神様の粋な計らい
世界有数のパワースポットとして有名なセドナに、”ボイントンキャニオン”というところがある。ここは、ボルテックス=大地から強力なエネルギーが放出される場所のひとつ。以前、ここをトレイルした時、不思議な体験をした。
トレイル入口までは、巡回しているセドナトローリーにて。
めざすは、「カチーナウーマン」という岩山。ネイティブアメリカンの言い伝えで「人類が生まれた場所」
歩き始めると、体の奥から”楽しい”って感情がわき出てきた。バネのついた靴でも履いているかのように足取りが軽いというより、弾んでいるように感じた。何を見てもうれしくなってしまい、足を止めては写真を撮って、植物や大地のエネルギーを体感した。
まだセドナがブームになる前の旅行だったので、人はほとんど歩いていなかった。ふと、背後に人が歩いて近づいてくる気配がした。急かされるようないやな感じはしなかったが、とっさに”早く歩いてあげよう”と思った。追いつかれたら道を譲ればいいことなのに。なぜか、早く歩いてあげよう、としか思わなかった。
ペースを早めると気配は消え、また近づいてきている感じがして、また足を早める。それが何度も何度も続いた。確かに背後に気配はするし、かすかに音もするけど、私は一度も振り向かなかった。怖さはなかった。ただ、早く歩こうって思っていただけだった。
目指す「カチーナウーマン」に到着。そこは登ることが許されていない。登ることができるお隣の「ノエル」に登ろうとして、その時やっと後ろを見た。1本道だったのに、誰も歩いていなかった。
ごつごつの岩をよじ登りやっとのことで頂上へ。達成感、解放感にひたっていると、ポツポツが雨が降り始めたので、戻ることにした。岩山を下りながら気づいた。
”早く歩こう”って思わされていなかったら、雨ですべる岩山、雷が落ちるかもしれない頂上へは上がらなかったかもしれないな、と。
雨は私が岩山から無事降りるのを待っていたかのように、大粒で降り出して、しばらくしてやんだ。
途中、ゆっくりしすぎたのか、予想外に時間が過ぎていた。最終のトローリーに乗らないと帰れない! 行きは跳ねるように、帰りは飛ぶように、自分の体力ではない、なにかが力を貸してくれているかのような足取りだった。出発時間の5分前に乗り場に到着。
最初のペースで歩いていたらきっと時間がなくなっていただろう。
”早く歩こう”って思わせてくれたあの気配はなんだったのか?
おかげで雨が降るまえに岩山に登れたし、最終便のトローリーに乗って無事帰ることができた。
確かに感じたあの気配は…
私にベストな体験をさせてくれるための神様の粋な計らいだと思っている。
いただいだサポートは、感動や喜びを見つける旅のために使わせていただきます。 インスタに身近にある素敵なものをアップしています。 https://www.instagram.com/poemist_akemi