わたしは呼び鈴を手にとり、ならした。

かなしみは、白くない  

だから、神さまは白かった

陶器製の、≪泉≫のようなもの  が、

水にみたされていく。

そしてそこのなかで響く声は

雪花石膏の回廊で

ふりむいた男の

記憶の一部だった。


美しさには、

届く範疇と

それから

鳥のように

遠くなることがあるから

あの人が

こもれびの、ひなたの、そのかげから

とどまらずに足をふみだすのは

仕方のないこと。




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