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@onefive、"ChamJam"を演じる。~ドラマ『推しが武道館いってくれたら死ぬ』出演に寄せて~

8月16日早朝。10月期からABCテレビ/テレビ朝日で放送されるドラマ『推しが武道館いってくれたら死ぬ』に@onefiveが4人揃って出演することが発表されました。

『推しが武道館いってくれたら死ぬ』は平尾アウリさんによる漫画作品で、原作は「月刊COMICリュウ」で2015年8月より連載(2022年9月現在連載中)。2020年にアニメ化され、大きな反響を呼びました。@onefiveは、主人公 "えりぴよ" が応援する岡山のアイドルグループ "ChamJam" のメンバーを演じます。主人公えりぴよを松村沙友里さん。@onefiveと同じくChamJamのメンバーに中村里帆さん、和田美羽さん、伊礼姫奈さん(7人全員がアミューズ所属)がキャスティングされました。

自分もフォロワーさんのお薦めで『推し武道』の名前は知っており、以前から読んでみたいなと思っていた作品でした。ここ最近の@onefiveはライブ中のMCや配信のトークの中で「まだ言えないけれど、夏から秋にかけて重大なお知らせがある」ということを何度か公言していて、原作と実写化のニュースを知っていたら、もしかすると自分も彼女たちの匂わせにビビッときていたかも知れない…と思うと少し残念な気もしますが(笑)、とにかく@onefiveが4人揃ってドラマに出演すること、素晴らしい共演者の方たちと素晴らしい原作を基にする作品を創れること、ドラマの中でパフォーマンスの場面が期待できること、色々と折り重なって、第一報を聞いた時は居ても立っても居られないほどの喜びでした。

このニュースをきっかけに僕は『推し武道』の原作全巻を買い揃え、2日間でアニメの全話を一気に視聴し、すっかり原作とアニメに魅了されてしまいました。そして僕の好奇心が原作に向かったのと同じように、原作ファンの中にも@onefiveに興味を持ってくださる方がちらほらといらっしゃるようです。そんな方たちが@onefiveを知って行く上で少しでも参考になればと思い、ドラマのキャスティングという視点からの彼女たちの紹介を、このnoteの記事で書いてみました。もしよろしければ、読んでみてください(もちろん、@onefiveファンの方々も!)。


@onefiveの成り立ち

はじめに@onefiveの成り立ちと歩みについて簡単に書きたいと思います。とは言え、グループのここまでの活動に関しては、知らない人に対して簡潔明瞭に説明するのが少し難しいという一面もあります。

@onefiveの4人は@onefiveがスタートする以前から、別のグループで活動を共にしてきました。@onefive=KANO(藤平華乃)/SOYO(吉田爽葉香)/GUMI(有友緒心)/MOMO(森萌々穂)の4人は、成長期限定ユニット「さくら学院」で同学年の仲間として数年間活動をし、同じタイミングでグループから "卒業" をしました。@onefiveは彼女たちが前所属グループ=さくら学院を卒業する年度の途中に立ち上げられ、彼女たちはさくら学院と@onefiveの活動を並行しておこない、卒業後にそのまま@onefiveとして本格的な活動が始まった、という形です。ただし、彼女たちが前所属グループを卒業する予定であったタイミング、2020年3月は一回目の(感染症拡大による)緊急事態宣言発出の直前であり、結果として卒業公演などが延期してしまった事で、@onefiveとしてのデビューの境界線があいまいになってしまった、という経緯があります。

(この辺りの時系列については以前にnoteに記事を書いていますので、もし興味がありましたら参考にしてみて下さい)

彼女たち4人は小学生の頃からの友達であり、表現者としてはライバル同士でもあり、元々はお互いに違う夢を持ちながらも、同じグループで長く活動を共にすることを決意して@onefiveでの活動をスタートさせました。2020年からの2年間は思い通りには進みませんでしたが、2022年春にようやく初めての有観客ライブが実現し、新たな動きが期待される中で4人揃ってドラマへの出演が決定したというわけです。

グループとしての@onefiveの特徴

現在の@onefiveは所謂アイドルというカテゴリーで語っても違和感のないグループだとは思いますが、一般的なアイドルグループのイメージとは少し異なった特徴を持っているとも言えます。例えば、分かり易いグループコンセプトやメンバーカラーの設定がなく、楽曲ごとにヴィジュアルイメージが一変し、衣装は専属スタイリストによる既製服のコーディネイトです(一部アレンジあり)。つまり彼女たちがスチル撮影やライブで着用した衣装の多くが店舗やファッション系のECサイトで購入可能なものであり、それによって、多くの女性ファンが彼女たちと同じ服を着るコスプレを楽しみながらライブやイベントに参加するという文化が生まれつつあります。

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(写真左上=2020年10月『雫』、右上=2021年3月『BBB』、左下=2021年11月『Underground』、右下=2022年2月『Lalala Lucky』 いずれもナタリーより)

また、グループの始動当初からファッションブランドの着用モデルにチャレンジしたり、複数のウェブCMへの出演、舞台やバラエティ番組への出演など、幅広い活動を続けてきたことも特徴の一つです。彼女たちは前所属グループの活動の中でも本格的な舞台を経験しているし、日々のレッスンの中でダンスやヴォイストレーニングに加え演技のレッスンも経験してきました。小学生~中学生の時期に歌、ダンス、演技、フリートークなどの場数を踏み、@onefiveとして活動を始めてから更に様々なお仕事にトライしたことによって得た表現の幅広さ、抽斗の多さは同世代のグループと比べても自信を持って強みと言えるものだと思います。

そして、@onefiveのグループとしての最大の特徴と魅力は、やはり彼女たちにとっての本道である「歌とダンス」にあります。"振り付け"の枠にとどまらないダイナミックかつ繊細なダンスを踊りながら、生の声で歌うそのパフォーマンスは、観る者を虜にする力強い輝きを放ちます(8月31日に彼女たちの1stライブの様子を収めた映像作品がリリースされていますので、ぜひチェックしてみてください)。そして、2021年11月にリリースされたシングル『Underground』からは、振り付けをメンバー自身が創作したりヴィジュアルイメージにアイデアを出すなど、現在の@onefiveは自ら創り演じるグループへと成長している段階にあると言えます。

『雫』は、個人的に@onefiveのパフォーマンスの個性を最も端的に表した楽曲だと思います。こちらは2021年6月に公開されたダンスプラクティスの動画で、ここでは歌は歌っていませんが、現在の彼女たちはライブの舞台でこの楽曲を事もなげに歌いながら踊り、しかも指先にまで神経を張り巡らせた表現を自分たちの物にしています。

ドラマ「推し武道」の制作陣がキャスティングをする時に何を重視したかと考えると、やはりパフォーマンスを魅せられるという部分が大きかったのではないかと想像しています。ChamJamのパフォーマンスシーンに説得力を持たせられる、そして本格的な演技経験や演技のレッスン経験がある、加えて言えばメンバー同士が長い時間を共に過ごしてきて一体感がある、それらの理由で@onefiveが選ばれたのではないか、と個人的には思っています。ChamJam7人のうち中村さんと伊礼さんはすでに女優として演技の経験が豊富であり、一方、和田さんは非常に若く演技やパフォーマンスの経験はほとんどありません。そこに演技/パフォーマンス両面で経験値のある@onefiveが加わることによってバランスの良いチームになっているように思います。

ChamJamを演じる@onefive

ここからは、@onefiveの4人の個性とドラマで演じる役どころについて少しだけ書きたいと思います。それぞれ『Underground』のソロダンスバージョンのMVを貼り付けますので、パフォーマンスにおける個性の違いもイメージして頂ければ…。

KANO

「伯方眞妃」を演じるKANOは、@onefiveの4人の中でも表現の現場に立った経験を多く持ちます。2015年に10歳でさくら学院に加入した時点ではダンスの経験はほとんど無かったものの、天性のセンスと身体能力をレッスンでの努力で磨いてみるみるうちに上達し、2019年にはグループリーダーに就任。同年、BABYMETALのサポートダンサーに抜擢され、そのパフォーマンスの実力が広く知られるようになりました。@onefive始動後の2021年と2022年にはいずれもSTRAYDOG主催の舞台に出演した経験があり(『海街diary』では準主役のすずを好演)、現在日本テレビ系列で放送中の『超無敵クラス』にも出演しています。

表現者としての彼女の特徴は、瞬発力と筋力を活かした「動」と「静」のコントラストが鮮やかなダンスです。スピーディで直線的な動きからピタリと静止する瞬間には彫刻的な美しさがあります。また@onefiveとして活動を始めてからの個人活動も活発で、ドラマは初めての経験ではありますが、舞台で培った演技力にも注目したいです。更に、趣味で一眼レフカメラによる写真撮影を嗜んだり、レイアウトや映像編集などクリエイティブな才能も発揮しています。『Underground』の振り付けの部分でリーダーシップを発揮したり、ライブで披露した『Let Me Go』(辻村有記)では振り付け・立ち位置や構成、照明を全面プロデュースするなど、@onefiveの"創る”一面を支える存在でもあります。

SOYO

SOYOは「水守ゆめ莉」を演じます。KANOと同じく2015年にさくら学院に加入し、それ以前はヒステリックミニのキッズモデルとして活躍していました。「努力に勝る天才なし」という言葉を座右の銘にしており、自他ともに認める努力家で、また家庭的で面倒見の良い一面があってさくら学院時代は年下のメンバーのお母さん的な役割を担うことも多かったようです。スタイルが良いSOYOは2018年8月から2021年3月まではレピピアルマリオのウェブモデルも務め、現在個人としてはFM滋賀(e-radio)の『キャッチ!』で番組内コーナーのマンスリーレギュラーを担当しています。

高身長で手足も長いSOYOのダンスはしなやかで艶があり、ライブを観るとそのパフォーマンスはとても強く印象に残ります。一方で体幹がしっかりしているのと関節の柔らかさで、驚くほどダイナミックな動きを見せることもあります。同期で未経験から飛躍的な成長を遂げたKANOは良き友であり、同時にライバルでもあり、彼女の姿をずっと隣で見てきたことがSOYOの表現に対する考えに影響を与えたのではないかと個人的には考えています。また、SOYOは幼少の頃からピアノを習っており、@onefiveのライブでは彼女のピアノでアンサンブルを聴かせる場面もあります。4人でいる時に自分から前面に出て行くことはあまりないのですが、表現を突き詰める情熱と負けず嫌いな気持ちを内に秘め、それがパフォーマンスにも表れて観る者の心を揺さぶります。歌とダンスをとてもソウルフル(表現が的確か分からないのですが)に魅せてくれます。演技経験は少ないですが、キャラクターになり切ったり与えられた設定を全力で演じるという姿を度々見せていて、"スイッチを入れる"ということに関しては、4人の中でいちばん得意と言えるかも知れません。

GUMI

GUMIが演じるのは「寺本優佳」。彼女は2012年にサンリオピューロランドのオーディションでグランプリを獲得してアミューズにスカウトされ、2016年にさくら学院に加入しました。加入した直後は末っ子ポジションだったこともありかなり自由奔放な印象で、配信番組などで年上のメンバーを振り回す場面なども見られたのですが、実は真面目で頭が良く、年齢が上がるに連れて思慮深い人間性が目立つようになりました。ライブの舞台上でも落ち着いて状況判断して、他のメンバーを助ける場面も多く見られ、周囲から厚く信頼されています。

すっきりと透明感のある美しいヴィジュアルで手足の長いGUMIは、ダンスパフォーマンスにおいても自然と目で追いたくなる存在感を持っています。本人がダンスで心がけているのは「パワフルさも出しつつ、綺麗なところは綺麗に決める」こと。力を抜いているように見えて鋭く伸びてくる腕や、跳ねるようにダイナミックな移動、空間を突き刺すような眼差しを実際の舞台上に見ると本当に引き込まれます。そしてGUMIのもう一つの魅力は真っ直ぐで力強い歌声。@onefiveのレパートリーの中でも特に歌唱に力を入れた楽曲『缶コーヒーとチョコレートパン』で、彼女の感動的なソロ歌唱を聴くことができます。SOYOと同じく演技経験は少ないのですが、個人的に彼女が演じる優佳にはとても期待しています。

MOMO

「松山空音」を演じるMOMOは、GUMIと同じく2016年にさくら学院に加入していますが、2013年頃から子役として活動していて、4人の中で最も長い芸歴を持っています。2014年にはPerfumeのMV『Cling Cling』に出演。北杜夫の原作を山下敦弘監督が映画化した『ぼくのおじさん』(主演:松田龍平/2016年公開)でも印象的な演技を見せています。また、2016年から数年間パナソニック「ふだんプレミアム」のCMに出演し、西島秀俊らと共演もしています。"女の子らしく"、"子どもっぽい"顔を多く見せつつ、内側には聡明で負けん気の強い芯を持っていて、経験豊富なプロフェッショナルというイメージも強いです。

上記のようにMOMOのキャリアの中心には女優業があり、だからこそ@onefive結成の報せを聞いた時には個人的には驚きました。@onefive始動後のインタビューでは、元々演技の道に進もうと考えていたがさくら学院での活動を通して歌とダンスによる表現を長く続けてみたいと思うようになった、と言う意味のことを語っていて、やはり同学年の3人から受けた影響が大きかったのではないかと思います。繊細で奥深い表現力で魅せる彼女のダンスは他の3人とはまた異なる個性を持ち、その多彩な表情や指先の動き、時には髪の毛までが表現の一部となって舞台上を彩っていく様は圧巻です。彼女の本格的な演技をまた見たいと願うファンも多かったはずで、それが4人揃ってのドラマ出演で叶ったことは大きな喜びだったことでしょう。

ドラマ『推し武道』における@onefiveの(個人的)注目ポイント

最後に、@onefiveファンの一個人として今回のドラマ『推しが武道館いってくれたら死ぬ』で注目したい点を幾つか書きたいと思います。まず、KANOとSOYOが演じる"まきゆめ"の場面についてです。原作を読んで、眞妃とゆめ莉の関係は物語の中にいくつかある軸の一つだと感じました。そして、2人のエモーショナルなやり取りをKANOとSOYOならば必ずうまく表現できるし、@onefiveを古くから知るファンにとっては特別な場面になるに違いないと思いました。ゆめ莉の「この人を越せることはないんだろうなって思ってた」、眞妃の「みんなにゆめのダンス見せたかったんだ」という想いは、SOYOとKANOのお互いへの想いに通じるものもあると思っているので、2人が原作・アニメの場面をどのように再現するのかとても楽しみです(そして僕は恐らく泣きます)。

GUMIは自ら「性格は優佳ちゃんと真逆なので」とコメントしていますが、原作を読んで彼女は優佳役に間違いなくハマると僕は思いました。本人は真逆と言いますが、優佳的な天真爛漫さは間違いなく彼女の中にもあり(小学生の頃の彼女がそうであったように)、優れた観察眼と鋭い勘を持っている彼女が自分のリミッターを開放して元気な優佳を「演じる」ことに振り切れば、間違いなく魅力的な実写版優佳がそこに現れると思うのです。

空音は原作の中でもたびたび大きくフィーチュアされ、ChamJamの中ではれお、舞菜に続いてスポットが当たることが多いキャラクターです。そんな空音役にMOMOが選ばれたのは、彼女が持つ演技力からしても納得できる人選でした。原作を読んで、空音はあまり表には出さないけれどたくさんの想いや葛藤を抱えて、心の内は目まぐるしく動いている人なのではないか、と感じました。微妙な視線の変化だけで心の機微を表現できるMOMOの演技は、舞台よりもテレビドラマでその本領を発揮すると思っています。彼女ならば、空音の複雑な想いを繊細に表現してくれるのではないでしょうか。

そしてもう一つは、ChamJamとしてのパフォーマンスの場面です。舞台の上で全力で歌って踊ること、ファンとしてその姿を見て元気をもらうこと。その素晴らしさを、@onefiveを含む7人の実写版ChamJamならばドラマの中で鮮やかに表現できると信じているし、原作のファンの皆さまに少しでもその素晴らしさが伝わるといいな、と心から思います。何よりも僕自身が@onefiveのパフォーマンスに魅了され、虜になった1人だから。劇中の素晴らしい楽曲に乗って三次元のChamJamが歌い、踊るシーンを早くこの目で観てみたいです。

あちこちに散らばってしまった取り留めのない長文を、最後まで読んで頂きありがとうございました。原作が素晴らしい作品でありたくさんのファンの方々が注目しているからこそ、実写版キャストを応援する身としては、正直に言えば、不安もあります。でも僕は彼女たちがこの作品に対して敬意を持って自分たちなりのベストを尽くしてくれることを確信していますし、作品を通して少しでも多くの方が@onefiveに興味を持ってくれたら嬉しいです。僕自身、まだまだ原作の奥深さを掘り下げて行きたいと思います。『推し武道』ファンの皆さまも、@onefiveのことを、ぜひよろしく御贔屓にお願いいたします。

(2022年9月5日)


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