9/2(木)　長生きしてね、ブラジャー

　百貨店のお姉さんに「ブラジャーの寿命はご存知ですか」と尋ねられたあの日、自分のつけているブラジャーが既に天寿を全うしていると知った。死してなお私のささやかな胸を支えてくれていたとは。

　あの日以来、ブラジャーに少しでも長生きしてもらうために手洗いをすることにした。ゆらゆらちゃぷちゃぷ優しく洗っている。

　私がブラジャーを手洗いするときの手順は以下の通りだ。

①洗面器にランジェリー用の洗剤（ないときは普通の洗剤）を入れる

②洗面器にぬるま湯を注ぐ（シャワーノズルで注ぐと泡立って楽しい）

③ブラジャーを洗面器につけて揺らす（ワイヤー部分が歪まないように優しく扱う）

④汚れてそうなところ（ホック部分など）は指で優しくこする

④洗面器の中身をきれいな水に入れ替える

⑤③・④を繰り返す

⑥タオルでブラジャーの水分をしっかり拭き取る

⑦逆さにしたブラジャーのワイヤー付近を洗濯バサミではさんで干す

　ブラジャーを長生きさせるために始めたことではあるが手間がかかる。

　どうして私はささやかな胸のためにこんなに多くのめんどくささと向き合わねばならんのだ。不条理だ。手洗いなんてやめてしまおう。ブラジャーが早死にしたっていいじゃないか。

「諦めないで」

　真矢ミキに言われた気がした。そういえばまだ試していないことがある。手洗い後に脱水だけは洗濯機に頼る方法だ。せっかく優しく手洗いしたのに洗濯機で脱水したら意味がないのではと避けてきた。

　再び洗濯用のネットを購入する前にこの方法を試してみよう。そう思い立って本日初めて脱水だけ洗濯機に頼ってみた。

　なんて楽なんだ。これなら手洗いを続けられる。

　おしゃれ着洗い用のコースで１分ほど脱水するだけで、タオルで水分を拭き取る手間がいらなくなるのだ。私が最もめんどくさいと感じているのはまさにこの部分だった。

　これからはもう少し前向きな気持ちで洗剤の香りやちゃぷちゃぷという水の音を楽しめそうだ。