え……?
オレ…わからない?
愛おしいとか愛してるとか…なんだろう…

そんな事を考えているオレの口から出た言葉は


ごめん…

それだけだった
彼女はとたんに目を赤くしてその瞳には涙が浮かんできた
そして彼女は寂しそうに
へへっと笑った

そっか…
私ねっ後輩の子に告白されてさ
すごくいい子なの
会いたいですって、しょっちゅうLINE来るんだ
目がね…なんかハートになってんの
私を見る目が

あ…そうなんだ…

……私もその子の事、好きになっちゃった!
だから……
別れよう!


え…
あ…
わ…
わかった…
今までありがとう…

オレがそういうと、彼女は下を向いたまま
ガタンと立ち上がって
店を出て行ったんだ

それからは彼女を大学で見かけても話すことも無くなったし
たまに彼氏と歩いているのを見かけたな



そう話して顔を上げると、ユカは一文字に口を結んで
目に涙をいっぱいためて
オレを睨んでる…?

え?
ど…どうした?

ひどい…ひどい男だねフミヤは…
彼女は本当にフミヤが大好きだったんだよ
後輩君なんて眼中に無かったのに…

は?そうなのか?

その後30分間、ユカはカクテルをがぶがぶ飲みながら
オレに説教をした

どうやら、オレは「変」らしい
「普通」じゃないんだって
そうなのかな?…

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