【おはなし】窓 #02

前回のお話


二人が小さなローテーブルに向かい合って座って
オレは持ってきたタッパーをテーブルに出す
わぁ久しぶりのおばさんのマリネ!取り皿とお箸取ってくるね
そういって立ち上がったところでドアの隙間からおじさんが顔をだした

おぉフミヤくんいらっしゃい
お久しぶりです おじゃましてます
ごゆっくりな

ほらな…こういうことなんだよ…
ユカはこういうところ自覚ないのかねぇ…

ガチャガチャとお盆に乗せた小皿や箸を小走りで持ってきて席に着く
おまたせっ
せっかくだから乾杯しようよ~
二人の再会に!かんぱーい!
ユカの持ったオレンジ系のカクテルの缶とオレの缶ビールがコツンと音を立てる

でさっフミヤ、いま彼女とかいるの?
なんだよいきなり
4年以上も会ってなかったんだから聞く事沢山あるじゃん!
なんで最初がそれなんだよ
いいから!
そういうとゴクンと喉を鳴らせてカクテルを飲んだ

今は居ないよ 一年以上居ないかな
えーーなんでなんで?
大学の子と付き合ってたの?なんで別れたの?
えーーフミヤがどんな子と付き合ってたか気になる!

一気に言うなよ
ユカは昔と変わらねーな
うるさいよ


彼女とは大学の同級生だった
同じ学部で
わりとややこしい教授のクラスで一緒だった
他のみんながレポートに次々と嫌味を言われている時に
なぜかオレだけ褒められた日があって
その授業の後話しかけてきた

前回の教授の説明でどうしてそんなに理解できたの!?
私、全然わからなかったんだけど!
すごいね!
フミヤくんって言うのね!よろしく!
学科LINEに居る?どれどれ?友達登録するね!
いろいろ教えてよー

その間オレは一言も発せられず
言われるがままに登録して
その後は何かと個人的に大学のことについて突然LINEが来た
LINEじゃわからない!
とか言って何度かカフェへ行ったりごはんに行ったりしているうちに

今日は授業のこと聞かないんだけど…時間ある?
とLINEが来た
ん?大丈夫だよ
と返して
指定のカフェに行った

いつもと様子が違って
口数も少ない
何?なにか困ってることでもあるの?
オレが役に立つかわからないけど…
そう言ってアイスコーヒーを一口飲んだ

あのさ…これからは授業の事以外でもメッセージしてもいいかな?
(…え…今でもかなり関係ないメッセージ来てますけど)
うん…大丈夫だよ
たくさんたくさんしてもいいかな!?
う…うん

こうやって大学の外で会ったりするのも、いいかな?!
え?あぁ 別に大丈夫だよ

そういうと彼女は
はぁーーーっ
と高い声で大きく息を吐いた
良かったぁ!迷惑だと思われていたらどうしようと思って!
フミヤくんの事好きになっちゃったから
すごくメッセージ送りたくて、会いたくて仕方なかったの!

………え…
いやいやいやいや…
安心する位置ちがくねぇぇぇ?!
後半だろ!後半何言っちゃってんだよっ
全部言ってから安心しろよ!

しばらく頭の中がパニックになったけど
結局なんか付き合う形になって
いつも元気でコロコロ笑って
そんな彼女のそばにいるのが心地よかったんだよな…



あ…そういえば…
彼女はユカに似てたんだ…
だから心地よかったのかな…

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