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絵本 なまえのないねこ

今日は絵本を紹介します。もし、自分の名前がなかったら…? そんな猫のお話です。

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ぼくは ねこ。なまえのない ねこ。
だれにも なまえを つけてもらったことが ない。

路地裏の茶色い猫が歩きます。

くつやさんの ねこは、レオ。
ほんやさんの ねこは、げんた。
げんたの げんは げんきの げんだって。

八百屋の猫はおおきな「チビ」です。
お蕎麦屋さんの猫は、つきみといいます。

「いいな。ぼくも なまえ ほしいな」

と、お寺さんの猫、じゅげむに話しかけると、

「じぶんで つければ いいじゃない」

町で、好きななまえを探します。
やじるし。くるま。ほんじつとくばい。
どれもちがいます。

邪魔だと追い払われて、野良猫は、雨の中をベンチの下へ。

小さな女の子が来て、話しかけました。

「きみ、きれいな メロンいろの めを しているね」

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そうだ。
わかった。
ほしかったのは、なまえじゃないんだ。
なまえを よんでくれる ひとなんだ。

最後の一頁があって、この絵本は終わりです。

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そこには、なんと書いてあったと思いますか。


『なまえのないねこ』文/竹下文子、絵/町田尚子、小峰書店、2019

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