星の王子さまについて
読む度に印象が変わる本がある。
私にとって『星の王子さま』はそんな本だ。
初めて読んだのは中学生の時だったと思う。
兄が図書館で借りてきたものを何となく手に取って読んだ。
読んだ印象は綺麗な話だなと言うこと。
可愛らしい絵。
星の王子さまが語る様々な星で出会った人々の話は不思議で、そして綴られた言葉が綺麗で。
この物語が好きだと思った。
次に読んだのは大学生になってからだった。
ゼミで児童文学について何でも良いから発表して欲しいと言われ、ふと思い浮かんだのが『星の王子さま』だった。
2005年に著作権が切れて以来、日本では『星の王子さま』の新訳ラッシュが起きていた。
発表のテーマは星の王子さまの翻訳比べに決めた。
読んでみて驚いた。
あの頃、ただ綺麗だった言葉たちは大きくなった私の心に意味を持って強く響いた。
翻訳比べだったので、大体5冊ほど読んだが、何度読んでも飽きることはなかった。
『星の王子さま』は児童文学だ。
子ども心の大切さを描いた本ではあるが、抽象的で哲学的で子どもには少し難しいところもある。
子どもの頃に読んだが訳が分からなかった、そんな言葉もよく聞く。
ただ昔読んだ頭の片隅にしまわれたその物語は、大人になって開けてみるととても綺麗なものだったことに気付いて驚いてしまう。
私の場合はただ綺麗で好きな物語としてしまわれていた。
大人になって開けてみて、その綺麗さの理由に気付いて驚いた。
そうか、だからあの言葉たちは輝いていたのか。
輝きの理由を知ってよりその物語を好きになった。
読み比べた中で個人的に1番好きだったもの。
河野万里子さんの翻訳は分かりやすく、読みやすいのでおすすめです。
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