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『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

2019年の本屋大賞、ノンフィクション本大賞を受賞した作品。

アイルランド人の旦那さんと結婚して英国に暮らす日本人の著者。

中学生になった息子さんが元・底辺中学に入り、経験したことが書かれている。

そのエピソードの多くに差別やいじめについて考えるものがある。

人生の中で差別やいじめを一度も見たことがないと言う人はいないのではないかと思う。

特にいじめに関しては多くが学生時代に目にするものだ。

私自身も小学・中学時代にはいじめられて不登校になった子がいたし、「我が校はいじめのない良い高校だ」と校長先生がニコニコ語っていた高校時代も影でいじめは存在していた。

本書で印象に残ったエピソードがある。

差別的な発言ばかりする男の子が校内でいじめにあっていた。

彼に差別的な発言をされて争ったことがあるものの、今は友達になった息子さんは腹を立てながら著者にそのことを話す。

彼をいじめているのは息子さんのように差別的な発言をされた人間ではなく、何もされていない人々だった。

人はいじめるのが好きだからと言う著者に息子さんは返す。

人はいじめるのが好きなんじゃない、罰するのが好きなんだ、と。

この言葉にドキリとした。

確かにそうなのかもしれない。

歪んだ正義感。

この人なら傷つけても良いと言う勝手な了承。

それは酷く残酷な自分勝手な裁きだ。

相手をボロボロにしておいて自分は傷一つ負っていないのだから中々おかしな話だと思う。

人が人である限り、差別やいじめはなくならないのではと絶望的なことを思ったりもする。

しかし、著者は差別は無知からくるのだと言う。

人は考えることが出来る動物で、知ることが出来る動物だ。

この本はその機会を与えてくれるもののように私は思う。



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