見出し画像

後半から強くなるのは得意なのか?~開幕後10試合の成績と前後半戦の比較~

序文

2023シーズンが開幕し10試合が経過
クラブワーストの記録を更新してしまった徳島ヴォルティスはかつてない苦境に立たされている。

こんな状況のなかポジティブな話題というのを見つけることは難しい

「得意なんだから 後半から強くなるのは」

いにしえのサポーターならこの言葉を知らない人はいないだろう。
そう、徳島ヴォルティスを初めてのJ1昇格へ導いた小林伸二氏の名言(迷言)である。

徳島ヴォルティスはスペイン路線に舵を切る以前からスタートダッシュに成功したイメージがあまりない。
そして夏ごろから徐々に調子を上げ、阿波踊りの熱気に押されるように阿波踊りブーストを決め、巻き返していくというのがパターンかしている。

鬱屈した空気が張り詰めるなか、唯一ポジティブに考えられるポイントを挙げるなら、徳島ヴォルティスはスロースタートであるという点だろう。

そこで本記事では過去の徳島ヴォルティスの開幕10試合の戦績と最終順位
前半戦と後半戦の成績差を可視化していきたいと思う。

開幕後10試合の戦績

まずは過去の開幕10試合の成績を見てみよう

まず注意点として、この表が記録しているのは第1節~第10節ではなく1試合目~10試合目である。
J2はかつてチーム数が奇数だったシーズンがあったり、天候などの理由で試合が延期され、必ずしも5試合目に第5節、8試合目に第8節などが行われているわけではない。
この表は節数は関係なく1試合目から10試合目に開催された試合を順番に集計してる。

【気になるデータをピックアップ】
勝点は2010年と2020年の19ポイントが最多
開幕連勝は2010と2012年の2回のみで、2010年の開幕4連勝が最高記録
勝数は2010年と2020年の6勝が最多
負数は2022年の1敗が最小

【試合ごとに勝率をグラフ化したものがこちら】

勝分敗の三種類があるため勝つ確率は約33.3%と考えると、開幕から10試合で勝率33.3%を超えているのは、1試合目、3試合目、5試合目の3試合のみである。
最初の5試合は意外と3/5で勝率が良いのに引き換え、その後の5試合の勝率は低い
10試合終了時点での平均勝点は11.8ポイント

【2017年以降に絞ったデータ】

勝率33%を超えるのは同じく3試合のみと、全シーズンデータと差がないことが分かる
開幕戦の勝率に関してはこちらの方が低いため、よりスタートダッシュに失敗している印象なのではないだろうか。
10試合終了時点での平均勝点は12.4と、全期間平均を0.6ポイント上回っている

続いては10試合終了時点での順位と最終順位の差を見ていこう

2010年を最後に、J2では最終順位が10試合終了時点での順位を上回り続けていることが分かる。
最も上昇率が悪かったのが2017年の+-0
序盤に躓くせいというのが大きいため、このデータを良いデータというにはマッチポンプ感が強いが、順位は上がっているので良しとしよう。
2023年は未だ勝てていないため初勝利にかかった試合数が空欄のままとなっているが、最下位ということは最終順位が今より下がることはないため、今年も最終順位が10試合終了時点での順位を下回ることはありえない。
うーんマッチポンプ。

【気になるデータをピックアップ】
開幕後10試合で最多勝点の2010年と2020年を見てみると
2010年は勝点19の4位スタートだったのが最終順位は8位
2020年は勝点19の2位スタートだったのが最終順位は1位

最も順位の上げ幅が大きかったのは2013年と2019年の10位UP
2013年は4勝1分5敗の勝点13、14位スタート、初勝利は4試合目、最終順位は4位
2019年は3勝3分4敗の勝点12、14位スタート、初勝利は2試合目、最終順位は4位

J2で2023年を除き最も初勝利まで時間がかかったのは2008年、2016年、2022年の5試合
2008年は11位から最下位に落ちたものの、2016年は18位から9位、2022年は16位から8位と大幅に順位を上げている
しかしどのシーズンも自動昇格はおろか昇格PO圏にもたどり着けていない

これらのデータより、昇格PO圏内に入るためには最初の10試合で
最低3勝、最低5敗、勝点は最低12ポイント
がボーダーラインであるといえる

自動昇格を目指すにはさらに上の成績が必要となってくる
唯一2位以内に入った2020年は6勝1分3敗の勝点19の2位


前半戦と後半戦の成績差

前章のグラフとは違い、ここからは節ごとの集計となるため試合延期などによる開催時期の誤差を考慮していないデータとなる。

さらに、基準を定めるためJ2のみの成績とし、第52節まであったシーズンもあったなど試合数がその年によって違うが、現在の42試合制を基準に43試合目以降は試合数が少なくデータとしての価値に乏しいため切り捨てとする。

勝率33.3%を基準とすると、前半戦は33.3%を超えているのは11試合
対して後半戦は16試合5試合多い
前半戦の勝率は34.4%、後半戦の勝率は43.3%で、後半戦の方が8.9%高い

続いて2017年以降に絞ったデータ

前半戦に勝率33.3%を上回っているのは11試合(ジャストを入れるなら+4)
後半戦は18試合7試合多い
前半戦の勝率は37.1%、後半戦の勝率は48.6%で、後半戦の方が11.5%高い

全期間、2017年以降、どちらの基準にしても後半戦の方が勝率が高くなっている。
後半戦に強いのは黎明期を除き美濃部時代、小林時代、スペイン化以降全てに共通するクラブのカラーと言えるのではないだろうか。

2022年に検疫の影響でポヤトス監督や外国人選手スタッフが、主に体づくりが目的である1次キャンプを不参加となり、それが序盤戦に影響があったのではないかと批判が起きていた
しかしこれらのデータを見ると根拠のない批判であることが分かる
なぜなら徳島ヴォルティスはそんなこと関係なくずっとスロースターターだからね
昇格した2013年も、POまでいった2019年もそうだった、万全の状態でキャンプインすればスタートダッシュが決まるなんて幻想だと歴史は語っている
そして2023年おなじく万全の状態でキャンプに挑んだ結果がこれなのだから現在進行形でそれを証明している。


【副産物的な発見データ】
2017年以降なぜか第8節、第16節、第26節、第35節の4試合は全く勝てていないということが分かった(この節に徳島戦を引いたクラブはラッキーかもしれない)。
さらに、2017年以降はなぜか開幕戦と最終節の戦績が悪い(確かにほとんど負けた記憶しかない)。
さらに、第36節と第41節は勝率80%を超えているということが分かった(勝ち試合を見たいなら狙い目かもしれない)。


結文

開幕後10試合のデータから見ても今季の昇格はすでに絶望的な状況だ。
しかし終わった試合はもう帰ってこないし、関係なくフットボールは続いていく。
今はひとつずつ改善していき、目の前の試合に勝利することにフォーカスしていく事が重要である。

苦しい2023シーズンの船出となっているが、最下位である以上今季はこれより下はない。
徳島ヴォルティスがここから巻き返していく事を歴史が証明しているのは唯一の希望だと言える。


桜が散り、少しづつ気温が上がり、梅雨がやってきて明けたころには夏になる。
真夏がピークを迎える頃、阿波踊りのぞめきと熱狂の中、きっとそこにあるであろう確信と手ごたえと圧倒的な勢いを携え、みんなで一緒にこうつぶやこう


「得意なんだから 後半から強くなるのは」



フラグは立てたぞあとは任せた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?