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【進撃の巨人から見る心】50 母の愛と友情  ~61話~

アニメタイトル:第61話 闇夜の列車

あらすじ

大戦が終結し、エルディア人戦士達は故郷レベリオに帰還し、家族に迎えられていきました。
ライナーとガビは親戚同士で集まっています。

ガビがスラバ要塞での活躍っぷりを自慢げに話し、その話しを頼もしげに誇らしげに親戚一同は聞きます。

「あぁ、今回の戦果を踏まえてもガビが「鎧の巨人」の継承権を得るのは決定的だと思う」とライナーは母に言います。
ですが、ライナーはガビではなくファルコに継承させたいと考えています。
しかし、親戚一同は「一族から二人も戦士を授かるなんて、お前達がマーレに認めてもらえたことを誇りに思うよ」と盛り上がります。
親戚の誇りと、パラディー島に住む悪魔の悪口で場は盛り上がります。



あれこれ考えてみよう。

話しはライナーのパラディー島の思い出話しになります。

ライナー
俺はあの島で軍隊に潜入したんだ。まさに地獄だった。
島の連中はまさしく悪魔で、残虐非道な奴らだったよ。
あれは軍の入隊式の最中だった。突然芋を食い出した奴がいた。教官が咎めると悪びれる様子もなく答えた。うまそうだから盗んだと。
そんな悪党だが、さすがにまずいと思ったのか、その芋を半分譲ると言って共感を買収しようとしたんだ。
しかし、その差し出した芋でさえ半分には到底満たない僅かなものでしかなかった。奴らに譲り合う精神など無いからな。
本当にどうしようもない奴らだった。
便所に入るなりどっちを出しに来たのか忘れるバカだったり、自分のことしか考えてねぇ不真面目な奴に、人のことばっかり考えてるクソ真面目な奴。突っ走るしか頭にねぇ奴に、何があってもついて行く奴ら、それに色んな奴らがいて、そこに俺達もいた。
そこにいた日々はまさに、地獄だった。
少し話しすぎた、この話は忘れてくれ。。。

ライナーは大陸のエルディアの戦士。
パラディー島の壁内人類は敵。
当然、家族は無事に帰ったライナーの武勇伝を聞きたく、ライナーもそれを話したい訳です。
しかしライナーのその日々を懐かしむように。悪い奴らじゃないという事を隠すように、そこに少なからずの友情も芽生えたことを気づかれないように、ぽつぽつと、しかし自然と饒舌に話をするのです。

ライナーの話の中から、母だけはライナーの嘘に気づいています。

「いろんなやつらってなに?悪い奴らでしょ。」と問うガビにライナーの母は答えます

ライナーの母
そうだよガビ
島にいるのは世界を地獄にした悪魔だ
いつまた強大な巨人で世界を踏み潰し進撃 してくるか分からない
それを阻止するのは私たち善良なエルディア人でなくてはならない
私たちを置き去りにして島に逃げたヤツらに制裁を与えなくてはならない
私たちを見捨てたヤツらに

ライナーたち大陸エルディア人はマーレ人に迫害されています。
その大陸エルディア人もパラディー島に逃げた壁内エルディア人を敵としています。
しかし、同じ場で同じ訓練をし寝食を友にすれば同じ民族。当然、友情が芽生えます。
それをライナーは隠し。母は直ぐに看破りました。
ここでの母の思いはどんなだったのでしょう?
このライナーと母の心のすれ違い。
両親を通報したジーク。エレンとエレンの父との関係。
親と子は複雑です。

また、ライナーにとってはパラディー島に侵入する前にベルトルト、マルセル、アニ、ジーク、ボルコなどとの友情がありました。
マーレ人に叩かれ、それでもマーレの戦士を目指していました。
体力ではマルセルに敵いません。
射撃訓練もベルトルトに遅れを取ります
格闘訓練はアニに後れを取ります。
それでもライナーはしがみつきました。
そこにも友情はありました。

そしてラディー島の訓練兵達との友情。
優しいが故にライナーの精神は分裂を来たしたのでしょう。

ライナーは空を見上げて「英雄」になる夢を見ていた頃、エレンは空を見上げて「自由」への夢を見ていました。

いくつもの点と点は時間という気まぐれな糸で結ばれ紡がれ、また時に気まぐれにほどかれ。
それぞれが今、そこに存在しているのです。

死んで行った友。捕まった友。まだ戦っている友。敵となった友。ずっと心配している親。
ここで見たらみんな大切な人なのに。人と人とはすれ違ってしまいます。
それが悲しい現実です。


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