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初ライブ「帰り道」(ウエノ・ポエトリカン・ジャム6)

詩と声と音でUPJ6出演!

Poetic Mica Drops音担当茂野です。
詩と声と音のユニットとしてポエトリーリーディング作品を作ってきたPoetic Mica Dropsが初めて観客の前でパフォーマンスを披露したのが、2018年9月15日〜16日開催、詩の大イベントUPJ6(ウエノ・ポエトリカン・ジャム6)でした。
会場は、上野恩賜公園 不忍池に面した野外ステージ、水上音楽堂。
このUPJ6、メイン出演者が豪華でした。人数が多くここでは全員を書ききれませんが、ゲスト発表第2弾のフライヤーっぽい画像があったので掲載します。

当時のTwitterアカウントもそのまま現在のXに残っています。興味のある方は覗いてみてください!
https://twitter.com/UPJ_official

谷川俊太郎氏
宮尾節子氏

「帰り道」3分バージョン

Poetic Mica Drops の出演は9月16日に決定、オープンマイク枠、パフォーマンス時間は3分。
メンバー3名で話し合い、「帰り道」3分バージョンで臨むことにしました。
「帰り道」フルバージョンは5分近くあるので、全体の印象が変わらないようにショートバージョンを作成することにしました。
詩と音楽の短縮作業を並行して進め、熊谷弥香が実際に読んで録音。言葉や音楽の構成を調整して最終的に完成させました。

草間小鳥子が書いた詩がこちら……

   「帰り道」

ねぇ
帰り道のこと、おぼえてる?
西日をたどって、濡れた靴が土を踏む音。
手をひろげると、ゆびさきにふれる草の穂がくすぐったい。
田んぼのまわりに銀色のテープが張ってあって、
風にきらきらはためいて、
あぜ道のずーっと向こうのほうまで風車が並んでさ、
どこへ……帰るつもりだったんだろう。
なつかしいにおいの風をかぐと
誰かをひとりぼっちで待たせてるようで、
さびしかった。
ずっと、どこかへ帰りたいような気がしてた。
はしって はしって
帰り道をさがした。
角を曲がって道をわたって、
靴をぬいで捨ててみて、
やっぱり拾おうかなって戻ったらもうなくて
もといた場所がわからなくなってた。
夜が、満ちてくる。
……帰り道のこと、おぼえてる?
地平線にたなびく銀色のテープ。銀色のテープがきらきら光って、
風車がまわりつづけてた。
もう歩けないよ
帰ったってどうしようもない
もとの家も学校もなくなっちゃった
知ってるひとも猫ももういない
あたしだってぜんぶ置いてきたんだ
「じゃあね」「ばいばい」って手を振ってさ
でも
ほんとうに手放せたものなんてひとつもなかった
だいきらいだった、だいすきだった、過ぎていったすべてのものがいま
あたしの手を
そっと引っぱる
やがて
朝日に照らされて
白く光る道が見えた——。
ねぇ
見える?
あぜ道のかなたに、影ぼうしが立ってる。
ほら、手をふってる。
ごめんね。あたしもう、帰らないんだ。
ちいさく手をふりかえしたら、行こう。
さよなら。
また、いつかね。
さよなら——

熊谷弥香がステージで披露したパフォーマンスがこちら…


初めてのライブ出演

俳優、役者として、数々の演劇舞台作品や映画に出演してきた熊谷弥香にとっても、たった一人でステージに上がり大観衆の前で上演した経験はほとんどなく、初めはけっこうドキドキだったようですが、進むにつれ次第にリーディングにも熱が入っていく様子が伝わります。

私と草間は観客席で本番を観ていました。
音楽が流れ、熊谷のリーディングが始まったそのとき、会場の空気が一変したことを覚えています。「帰り道」が観客へ届いていることを感じていました!

評判がよく、終演後、観客、司会者、関係スタッフなどたくさんの方から話しかけていただき、Twitterへも投稿いただきました。

UPJ6での評判に気をよくした我々Poetic Mica Drops は、その後、次のライブ出演へ進んでいくことになります。
続きはまたの機会に!

2つの「帰り道」

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