殺人者
私の小さな勇気が挫かれた日から
私は殺人者となった
あいつがつけた傷跡を見るたびに
あの日の分岐を思い出す
刃物と仮面を身に着けて
私は人を殺していった
沈黙が許されぬ喧しい世の中は
殺人衝動に拍車を駆ける
目に映るすべての人が
殺されたいとせがむように
甲高い声で一斉に笑っている
私の傷跡を嘲笑っている
だから私も笑いながら殺人を繰り返す
いつまでも、どこまでも
そう思っていた
あなたの血を見るまでは
あなたの血、まるで赤い涙
塞き敢えぬ悲しみを感じるまでは
それを感じてようやく
あなたと向き合った
あの日の分岐と向き合った
あなたの微笑みは沈黙を許した
私は殺人を辞めた