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11/19 みんなおつかれさま。

先日、とある小さなショッピングセンターで、ひょんなことから夕方から3時間ほど時間をつぶすことになった。とくに用事があるわけでもなく、結構な長い時間をどう過ごそうか…と考える。

幸い、そのショッピングセンターには本屋さんがあったから、気になった本でも買って、たまにはフードコートでゆっくり本を読むのもいいかもな〜なんて。最近はめっきりネットで本を買うのが当たり前になっていたから、久々の本屋さんは新鮮で、あれやこれや目移りしながらも、気になった2冊をそそくさと購入した。

いざ、フードコートへ。そして、読書の前に、腹ごしらえをば…!ここぞとばかりにマックのセットを注文して、無心で食べる。いや、貪る。その日はとにかく疲れていて、ただひたすらエネルギーを補充したい気分だった。

胃も少し落ち着いてきたところで、ふと、フードコートを見渡すと、学校帰りの高校生たちが大人数でワイワイと集っていた。ポテト、ナゲット、ソフトクリーム…食べたいものを自由に食べたいように食べながらゲラゲラ笑っている。いいなあ、青春。

そして私の斜め前の席では、ひとりの男子高校生が、バーガーセットを食べながら、うつむき加減でひたすら無心でスマホで音を出しながら動画を見続けてた。わかる。そういうひとりの時間、必要だよね。

そして私はお腹を満たしきって、それでは、いざ読書。

…あれ。

速攻で、飽きた。

……え!びっくりするくらい、集中力がない!

眠いのだ。疲れた体に糖質脂質を一気に流しこんだものだから、血糖値があがってとにかく眠い。目を閉じたらすぐ寝落ちしそうなくらいに眠い。ああ、これはダメなやつだ…。

2ページほどを読み(これでもがんばった)、本を静かに閉じ、目まで閉じた。あぁ、体が鉛のように重くなっていく…いっそのこと、このままひと眠りしちゃう…?まどろみの中の葛藤の末、いや、さすがにそれはと踏みとどまって、ギリギリの意識で目をあける。

目を開けて真っ先に視界に入ったのは、斜め前の席の男子高校生くん。さっきよりもさらに深く折れ曲がるかのようにうつむいている。うつむいたまま、微動だにしない。彼も寝ているのかな。テーブルを見ると、さっき見た時にはなかった、空いたレッドブル缶がテーブルにあった。あぁ…彼もおつかれさまなのだ。
私は心の中で彼に励ましの声をかけると、少し体を動かして目を覚まそうとフードコートをあとにした。

特に目的もなく食品売場をふらふら見たりして、別の休憩スペースへ移動する。ベンチに座って、いざ、読書再開。眠気もリセットされて、いい感じだ。本の内容がさっきと打って変わってどんどん入ってくる。

すると、どこからか威勢のいい声が…

「ねーもーあたしさーここで4時間も待ってんだけど?!」

ふえぇ!すごい!私を上回る強者がいる…!!驚いて思わず声のする先を見ると、小柄な女子高生がベンチに座ってだれかと通話をしていた。華奢な女の子の口から、次々と愚痴が出てくるわ出てくるわ。ぽかーんと、いろんな意味で呆気にとられちゃった。いやはや、私の3時間なんてちっぽけなもんだな…この子は強いな…おつかれさまです。
結局彼女は、5時間近くこのショッピングセンターで待ち暮れて、拗ねた足取りでスタスタと歩いていった。


そして夜も更け、読書にひととおり満足した私もショッピングセンターをあとにする。歩きながら、そうだよねぇ。みんないろいろあるよねぇ。大変だよねぇ。と、すごく抽象めいた感想を抱きながら、冬の気配にじんみりした。帰ったら、湯船に浸かってあったまろう。ふかふかのお布団でいたわろう。

みんなみんな、おつかれさま。

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