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大好きな人が死を選んだ日②

春馬くんが亡くなった日は、音楽の日 が放送される日だった。


元々音楽番組が好きな私は当然のようにその番組を付けて、ぼーっと眺めていた。


TwitterやInstagramには彼を偲ぶ投稿や言葉が並んでいた。

【ゆっくり休んでね】とか【ご冥福をお祈りします】とか【大好きだった〜】とか。


私は全然、そんな風に思えなかった。

現実だと思えなかった。


春馬くんが死んだっていう壮大なドッキリでしょ?なんで皆そんな悲しいこと言うの?春馬くんは生きてるよ?CDだって出すんだよ?ドラマだって撮ってるしレギュラー番組もあるんだよ?私の大好きな春馬くんが死ぬわけなくない?明日になったら嘘でした!ってネタバレするんでしょ?


今考えればこんなの現実逃避にしか過ぎないけど、私は本気でこう思っていた。



でも、現実を突きつけられる瞬間は突然で。



ベットに横になりながらぼーっとテレビを見ていると、城田優くんが映った。



彼はGReeeeNの『キセキ』を歌った。





泣きながら。




それを見た瞬間、私の中の何かが弾けた。



涙が後から後から溢れて止まらなくて、呼吸が乱れて苦しくて、春馬くんがいない現実が突きつけられたようで、悲しいよりも苦しくて、鼻水が詰まって上手く息が出来なくて、過呼吸になって、春馬くんはもっともっと苦しかったんだ、って思うと余計に涙が出て、嗚咽しながら、声を出しながら、まるで小さい子供のようにわんわん泣いた。



春馬くんが死んだんだ。



やっと現実を理解した気がした。



キセキはそんな風に泣きながら歌う歌じゃないよって、ROOKIES思い出してポジティブな気持ちになる歌だよって、幸せになる歌だよって、テレビの中の城田くんに話しかけながら泣いた。



私は最低だから、城田くんに「どうして助けてくれなかったの?」「どうして分かってあげなかったの?」「どうして救ってくれなかったの?」「どうして守ってくれなかったの?」「どうして気づいてあげなかったの?」って、そんな風に思ってしまった。


それと同時に、私の無力さを痛感した。


こんなに長い期間、深い気持ちで春馬くんを想っていたのに、私は彼の人生に1ミリも触れることなく、彼を失ってしまった。


彼に届くように、彼に伝わるように、気持ちを伝えようとしたことがなかった。




いなくなるなんて思わなかったんだ。




いつでも春馬くんはこの世界に当たり前のように普通に存在しているもんだと思ってた。


こんな未来、聞いてないよ。



例え、薬物に溺れたって、不倫してたって、女遊びしてたって、芸能界引退したって、逃亡したって、夜逃げしたって、借金抱えてたって、どんなスキャンダル起こしたって、何をしたとしても、生きていてほしかったよ、春馬くん。


私がそばにいられたら、春馬くんを大好きな気持ちをたくさん伝えてたら、春馬くんに生きててありがとうって、これからも生き続けてねって言えてたら、お手紙を出していたら、ハンサムライブに行っていたら、Twitterにリプしてたら、Instagramにコメントしてたら、イベントに行っていたら、CDお渡し会に行っていたら、もっとちゃんとずっと好きって伝えてたら、いつもありがとうって伝えてたら、、、




そしたら今は違う未来があったのかな。




そんなことを考えて、消えてくれない後悔の気持ちを抱えて、無くならない胸の痛みを感じて、私は泣き続けた。



SNSを開くと、春馬くんの話題ばかりで、


現実を突きつけられているようなきがしてしまって、全然見れなかった。



もしかしたら頭では分かってたのかもしれない。


でも心が全然追いついてなかった。



本当に、あの時も、今でも、春馬くんが死んだっていう意味が全くわからない。



その日の夜は泣きすぎてしまって、全然眠りに付けなかった。



目を閉じると春馬くんのあの笑顔が浮かんできて、想像でしかないけど、春馬くんが家で首を吊っているシーンが頭に張り付いて消えてくれない。



春馬くんは最期の夜、何を思ったんだろう。


春馬くんは死を決意した時、何を考えたんだろう。


春馬くんの人生はどんなだったんだろう。


春馬くんのノートに、日記に、どんなことが書かれていたんだろう。


楽しい人生だった、と書いてあったらいいのに。



明日起きたら、全てが嘘で、夢で、現実じゃなきゃいいのに。


明日にはネタバレしてくれますように。


春馬くんが生きている世界になりますように。




そう祈りながら私は眠りについた。



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