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2023シーズン試合メモ&リンク集

本記事は徳島ヴォルティスの2023シーズン各試合の出来事や感想をできるだけ端的に簡易的にメモっていくなんかそんな感じのやつです。




ベニャート・ラバイン期

第1節 H ●  vs大分トリニータ

徳島は4312 大分は3421
右SBサンデーなど攻撃的でロマン強めの人選

昨年の433からWGがいなくなった違いでビルドアップに苦戦
パスやコントロールが流れるなどミス多めで流れを掴み切れず
WGやSHがいないため守備時にSBがかなり晒されて負担が大きい

CFの西谷は広いカバー範囲とサイドに流れて受けてからの仕掛けで攻守に効いていた
運動量と推進力で坪井投入後に活性化
ビハインドの状況で最終的に柿谷を一列落とし両SBがサンデー西谷と初戦からファイアー

大卒ルーキー山下初出場
西野リーグ戦初ゴール
歴代4位の12070人動員


第2節 A △ vsヴァンフォーレ甲府

前節から森海渡とサンデーに変わり西野と外山がスタメン
前節の4312から433に変更 甲府は442
サンデー→外山でリスクは下げたものの柿谷を前節より1つ下のインテリオールで起用

甲府の244プレスと最終ライン4枚ビルドアップが噛み合い前進に苦戦
渡は上手く相手SBの裏に流れボールを受けられる
前半途中からアンカーを落とし3枚ビルドアップに変更するも、人数の減った中央に差し込み続けるなど配置変更を上手く活かせずロストが増えショートカウンターから失点

後半4231に変更
後半から投入された白井が動き直しの数でパスコースを作ったり、相手SBとSHの間をトップ下に上がった柿谷が上手く使うなどビルドアップが改善

浜下が初の右SB起用で持ち味を発揮
安部のウタカへの対応が○
2試合連続得点の西野は前節のCF起用に比べるとWGでの起用は良さを発揮しきれず
移籍後初出場の外山は安定感があり上下動も多かったが西谷にあまり使ってもらえなかったのが残念


第3節 H △ vsベガルタ仙台

前節から田向、児玉、櫻井に変えて浜下、白井、杉本がスタメン
杉森が今季初めてベンチ入り

徳島は前節に引き続き433
仙台は3421

前節と比較するとポゼッションは安定した
縦パスからチャンスまで繋げられるシーンも増加

後半セットプレーで失点後西谷をSBにして4312に変更
両SBが実質WGで、安部もハーフスペース高い位置でプレー、後ろはカカと中盤3枚でカバー

相手の退場でリスクが減り、結果的に超攻撃的な布陣が功を奏す形に

ポヤトス時代と比べ大胆にリスクを負う采配は初期リカルドを想起する
まだまだミスをしてはいけない場所でのロストが多い印象
相手の退場シーンは西野のボール奪取からで3試合連続試合結果に関わるプレー


第4節 H ●  vs東京ヴェルディ

ベンチ外となったスアレスに変わり田中颯がJリーグデビュー
その他前節からの変更点は西野がベンチで坪井がスタメン
内田航平が今季初ベンチ入り

システムは前節と同じ433だが、より両WGが内側に位置してSBが高い位置でプレーする配置
守備時もそのまま433もしくはIHが前に出て442ぎみ

東京Vは攻撃時433、守備時442

前半は風向きもあり即時奪還で押し込んで攻めることが出来ていたが大きなチャンスを作るには至らず

後半失点後選手交代のタイミングで4312(左IHに入った西谷が開き気味の変則型)に変更するもブロックを固めた相手に攻め手を欠く
試合通してPA内でのシュートはゼロ

OGのシーンは浜下SBのデメリットが現れる形となった

開始433だったがWG絞らせるしSBもリスク考えてWGみたいに高いポジション取り続けられないから幅もあまり使えない
WGは絞った立ち位置とはいえ4312のトップ下と比べてCFと並列ぎみだからSBに捕まり易くコンビネーションを取りづらい
FWとIHの距離感は遠く縦パスを差し込んでも落とし所がない
など配置で失敗した印象だった。

例えば西谷をIHにしてまで残したり、ベンチに西野や森がいながらCFの最初のカードが杉森だったり、児玉投入後も柿谷をトップ下に変更せずIHのままで続けるなど、信頼しているのは分かるがもう少し選手の適正ポジションを見極めて欲しいと感じる。


第5節 A ● vsいわきFC

浜下、坪井、渡に変えて田向、櫻井、杉森がスタメン
第2節以来に千葉がベンチ入り

システムは前節の433から変更して4312
いわきは攻守ともに442

前節と比べ対角に長いボールを蹴る意識が高く効果的にサイドを変えられるシーンは増えた
白井がアンカーでRIH櫻井、LIH杉本、トップ下柿谷という並びだが、攻撃時は柿谷が右側に降りてくるのに連動して反時計回りにひとつスライドするような形で立ち位置を取っていた。
白井が最終ラインに降りて、両CBがドリブルで運び縦パスを差し込む形が狙いとして見られた。

しかし中央に差し込むパスはことごとく潰され中央突破は停滞しカウンターを受ける場面が増えた。
2トップが西谷と杉森というドリブラー2枚を並べた影響で背負って時間を作ることは出来ず、長いボールも全て跳ね返され主導権を握ることが出来なかった。
中央から攻めたいなら、あの密集でタメを作れる選手がいるか、相手を広げてスペースを作らないと成立しないが、背負えるFWもWGもピッチ上には居なかった。

後半、渡を投入後は渡が相手DFを背負う形で時間を作ることで前進できるシーンが増えた。
先発の2トップから想像するに、監督は完全にフィジカル勝負を捨てていたのではないかと思うが、相手がいくらフィジカルに優れているとはいえ勝てるシーンはあるし、結果的にそれが効果的に作用した。

失点後、3142に変更し、西谷と浜下を両翼に張らせる形を取ってからは更にゴール前のシーンは増えた。
高さでは相手に分があるため空中戦を避け4312で地上戦というプランだったのかもしれないが、中央密集はむしろ相手に守りやすくさせてしまった印象。

試合前に用意したプランで有効手をことごとく外したという印象の試合となった。
そしてタメの作れるFWの投入とWGを作ることで好転した。
監督がどこまで中央密集のカオスにこだわりたいのかは不明だが、少なくとも配置と選手の特徴は合ってない起用法に感じる。
配置を変えず選手を変えるのか、配置を変えて選手に最適化するのか。
勝ち点3を取りたいのなら新人監督は決断を下す必要があるだろう。

2008年最終節以来のJ2最下位


第6節 H △ vsブラウブリッツ秋田

前節から田向、外山、杉本、櫻井、柿谷を変えて浜下、内田、山下、坪井、渡をスタメンに。
柿谷は初のメンバー外

ベースは4231で、攻撃時は左SBの安部が下がり3241のような形
秋田は442

前半は秋田がFW1人と両SHの3枚で数的同数のプレス
徳島はスペースをあまり上手く使えずWGへの単調なロングボールが増える

後半は最終ライン4枚のビルドアップに変更
エウシーニョ投入後は433に
ビルドアップが数的優位になったことでCBが持ち運べるようになり前進できるようになる。

西谷をWGに置いて張らせたことでボールは出しやすくなったり、最終ラインに人数増やしてビルドアップするなど"監督の妥協"も見られた。

後半は押し込むシーンが増えたが得点を奪うことは出来ず
どこにスペースがあるのかの共通理解、CBが運んで差し込んだ後の質、相手が最も嫌がることを仕掛けられる個々人の意識などは全く足りなかった。


第7節 A △ vsロアッソ熊本

スタメンは前節からカカ、安部、浜下、山下が外れて森昂大、田向、エウシーニョ、児玉となった
森昂大はJリーグ初スタメン初出場

徳島は前節の後半と同じ433で、引き続き西谷と杉森がワイドに張る立ち位置
守備時は左IHが前に出て442
熊本はお馴染みの3313

熊本の3枚のプレスに対し最終ライン4枚の数的優位ビルドアップ
中盤のスペースをCBが前に出て埋めてくる熊本に対し、渡の裏への動き出しにしっかり配給でき、ビルドアップの出口を作ることが出来ていた。
ライン裏の活用に関しては今シーズン最も上手くいった試合となった。
出し手になっていたのは児玉で、中盤に色々な選手を試しているが、パサーとして一番有能なのは児玉という印象。

押し込まれる時間も多くなったが、プレスに行きミドルパスを蹴らせた後に奪い切れないというシーンが多く、流れを掴み切れなかった。

エウシーニョと浜下交代後に右サイドを割られるシーンが増えた
攻撃面でアクセントになることはあるが現状不安定さの方が目立ってしまっている
ベンチにいた外山を右SBで見てみたかったところだが、フル稼働が難しそうなエウシーニョの穴埋めは宿題だろう。

初出場だった森昂大は失点に絡んでしまったものの落ち着いたプレーだった。
ビルドアップで何度か危ないシーンもあったがギリギリセーフみたいなことが多かった。
守備面に関しては、インターセプトのタイミングを読み間違えることが何度かあり裏のスペースを突かれるシーンがあったので一番気になったのはそこ。

前節上手くいったWG有り数的優位ビルドアップは継続しつつ裏へのアタックを増やしブラッシュアップした印象
ゴール期待値も2.37あり、今シーズン初め「決めきれていれば勝てたかもしれない」という試合にはなった。


第8節 A △ vsジェフユナイテッド千葉

スタメンは前節から森昂大、エウシーニョが外れ、浜下とカカが入った。

徳島は前節から引き続き433
千葉は4231

前節見られた裏で受ける動きが今節は全く見られず、圧の強いプレスを受けて中盤やサイドで引っ掛かり前進できないシーンが続く。
守備では前節の課題が全く解決できず、前からプレスへ行くものの何処へ追い込んで何処で奪うのかという狙いが全く見られず、追って蹴らせても千葉のFWにほとんどキープされ奪えずひっくり返されるシーンが散見された。
奪ってマイボールにしても距離感が遠くサポートもないため、運んでも孤立してすぐ奪還される到底ポジショナルとは言えないような内容のサッカーをしていた。

後半4312に変更するも、SBの仕掛け以外攻撃のバリエーションを見せられず手詰まり感は拭えなかった。
1つしかパスコースが作れてないのに工夫もなくそこに出してしまうため相手にとっては非常に守りやすく、相手の狙いを逆手にとるようなプレー選択が出来る選手はピッチ上にいなかった。
特にビルドアップの核となる白井からは縦にパスが出ず、カカはミスを恐れて逃げ腰。
前節エウシーニョが入って変わったことが、そのままエウシーニョがいなくなり出来なくなった。
代わりに入った浜下や外山は違いを作り出すどころかミス連発でどうにもならない。

組織としても個人としてもコレクティブさを何も生み出せない、最下位に相応しい試合内容だろう。


第9節 H ● vs水戸ホーリーホック

スタメンは前節から田向、杉森、坪井が外れ、外山、杉本、柿谷が入った。

徳島は前節後半の4312で、柿谷と渡の2トップ、西谷がトップ下という今季初めての並び
水戸は442

水戸の2トップに対し徳島は2CB+アンカーで保持、
SBとIHで水戸のSHのところで数的優位を作り前進という形が上手くいき、
前半は水戸にほとんどチャンスを作らせず一方的に押し込む展開となった。

トップ柿谷とトップ下西谷の配置は非常に上手くいき、西谷はあまり降りてこず2列目からライン裏へ抜けて受ける動きが多かった。
柿谷も受け方の上手さとキープ力で能力を発揮し、トップ下の時よりプレー位置が高くなったことで相手への脅威は増した。

後半水戸が圧を強め、IHのところまでボランチが前に出て来るようになり前半のように上手く前進できなくなる。
失点後は恒例となったSBを削り西谷と杉森を張らせる形で攻勢に出るも何度かあったチャンスは精細を欠き得点を奪うことは出来ず。
ただいつものように2バックではなく白井がはっきり最終ラインにいたため3バックにしていたのではないかという印象。

開幕から9戦勝ちなしで2014年に並んだ。


第10節 H ● vsV・ファーレン長崎

スタメンは前節から渡、児玉、田中が外れ、森海渡、玄、スアレスが入った。
ルイズミ・ケサダが初めてメンバー入り。

徳島は西谷がトップで柿谷がトップ下の4312
長崎は4231

徳島は西谷がソシエダにおける久保の役割でサイドに開いて受けて仕掛けるパターンを駆使しながら得点を狙う。

システム上、SBの前に人がいないので外側から縦に前進という形は取れずサポートの人数も少なくなるため、早く中央に差し込めないと追い込まれて下げざるを得ない。
しかし最終ラインとアンカーの白井の5人で縦に差し込める選手が内田しかおらずビルドアップが昨日しないのはこれまでと変わらない展開。
唯一、内田の縦パスを森が落として柿谷が仕掛けからFKを奪ったシーンだけが上手くいったといえる。
ラバインとしてはああいった形を作るのが理想なのだろう。

後半433に変更するも幅を取るのかも中途半端で4312を続けていた方がはるかにマシだった。

効果的なボールが出ないのに加え、奪った後の単純なパスミスが多くペースを掴めず、カウンターから裏のスペースを突かれたりセットプレーから失点を繰り返すいつものパターン。

カカは完全にマークを外した3失点目に加え、失点こそしなかったものの終盤は完全に気持ちが切れてラインを合わせることすら怠り中盤をふらふらして空けたスペースから大ピンチを招くなど酷いプレーだった。
近年のヴォルティスであれほどやる気をなくしたプレーは見なかったのでサポーターとしてはかなりショックだった。

クラブワースト記録となる開幕10戦未勝利

試合後クラブからはお気持ち表明のリリース


第11節 A △ vsザスパクサツ群馬

スタメンは前節から浜下が外れ安部が入った。

徳島は3142と今季初めて3CBを採用
群馬は442

徳島は10戦勝ちなしということもあり大幅に戦い方を変更
守備ではネガトラ時は強いプレスで奪いに行くものの、相手が安定して保持すると撤退も許容するようになった。
WBはあまり前に出てプレスに行かずサイドを埋め、2トップで追いながらサイドバックにボールが出たらIHが前に出て対応
中央に差し込まれたら左右CBが前に出て潰すという形。
カカを守備に専念させ内田と安部でビルドアップ。
西谷をWBにしプレーエリアを上下に限定することで攻守に運動量を活かしカウンターの推進力を上げ、大外のラインで常にプレー出来るため仕掛けやすくなった。
など選手のキャラクターがより活きる形に最適化されたと言える。

この試合ではこれまでのように得点のために大きくバランスを崩すこともなかった。(白井のCBは控えにCBがいなかったからだと思う)

セットプレーの守備もゾーンからマンツーマンに変更

中盤3枚のタスク、交代のチョイスなど問題点もあったが、これをベースにブラッシュアップ出来れば結果は出てくるのではないだろうか。
ラバインの志には反するかもしれないが、今のスカッドを考えると現実的な選択が出来たと感じる。


第12節 A ○ vsジュビロ磐田


前節から内田、カカ、外山が外れ、石尾、森昂大、ケサダがスタメン
石尾は今季初出場

徳島は前節から継続の3142
磐田は4231

3CBは左から安部,石尾,森昂大の並び
開始早々に先制点を奪えたが特に戦い方を変えるわけではなく、状況によってリスクを見ながら撤退とプレッシングのバランスを取る前節のやり方を踏襲する形。

2得点目は今季最も良い形が作れたシーンだったのではないだろうか。
GKから降りて受けた杉本が、味方のポジショニングで相手がプレスを定められていない状況を活かしドリブルで剥がし持ち運び
中央の空いたスペースに動き出した玄理吾が受けて前を向きゴール前まで運ぶ
森海渡がファーに引っ張ったスペースを柿谷が個人技でこじ開けフィニッシュ
理想的なビルドアップから得点まで奪い切れたことは結果以上に大きなトピックスとなった。

後半磐田が裏のスペースを上手く使い始め押し込まれがちになったが、最終ラインを3枚にしたことでカバーが間に合うようになり流れの中から失点はなかった。
失点は2点ともセットプレーからとはいえ、押し込まれるとどうしてもああいったシーンは増えてくる。

試合全体を押してビルドアップが良くなかったことで試合をコントロールできなかったのは課題。
外回りになり結局長いボールを蹴るシーンが多くなった。
最終ラインとアンカーが2点目の杉本のように剥がして運ぶプレーが出来るようになると中央を割れる回数も増え、より主導権を握れるようになるだろう。

12試合目にして今季初勝利となった。


第13節 H △ vs清水エスパルス

前節からケサダが外れ西野が入った。

徳島は3142で西野が右WB
清水は442

基本的には前節を踏襲する形だが、清水の個の能力を意識してかプレスは控えめでリスクをかなり考慮した印象
前半は両チームとも大きなチャンスを作れたわけではないが、セットプレーで先制し、相手のシュートはゼロに抑えた。

後半清水がチアゴサンタナや乾を投入すると個の能力でキープされたり反転されたりするシーンが増え押し込まれる展開となる。
終盤541に変更すて逃げ切りを狙うもATにCKから失点
両チームともセットプレーから1点ずつで妥当なドローと言える。

前節もそうだったが、ビルドアップがあまり上手くいっていないので流れを空いてに持っていかれがちで、押し込まれた結果セットプレーを与える回数が増える。
現状は基本的に人海で守っているため、リスクをかけてプレスに行くかビルドアップを上手くやらないと押し込まれ続けるということになる。
ただ、まだやり始めたシステムなのと相手のレベルを考えてもこの試合は上出来だった。
守備を安定させる土台は出来つつあるので、もう一つ上のチームになるためにはプレッシングかビルドアップの部分でもう一段階リスクをかけてプレーできるようにならないといけない。

安部は徳島で初ゴール
棚橋がJリーグ初出場


第14節 A ○ vs大宮アルディージャ

今シーズン初めて前節からスタメンの変更がなかった。
ベンチには長谷川雄志が今季初めて入った。

徳島は3142
大宮は442

前半は徳島の3CBに対し大宮は2トップでプレスに来てIHを大宮の2ボランチが見る形。
3CB+GKとアンカーで回しながら左右CBのところで運んだり差し込んだりというビルドアップが機能した。
これまでの試合では蹴って逃げていたような場面でも落ち着いて繋いだり、中央へ差し込むパスが増えたり、チームとして調子が上がってきたことを窺わせるようなプレーが増えた印象。

先制シーンはIHが降りてきて相手ボランチを釣り出したスペースに白井が走り込み森昂大から良い縦パスが入る。
白井から森海渡にスピードを活かしたスルーパスが出て折り返しを柿谷が決める良い崩しの形だった。

後半は大宮が2トップを縦関係にしてアンカーを消し、両SHがCBまでプレスに行く形に変更したことで徳島のビルドアップが難しくなった。
SHとSBの間もしくはSBの裏にスペースが出来るため、そこを出口にしたかったが、上手くいったのは森海渡が相手右SBの裏に抜けたシーンの1回だけだった。
それとは関係なく3点目のように森海渡がポストで収められればひっくり返せるが、もう少し戦術的に解決出来る方がよかった。
相手のSBがWBを捕まえてくるため433にしてSBをピン止めするなどシステムを変える方法もあるが、ここまで4バックで勝ててないためその選択を取るのは今は難しいだろう。

ひたすら裏狙いの大宮に対し石尾の対応が90分通して素晴らしかった。

3バックに変更後から4戦負けなしとなり10試合ぶりに最下位&降格圏脱出

元監督のリカルド・ロドリゲスが来場していた


第15節 A △ vsレノファ山口FC 

前節からメンバー変更は無し

徳島は3142
前節終了後に監督が解任となった山口は4231

前節大宮戦の後半と同じ3142と4231でミラーゲームとなり、ほぼマンマーク気味にプレスに来る山口。
それに加え大雨の影響でピッチコンディションも悪く最終ラインで余裕を持ってボールを回すのは難しかった。
徳島も揺さぶるよりは比較的早めに前へボールを入れていき応戦

後半は更に雨足が強まりピッチ全体でボールが止まる状態に。
加えて杉本が2枚目のイエローで退場(1枚目は主審によっては出ない&2枚目は死角からの自己なので不運だった)
441に変更し逃げ切りを狙うもパワープレーで押し切られ終了間際に同点とされドロー決着。

この試合は雨と退場でそれどころではなくなったが、4231のミラーで守備してくる相手に対しての解決策は見つけたい。
マンツーマンだから個の能力で押し切るのが一番手っ取り早い解決方法ではあるが、それでは限界があるため配置で優位性を作る策が欲しい(前節も同じこと書いた)。

ここ数試合続いているが、ベンチにCBがいない。
1.5列目タイプが明らかに1枚多くて、結局この試合でも棚橋や中野は使われず交代枠を2枚残して終わった。
もしこの試合ベンチにCBがいれば、441変更後右SBになりフル出場した西野を交代し逃げ切り策を打てたのではないだろうか。


第16節 H ○ vsツエーゲン金沢

出場停止の杉本のところに児玉が入った以外は前節と同じメンバー

徳島は3142
金沢は前節の442から変更し4312

金沢は徳島の3CBに2トップでプレス、トップ下がアンカー、IHがIHを捕まえる形でWBに対してもSBがかなり前に出て潰しに来たことで、保持はディフェンシブハーフが多少持てる時間があったが地上からの前進は難しかった。

相手SBの裏にスペースがあることを把握し、前半なかばからCFを大外に立たせ裏へ抜けるボールで出口を作る。
先制点はこの狙いが見事にハマった。

左右CBのところに時間があることで後半はそれを利用して相手を揺さぶるシーンが増えた。
2点目のシーンは大きく揺さぶれたことで西谷が仕掛けるスペースを作ることに成功した。
勝ててなかった時期はプレスを嫌がり簡単に蹴ってしまうプレーがかなり多かったし、勝ち始めてからも含め相手を左右に揺さぶってスペースを生みだすプレー選択はあまり出来ていなかっため、この得点は結果以上に価値のあるシーンになった。

「POCARI SWEAT × TOKUSHIMA VORTIS Football Dream Project」でインドネシアのRANSヌサンタラFCオーナーのラフィ・アフマッド氏一家が観戦に訪れた


第17節 A ● vs藤枝MYFC

前節出場停止だった杉本がスタメンに復帰

徳島は3142
藤枝は3421

藤枝の保持が上手いことと連戦の疲労も考慮してか徳島はいつもより前からは行かず、532でのブロックがベースだが柿谷が左に落ちて541になる場面も見られた。
相手がWBの裏をワンツーなどでシンプルに突いてくる攻撃に苦戦。

攻撃面は序盤は相手の前3枚に対し3CB+GKで回し、空いたところでCBがドリブルで運ぶシーンが何度か見られ、この繋ぎがこの試合のポイントになるかなと思って見ていたのだが何故か中盤以降ゴールキックは全て蹴り、繋がなくなってしまった。
相手の立ち位置で繋ぐのが難しいと判断したのか、相手が前掛かりだからFWが収められる可能性が高いと判断したのか不明だが、白井がスアレスに対し繋ぐようジェスチャーで求めていたのでスアレス個人の判断で蹴っていたのだと思われる。

プレス強度も高くなく、蹴ったゴールキックもあまりマイボールに出来ていなかったので試合の流れは藤枝に傾き、効果的なサイドチェンジとWBの裏狙いで失点を喫する。

ここ数試合は交代カードを使い切らないことが多かったがこの日はHTに2人、61分に2人と積極的にカードを切っていく
棚橋や坪井などでプレスを高めたことで、後半立ち上がりは攻勢を強めるも根本的にビルドアップもボールの回収も相手を上回れない状況は改善できず。

杉本がなぜか逆サイドまで来て自分のポジションを空けるシーンが多かったのは気になった。

山口戦もそうだったが、噛み合わせで上手くいかない時に配置で策を打ててない。
繋げないから蹴るのじゃなく、立ち位置を工夫して繋ぐことにもう少しこだわってやって欲しい。
相手が前3枚なら白井が降りて4枚で回すなど。
システム変更後勝ち始めたものの課題は多く、このやり方だけで勝ち続けることは難しい。
この敗戦をそういった部分に向き合うことのきっかけにして欲しい。


第18節 H ○ vsFC町田ゼルビア

スタメンは前節と同じ

徳島は3142
町田は442

前節良くなかったビルドアップが修正され、今季最も良い保持からの前進が出来たのではないだろうか。
この試合では最終ラインと中盤の選手がこれまでの試合に比べてドリブルで運ぶプレーがかなり増加した印象。
揺さぶるパススピードも良く、ポジションの取り直しもスムーズで細かいパスで相手のプレスを掻い潜れるシーンも多かった。

長いボールを蹴って来る町田相手に跳ね返し続けた3CBは今日も上々のパフォーマンス
エリキとデュークの2トップ相手にこれだけ戦えればJ2では全く問題にならないだろう。

前半に西野と玄理吾の2人だけで崩し切ったシーンを作れたのは非常に良かった。
西野はスピードアップした時の力強さや大外の裏抜けでこれまでのウインガーとは違った色を出せているし、
玄理吾はポジショニングが抜群に良ことに加え今日はドリブルで効果的に運べていた。

数的優位になり逆転したが、11vs11の状態時でもあとはネットを揺らすだけという内容で、勝利に値する試合だった。

後日戦術カメラの映像を公開するTHE ANALYSISが開始


第19節 A ● vsファジアーノ岡山

出場停止の西谷のポジションには浜下が入ったのみの変更

徳島と岡山、共に3142

横幅と中盤が同数となるため保持しての前進はお互い難易度が高く、非保持の方が都合の良い嚙み合わせとなった。
徳島はIHの杉本が相手に捕まらないCBとWBの間に降りて受ける狙いを見せるが効果的な前進には至らず。
左右CBが持ち運ぼうとするも相手CFのプレスバックが早く苦戦。
長いボールが多くなると高さとパワーに勝る岡山にペースを持っていかれる。
徳島も何度か中盤で奪いショートカウンターを見せるなど非保持側にチャンスは多くなった。

WBのところで剥がせるとチャンスが増える構図だが、西谷の出場停止も響きサイドを完全に突破したのは浜下と森海渡の計2回。
右の西野はドリブラーではないので裏に抜ける特徴は発揮できず終始手詰まりとなった。

ロングボールからのカウンター2発に沈んだものの失点自体はどうしようもない部分もあるため3点取るしかなかった試合と言える。
ショートカウンターとサイドの突破で3点取れる可能性はなくはなかったがもう少しチャンスの数は増やしたい。

ベンチにウインガーがおらず、CFとIHの計4枠が柿谷を下げないから実質交代できるのは3枠
それに対しベンチにはこのタイプが4人いて、この試合では4人目になった坪井をWBで使った
結局1人余らせて本職じゃないポジションで起用するのなら明らかに1人多い。
ドリブラーを1人でもベンチに置いていれば違ったアクセントを加えられたのではないかと感じる(実際に岡山は縦へのスピードがある高橋諒をWBに投入後そこから何度もチャンスを作った)。
メンバー選考を含めたベンチワークにはまだまだ課題が残る。


第20節 H ○ vs栃木SC

スタメンは出場停止明けの西谷が復帰した以外変更なし
ベンチには天皇杯で活躍した児玉や高田が入り、前節問題に挙げたドリブラータイプのWBがベンチに入った。

徳島は3142
栃木は3421

藤枝、岡山と3バックのチームに苦戦している徳島だが、この試合の栃木も3バック。
栃木は1トップがアンカーを消しながら、左右CBにボールが入ったタイミングでシャドウがスイッチを入れるプレッシング。
CB中央の石尾が余裕を持ってボールを持てる時間があるため、ドリブルで持ち上がるシーンが何度か見られたが出しどころに困り、序盤は栃木の圧力に苦戦する展開が続く。

徳島は解決策としてIHを開いた位置に立たせてフリーの選手を作り出す。
右は西野が後ろで玄が前、左は杉本が後ろで西谷が前。
右は近い距離感でショートパスを駆使し前進するシーンが多かったのに対し、左は裏狙いやドリブルで剥がすシーンが多かった。
ここまでの試合に比べ後方でのパス回しにダイレクトパスを多用した印象で、パススピードでプレスをかわす事を3421対策として用意しようとしたのではないだろうかと思う。

終盤は3421に変更して逃げ切り

森海渡が5月の月間MVPを受賞


第21節 H △ vsモンテディオ山形

スタメンは変更なし

徳島は3142
山形は4231

立ち上がりから終始徳島がボールを支配し続ける展開の試合となった。
徳島のビルドアップに対し山形は442で構える。
山形は2トップで徳島の3CBとアンカーを見て、両SHは徳島の3CBにはそれほどプレスに来なかったため、最終ラインでの保持に困ることはなかった。
そのため前線への配給も上手くいったのに加え、中盤で受ける側の質も高かったため変な奪われ方をしてカウンターを喰らう場面もほとんど見られなかった。
最終ラインからボールが出た先でパスコースを作る立ち位置がしっかり取れているため、相手に捕まらずダイレクトプレーなどで剥がせている。

攻めあぐねていたわけでは決してなかったがシュートシーンはそれほど多くなく、パスが少し弱かったり、コントロールが上手くいかなかったり、シュートを打ち損ねるような、チャンス未遂のようなシーンが非常に多かった。

後半も似たような展開が続き、得点はPKの1点のみ。
あれだけチャンスになりそうなシーンを作れておいてこの数字は寂しい。

ミスからの失点でドローに終わったが、失点シーンは大した問題ではなく、4,5点入っていてもおかしくないような試合で流れの中から1点も取れなかったのが最も大きな問題だと言える。

とはいえ試合のコントロールという点では今季最もクオリティの高い試合が出来たと言えるし、前半戦ラストの試合として積み上げて来たものを表現できた試合になったのではないだろうか。


第22節 A △ vsベガルタ仙台

スタメンは変更なし

徳島は3142
仙台は442

序盤から徳島がボールを握る展開
仙台が3CBのところにはそれほどプレスに来ないため最終ラインでは難なく保持できる。
西谷を警戒してか徳島が左サイドでボールを保持しているときは逆サイドの西野はフリーになることが多く、そこから仕掛けられるシーンが多かった。
逆に守備では西野サイドで氣田と1vs1を作るというのを狙われていた。
徳島のプレスに対し仙台は切っている側のパスコースにどんどんパスをねじ込んでくるため上手く守備をはめられず苦戦する場面が多かった。

シュート19本で支配率も59%とかなり試合を支配でき決定的な場面も何度も作ることが出来た。
決定的な仕事ができるカードであろう高田を使わなかったのは右WBのところで再三あった相手のドリブラーに晒されるリスクを考えてだと考えられるが、現状それだけ守備面で不安要素のある(負けているときにしか使えないような)カードしかベンチに置けないというのは悩みどころである。


第23節 H △ vsザスパクサツ群馬

玄理吾と出場停止の安部にかわり中野と長谷川雄志がスタメン
長谷川が左CB

徳島は3142
群馬は442

群馬は2トップ+左SHの3枚で徳島の3CBに対しかなりアグレッシブにプレスをかけてくる。
徳島は幅を上手く使いながらゲームをコントロールするも精度を欠きチャンスを作り切れないシーンが続く。
ネガトラは上手く機能し後半の立ち上がりとラスト5分以外は相手を押し込むことが出来ていた。

中央を固めてくる相手にシュートまではいけないものの、CKを取れる場面は多くこの試合計9本もあった。
セットプレーから得点が出来ていないことが勝ちきれない試合を増やしている要因の一つとなっている。

あとはクロスからの得点が少ないことも気になる。
この試合もクロスが味方に合うようなシーンはほとんどなかった。
西野のクロスを森海渡が胸で落とすシーンはあったが、それも直接シュートを打てるボールではない。

優勝した2020年はCKからの得点がかなり多かったし、藤田征也のクロスが年間何得点か生んでいたように、キックの質が正義な部分はある。
それが出来るエウシーニョやケサダが不在なのはその部分に大きく影響していると考えざるを得ない。

長谷川雄志の左CBはカバーリングの勘の悪さが隠されて、前に出る守備の良さが光る形となり好感触、パス出しは流石。
マークや空中戦で晒されるシーンがなかったためまだ未知数な部分も多い。


第24節 A ● vs水戸ホーリーホック

前節からは長谷川雄志、中野、柿谷、森海渡に代わり安部、児玉、坪井、棚橋がスタメンと、連戦のため多少ターンオーバーが見られた。

徳島は3142
水戸は3241

立ち上がりは徳島が押し込む時間が続くが、徳島先制後からは水戸のプレスがかなり圧力を強め余裕を持って保持が出来なくなる。
水戸は徳島の3CBに対し3枚で、WBどうしを当てることで徳島の出しどころを防いだ。
徳島はIHをサイドに出して数的優位を作ろうとするも、WBが出たスペースはCBが前に出て潰すなど、アグレッシブなプレスに苦戦を強いられた。
徳島としてはその裏のスペースを取りたかったが裏抜けで起点を作る場面は少なく、反対に水戸は徳島のCBが前に出たスペースを再三狙い逆転弾に繋げた。
WBのところへのボールはあるものの、CFが裏に抜ける場面というのはここ数試合を見てもあまり見られない。
この試合は(前節も)オフサイドの数が0だったが、それだけ裏へのチャレンジが出来ていないように感じる。

守備でも高い位置から奪うような場面はほとんど作ることが出来なかった。
相手CB3枚+2ボランチに対し2トップで追っていたが、IHの役割が曖昧で効果的なプレスは全く見られなかった。
2トップ+IH1枚で相手3CBへ行き、IHとアンカーで相手ボランチを潰す形の方がはまったと思うが、ロングボールを警戒してなのか中盤はあまりアグレッシブに前向きに守備はやらせていなかった。
結果的に相手のペースに飲まれ流れを渡すことになった。

前節CKを9本取りながら1点も取れなかったが、今節もセットプレーから点は取れなかったのに対しセットプレーから2失点している。
前節もフリーで合わせられるシーンがあったが、攻守ともにセットプレーが明確に課題となっていることは開幕から変えられていない。


第25節 H △ vsファジアーノ岡山

メンバーは前節ターンオーバーした2トップを元に戻した以外は変更なし

徳島と岡山ともに3142

徳島は前節監督も言及していた裏への狙いの部分で改善が見られた。
立ち上がりから森海渡が裏抜けからシュートまで行き切るシーンを作るなど、特に西谷からボールが出ることが多くやはり一番分かっている選手であると感じる。

しかし前半立ち上がり以降試合が落ち着き裏へのボールが減ってくるとビルドアップでは中盤のところで引っ掛かり前進できないシーンが目立つ。

後半から坪井を投入すると、相手WBの裏で受ける動きなどライン裏の意識が再び増え始め、よりゴールに向かうプレーが増え始めた。

棚橋の好プレーから柿谷の徳島ヴォルティスJリーグ通算900ゴールのメモリアル弾で先制するも、終了間際にCKから失点しドロー決着。
徳島も岡山も2度ポストを叩くシーンがあり互いに決めきれない試合となった。

前節CKから2失点したのに続き、今節もまたCKからの失点。
10試合終了後からゾーンからマンマークに変更したものの、変わらず失点は減らない現状となっている。
セットプレーで勝ちきれる試合はなくセットプレーで勝ちきれない試合は多く、それが現在の順位に反映されている。

エウシーニョがベンチに復帰



第26節 A △ vs東京ヴェルディ


スタメンは前節から杉本太郎がメンバー外となりIHは坪井と児玉

徳島は3142
東京Vは442

東京Vは序盤から裏抜け狙いで何度かチャンスシーンを作る
失点には至らなかったが完全に抜け出された場面もあった

4231で守備をしてくる東京Vと徳島の3142が完全にはまっているのもあり前進はかなり苦戦し支配率でも相手に上回られる。
IHの二人はそれぞれパスや競り合いなどで持ち味は見せるも、ロストとミスが多くポゼッション面では杉本と玄に分がある内容。

リーグ戦での復帰戦となったエウシーニョが出て以降で明らかに流れが変わり、ビルドアップや守備の安定感とキックの質で違いを見せてくれた。

高田投入後から4231に形を変更
エウシーニョ復帰が大きな理由だと思うが、3142導入後試合中にシステムを変更したのはこれが初めて。



第27節 H ● vsヴァンフォーレ甲府

スタメンは前節から児玉に代わって杉本が復帰

徳島は3142
甲府は4231

この試合の徳島は攻守ともに全く機能性を失っていた。
ビルドアップではアンカーにパスを入れることがほとんどできず、刺しどころを迷っているうちに追い詰められて長いボールに逃げるというパターンを繰り返し。
なんのためにリスクの高いボール回しをしているのかという共有が全く見て取れず、どこで味方に時間やスペースを作るのかといった意図を感じなかった。
サイドから仕掛けるシーンは何度か作れていたものの、サポートの立ち位置が悪く孤立して崩すというシーンは作れずクロスを放り込むだけに終始した。
プレスは奪いどころがはっきりせず圧力も西谷以外足りていないため簡単に掻い潜られてしまう。
攻守ともにリスクだけ払ってどう利益を生むかが計算されていないような内容であった。

現状ボールを支配するサッカーをするためには明らかに選手の能力が追い付いていないと言える。
今いるメンバーで結果を出すなら最も分かりやすい策は、走力特化型にして全員で同じ方向を向けるよう保持を捨てやり方をシンプルにすることだろう。
ボールを保持するサッカーを続けて結果を出すにはCBとアンカーにポジショナルプレーのビルドアップを熟知した経験豊富な即戦力を連れてこなければかなり厳しい。
現在のチームにはビルドアップの拠り所となれる軸が存在しない。


第28節 A ● vsFC町田ゼルビア

スタメンは前節から坪井、西野、安部、棚橋が外れて児玉、エウシーニョ、長谷川雄志、森海渡に変更多め

徳島は3142
町田は442

試合内容は前節とほとんど変わらず。
最終ラインから中盤にパスが入ったところでロストしショートカウンターを受け続ける。
アンカーから縦への配給が出来ないからWBが何とかしないと攻め手がない。
唯一の得点も相手のミスからのカウンターで、ビルドアップから決定機を作るようなシーンは一度も出来なかった。

怪我人の復帰だけは好材料で、玄理吾のところでは明らかにボールロストが減ったし、ケサダのFKからチャンスが生まれたし、内田は持ち上がりで相手を剥がす場面を作れていた。

しかし根本的に組織として問題があり、ボール奪取位置は低いくせにビルドアップでボールが前進しないという部分を解決できていないため勝利には程遠い試合を変えられていない。


第29節 H △ vsジェフユナイテッド千葉

スタメンは前節から5人変更で、石尾,長谷川雄志,杉本,児玉,柿谷に代わり内田,安部,櫻井,棚橋,浜下がスタメン

徳島は18試合ぶりに4バックを採用し442
千葉も442

徳島は4バックに変えたことで前節まで問題となっていたプレスの部分が大きく改善する。
相手との距離感が近くなりFWどちらかと両サイドで追うことで強度が上がったことで、後ろのスペースを空けるだけだった中途半端なプレスから相手に余裕を与えないプレスに変わった。
また2ボランチにしたことで白井の可動域が増えたのに加え、保持時の負担が減ることで中盤での不用意なロストを減らすことに成功した。
エウシーニョが一列低くなったことでドリブルでの持ち上がりが効果的になったのも良かった。

守備と保持の改善が攻撃面にも影響を与え、エウシーニョのプレーから2得点とカウンターから1得点で12試合ぶりの複数得点となった。

しかしリーグ戦終盤になっても戦い方が定まらない影響もあり、全体的な練度の低さは否めない。
守備では同じところに2人がプレスに行ったりして重なる場面が何度もあった。
失点しなかったものの森昂大が不用意なPKを与えたり、減らないセットプレーからの失点など、必ずしも3ポイントを失ったとは言い切れない内容ではあった。
これは戦術云々以前の部分である。
勝っている状況で安部を下げる必要があったのかどうか、それが必要でもサブにCBがいれば昨年ポヤトスがやっていたような541にして逃げ切りの采配を打てたのだがそれが出来ないメンバー選考になっている点など疑問点もある。

この試合のドローにより21位となり再び降格圏へ転落となった。
幸い14位まで4ポイント差と下位が詰まっているのに加え、442に一定の可能性を見出せたことでまだ悲観的な状況ではないが、ここからまた新たなシステムで完成度を上げていくにはあまりにも時間がない。


第30節 A △ vs栃木SC

前節から棚橋に代わり柿谷がスタメン

徳島は442
栃木は3142

前節の442を継続
立ち上がりは徳島が優位に進め、相手中盤の脇スペースを上手く使い先制点を奪う。
しかしその後は栃木の圧力に苦しみ、保持の場面では簡単なミスが目立ち、守備では中盤での強度不足が露呈し流れを渡す。
際どい判定から失点を許した後もクロスボールを相手に先に触られる場面が多い。
相手の修正に対し策で打ち返せないというのは今季ずっと続いている。

後半相手に退場者が出た後システムを4312に変更し、ケサダにボールを集めクロスからチャンスを作ろうとするが、逆に攻撃がクロス一辺倒になりバリエーションを見せられない。

そしてこの試合でも今シーズン何度目かもう覚えていないほどの回数にのぼる試合終了間際のセットプレーからの失点。
直後に渡が取り返したおかげでドローにはなったものの、一向に改善が見られない。

選手の質、監督の技量、何を取っても順位相応と言わざるを得ない。


第31節 H ○ vsレノファ山口FC

スタメンは前節から浜下と安部に代わり西野と田向
4日前に加入が発表された永木亮太もベンチ入りした

徳島は4231
山口は3142

序盤から徳島はプレスで流れを掴む
徳島が3142だった頃、4231の相手とはがっちり嚙み合わせが合うためビルドアップに苦戦していたのと同じように、4231の徳島が3142の山口に対しプレスをかけやすい構図となった。

SHで初出場となった西野が守備のタスクが減ったのとWBの時より内側でプレーができることで持ち味を発揮できたことで早々に1G1Aを決め結果を残す。

プレスの勢いが落ち着き押し込まれ始めると、誰がどこのスペースを守りボールホルダーに誰が出ていくのかなど、勝ててないチームらしくバタついた守備を見せる。

後半中盤の3枚変えでプレスのエンジンを入れ替え、田向の負傷交代をきっかけに541で守り切った采配は納得感があった。

5試合ぶりのクリーンシートやセットプレーで失点しなかった点はひとまずよかったものの、ファールになったとはいえラストプレーでゴールネットが揺れた部分はまだ嫌な流れや課題を払拭しきれていないと感じる。

11試合ぶりの勝利で全員喜びというよりも安堵の感情を見せている中、この日出場のなかった渡がカメラに向かって全力で喜びを表現しているのが良かった。
こういう選手はチームにとって本当に大事である。


吉田達磨期

山口戦から2日後、ラバイン監督の解任が発表された


第32節 A ○ vsツエーゲン金沢

スタメンは前節から西野と櫻井に代わり棚橋と永木が入った。

徳島は4231
金沢は442

前節終了後ラバイン監督が解任され、吉田達磨監督の初陣となった。
監督は変わったものの大きな変更が行われたわけではなく、前節勝利したやり方を基本的には踏襲した戦い方となった。

とはいえ多少アレンジが加えられた部分もあった。
・ボランチが最終ラインに落ちる回数が多く、保持時3421の形になるパターン
・柿谷が左中間に落ちて433のような形になるパターン
などラバイン時は基本的に4231の形を崩さなかったが、この試合ではベンチの指示ではなく選手が状況を見て可変していた印象。

金沢がCBまであまりプレスに来なかったこともあり最終ラインでの保持は安定
序盤はチャンスを何度も作りその勢いのなかで先制に成功。

後半は押し込まれるシーンが増えたものの凌ぎ切り、石尾投入後541に変更。
これまで3CBでは石尾が中央だったが、この試合では森昂大が務めた。

もう1点これまでと違ったのは途中出場の杉本太郎が1列前で起用されていた。

押し込まれた時間帯でも何度かひっくり返せるシーンは作ったが、主導権を握る時間帯を長く出来なかったのは今後の課題と言える。

終盤に失点する試合が多かった中で、前半に奪った1点を守り切るような固い試合が出来たのは良かったのではないだろうか。


第33節 A △ vs清水エスパルス

スタメンは前節から3人変更で、田向,棚橋,エウシーニョに代わり石尾,ケサダ,浜下

徳島清水ともに4231
右サイドバックは石尾が務めた

清水は前節の金沢と同じ442の守備だが、違う点はボランチがボランチを捕まえに来るかどうか
金沢は来なかったので最終ラインでは余裕ができたが中盤が密集するため中央からの攻撃は難しくなる
一方の清水は捕まえに来るため最終ラインでの保持はリスクが上がるものの、中盤にスペースが出来るため柿谷がフリーマン的に受けられる回数が増えた。

個の能力の高い清水対策として前節に比べプレス位置は低め。
最終ラインへはあまりプレスに行かず、一つ縦にボールが出たところから奪いに行く形
後方で数的優位にならないようにして個の優位性を防いでいた。

杉本と西野を投入した61分から3421に変更で西谷と杉本のシャドウとなる
75分にケサダを下げ棚橋を投入し西谷をWBに移動

吉田監督就任から2試合連続の無失点
プレスのかけ方でリスクを調整しバランスを上手く取れている
エウシーニョと田向不在で3バックスタートかと思ったが石尾を右SBにしシステムと戦い方を継続したのは良い判断だった。

この日は西谷が出色の出来
前半だけで与イエロー3枚
サイドを突破したところ手をかけられ1枚
カウンターで前に運ぼうとしたところに手をかけられ1枚
カットインし逆サイドにパスを振ったアフターで踏まれ1枚

2試合目の先発だったケサダはドリブルの持ち出しなど途中出場では見られない良さが見られた。

数的同数のカウンターシチュエーションが2度ほどあったが、どちらもシュートまで持ち込めなかった。
ラスト1/4の質や攻撃を完結させるという点は課題が残った。

ラバインは柿谷を90分近く使い続けることが多かったが、吉田監督はこの2試合比較的早めに交代させているという違いが見られる。


第34節 H ○ vsいわきFC

クラブ創設記念日当日、FOOT×BRAINの収録で勝村政信さん来場や新エンブレムの発表などトピックスの多かったこの試合

スタメンは前節から森海渡に代えて渡の1人変更

徳島は4231スタート
いわきは3412

徳島は前半から渡とケサダが負傷交代で2枚のカードを使う苦しい展開。
その影響で早々に3421にシステム変更を余儀なくされる。

相手の圧に苦しみながらも前半はビルドアップからシュートチャンスを何度か作ることに成功。

後半は前線の動き出しが少なく押し込まれてひっくり返せない時間が続くが、徐々に西野を中心に裏への動きが増えて盛り返す。

この日は攻守に永木のプレーが素晴らしく、終盤追加点を挙げた内田のビルドアップも冴えていた。

いわきの圧に対し棚橋は苦戦していた印象。
インテンシティの基準を体感するという意味でもいわきは良い相手だなと感じた。

これで4試合連続無失点、クラブタイ記録となった。


第35節 A △ vs大分トリニータ

スタメンは前節から3人変更でケサダ,柿谷,渡に代わり外山,児玉,森海渡

徳島は4231
大分も4231

この日は相手に押し込まれた状態をひっくり返すのに苦労する。
大分がかなりアグレッシブにプレスに来るのに加え、今日の徳島は両SBが外山と石尾だったことでSBの位置から剥がして運ぶというプレーがほとんど出せなかった。

押し込まれる状態が続いたことで後半早々に3421に変更する。
SBを削り最前線に渡が入ったことで起点が生まれた。
攻撃面では良い効果を発揮し3CB変更後2得点が生まれたが、守備面ではプレスがかかりづらくなったことで奪いどころを失い、押し込まれる展開を大幅に変えるには至らなかった。
奪った後の精度にも課題が残り、流れを相手に持っていかれた。

エウシーニョ,ケサダ,田向,安部とビルドアップで能力を発揮できるSBに怪我人が続出しているため難しい状況だったが、早めに交代で策を打つなどやれることはやった印象。


第36節 H ● vs大宮アルディージャ

スタメンは前節から森海渡に代わり渡がスタメン

徳島も大宮も4231

ここ数試合5バックだった大宮が442で守り、立ち上がりアグレッシブにプレスをかけてきたことでバタバタし、落ち着けられないままショートカウンターから失点を許す。
徳島は442でプレスをかけてくる相手に対しそのまま4231でビルドアップをしようとするが、ミラーで噛み合っているためビルドアップが難しい。
こういった状況をピッチ上の判断で解決できるようになりたい。
相手のプレスが緩みボールを持てるようになってからも結局最終ラインからボールが出たところで捕まるため持たされている状況。
噛み合わせ的に一番浮くトップ下の所もあまり受けられず、サイドの低い位置まで降りてこないと受けられないため攻撃面で効果的なプレーは出来なかった。
幅を使っても外山のところが仕掛けられないためチャンスを作るのは難しかった。

後半はメンバーを変えず攻撃時3421という形にしてシャドウがボールを受け始められるようになる。
前半より攻撃のシーンは増えたが、簡単なミスからのロストが多く、配置変更で変わりかけていた流れを掴めなかった。
選手交代で完全に3421に変更したもののサイドの西谷に仕掛けさせるシーンをなかなか作れず、相手も5バックにしてからはさらにボールが入りづらくなった。
541守備になったことで負けている状態なのにボールを奪いに行けず相手に持たれる時間が長くなった。
ビルドアップ面については最終ラインの怪我人が帰ってくるまでこの状況を変えるのは難しいのではないかと思う。

永木からCFの動き出しに対し裏へのボールが何度か出ていたのはこれまであまりなかったので良い部分だった。


第38節 H ● vsロアッソ熊本

中2日ということでスタメンは7人変更
特別指定の青木駿人がスタメンとなった。
特別指定選手が出場するのは初。

徳島は4231
熊本は3313

前節に続き簡単なミスからのロストが多く、熊本に押し込まれる時間が長い試合展開となる。
戦術うんぬん以前に個々人の質の粗さが目立ち、最終ラインからはあまり中央にボールを刺せず、中盤はパスミス、コントロールミスからのロストを頻発、CFは空中戦を全く競らず球際で戦えない。

熊本がドリブルで剥がして運んだり連動して強度の高いプレスを実行しているのに対し、徳島はただ回しているだけで効果的なパスは出せず守備強度も低い。

今季初先発となった石井は積極的にリスクのある縦パスを入れ、長年徳島でプレーしているだけあるパフォーマンスを見せてくれこの試合で最も良かった。
途中出場の玄理吾は技術やアグレッシブさで傑出しており、坪井も体を張ったプレーで違いを表した。
青木も球際と空中戦の強さは見せてくれた。

近年の降格チーム最高勝点が40なのでそのラインはすでに超えている。
玄や坪井をはじめ棚橋や西坂など、パッとしない中堅ベテランやレンタル選手より若手にプレーの機会を与える方が有意義なのではないかと思ってしまうほどに酷い試合が続いている。


第37節 A ○ vsモンテディオ山形

スタメンは4人変更で、杉森,櫻井,青木,石井に代わり浜下,永木,安部,内田

徳島も山形も4231

山形が保持志向であることに加えラインが高めなため、背後のボールに森海渡が走るというシーンが多くなった。
それも相まって支配率は39%に留まったが、それが返ってよい結果をもたらしたと言える。
相手のプレスが厳しいシチュエーションでボランチが背負って受けるというシーンも少なかった。
前節まで問題になっていたCFが競れない収まらないという部分や、中盤でのロストやミスが多い点を試合展開で消したと言える。
本来やりたいサッカーではないが、もはや内容はどうでもいいと言える状況においては悪くない現実的な試合だった。

怪我人の復帰も大きく、安部は得点に加えプレス回避で特徴を見せたし、ケサダも問題なくプレーしていた。
西野がSBでも問題なく守れていた点も収穫となった。

この試合の勝利で徳島ヴォルティスはJリーグ通算の勝点が1000を超えた。


第39節 H ● vsジュビロ磐田

スタメンは前節から2人変更

徳島、磐田ともに4231

3週間ぶりの公式戦となったが配置に大きな変化はなし
杉本をトップ下に置くことで機動力を活かし、最近の試合で課題となっていたビルドアップでは上手く後方を助け前進できる回数は増えた。
守備でも運動量と強度が活き、うまく機能していた。

相手を押し込みシュート本数も増え、中断中に最低限準備してきたことは見えた。
ここ最近の中ではかなり内容の良い試合が出来たと言える。
しかし簡単なパスミスやロストからカウンターを受ける場面は依然多く、その中で難しいシュートを続けて決められ、対してこちらは決定機を決めきれず3点差がついた。

個の勢いや連動性では間違いなく順位に比例するように差があり、そこはもう今更仕方がないし、取れる選択肢もない。
ただ直近数試合が本当に酷かったので、こういう内容の試合になったのはポジティブに捉えている。


第40節 A ○ vs V・ファーレン長崎

スタメンは前節から1人変更で森海渡に代わり柿谷が入った。

徳島は4231→3421
長崎は433

戦い方は前節をベースに自由過ぎた立ち位置を修正した印象
失点シーンが象徴するように、前向きの守備をしようとするが2列目までのプレスが機能しないことでボランチの所で奪えず、結果的にひっくり返されて後ろの人数が少ない状態で相手に攻撃を完結される。
バイタルエリアで相手に持たれたときも、もう一歩間合いを詰めないとブロックできないような距離感の守備が目立ち、ボールを奪い切れず押し込まれる時間が増えた。

攻撃は前節同様決定的なシーンも作るがビルドアップからの攻めは質の部分で課題が残り、得点はセットプレーと白井の運動量を活かしたカウンターからだった。

白井はゲームを作り味方を使う役割よりBtoBで広い距離を走らせ味方に使われるほうが良さが出る。


第41節 H △ vs藤枝MYFC

スタメンは前節から3人変更で柿谷,安部,内田に代わって森海渡,田向,石井

序盤から裏へのぬけ出しや西谷の仕掛けから何度かいいシーンを作る。

中断後の第39節以降からは攻撃にかなり自由が与えられている印象が強く、杉森が逆サイドまで来るような場面が何度か見られる。
西野は内側にポジションを取りたがるため右サイドに誰もいなくてパスを出せず下げざるを得ないようなシーンも見かける。
杉森がポヤトス時代に輝いていたのは、ポヤトスが立ち位置や役割をかなり細かく要求したことが大きいのではないかと感じる。

相手が前半で退場した後は一方的に押し込む展開だが効果的な形はあまり作れない。

坪井と渡投入後は裏への動き出しや長いボールを収めるシーンが増えたものの、外山が大外となったことで剥がしてクロスを上げきるようなシーンは減った。
高田は突破するシーンは何度か作ったものの、その後の質や判断、守備強度の低さも目立つ。


第42節 A △ vsブラウブリッツ秋田

スタメンは前節から4人変更で、田中,外山,内田,棚橋

徳島は4231
秋田は442

序盤から秋田の圧を受け上手くボールを運べず被シュートの増える展開
SBやボランチの所からドリブルで剥がすようなシーンを作れず前進できない今季の課題は最後まで解決できなかった。
アタッキングサードで簡単なパスミスからカウンターを喰らい流れを掴めないのも今季幾度となく見た場面である。

右の杉森がポジションを捨てて左に行き過ぎるため中央の棚橋の受けるスペースがなくなり、右にサイドチェンジしたら西野が孤立しネガトラは出遅れるという悪い意味での自由はここ数試合許容され続けている。
髙田投入後は高田が大外に張って仕掛けるため幅が取れ改善された。

森海渡が1点取ってなんとか勝点を拾うのも含め今季の徳島ヴォルティスを詰め込んだような試合となった。


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